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922)都心5区空室率9.4%と過去10年で最高

 オフィス仲介業者の三鬼商事株式会社が、都心5区の貸ビルの平成24年5月の空室率を発表した。

 都心5区の空室率は、9.4%である。

 9.4%の空室率は、2003年以来最高の高い空室率である。

 三鬼商事の調査・発表による最近1年間の都心5区の空室率は、下記の通りである。

     2011年6月     8.81%
     2011年7月     8.76
     2011年8月     8.65
     2011年9月     8.64
     2011年10月     8.78
     2011年11月     8.90

     2011年12月     9.01      2012年1月     9.23      2012年2月     9.15      2012年3月     9.04      2012年4月     9.23      2012年5月     9.40

 去年の6月の空室率は8.81%であったが、1年後の今年5月は9.40%と9%を越えてしまった。2003年以降最高の空室率である。

 2003年以降の各年空室率は、下記の通りである。
 三鬼商事の発表している各年1~12月の空室率を加算して、12で除して求めたものである。計算は田原による。

          2003年    8.32%
          2004年    7.27%
          2005年    4.93%
          2006年    3.20%

2007年    2.71% 2009年    7.99% 2010年    8.89% 2011年    8.89%

 2003年(平成15年)の8.32%より空室率は小さくなる。
 2007年(平成19年)に2.71%になる。

 平成19年は不動産フアンドバブルの時である。

 不動産フアンドバブル時の空室率は3%を切って、2.71%になる。
 不動産ファンドバブルは、空室率の著しい低下を引き起こした。つまりこの現象が生じるのが、不動産がバブっていることの証拠である。
 空室率から見ても平成19年が不動産ファンドバブルの頂点であったことが立証される。

 その後空室率は大きくなり、2011年(平成23年)8.89%になる。
 そして平成24年5月には9%の壁を突き破り、9.4%の空室率になる。
 
 不動産ファンドバブルは、平成19年であったと今から考えれば当り前のごとく多くの人は云うが、その当時に「今現在がバブルだ」と発言することは大変勇気のいることであった。
 平成19年当時にあって、「今現在がバブルだ」と発言する人は、誰一人いなかった。

 そんな中で、「今現在が不動産バブルの最高時だ、バブルは崩壊する、土地価格は暴落する」と発言したら、「間違ったことを云うな」、「世間を惑わすことを云うな」と叱責されたのである。
 いやはや世の中なかなか厳しい。

 ビル空室率と不動産業株価とは、相関関係があるようなので、そのことについては、後日述べたい。

 2003年以降、都心5区の各年の1月、4月、7月、10月の空室率をグラフにしたものが、下図である。


空室率


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  鑑定コラム5)「『空室率4%」

  鑑定コラム193)「ある大手不動産会社の賃料と空室率」

  鑑定コラム247)「空室率が急激に下がっている」

  鑑定コラム924)「ビル空室率は不動産業株価と逆比例の関係」


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