○鑑定コラム



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13)ハナエモリとM&A

 欧米で相次いだ大型のM&Aが一段落し、強大化した欧米メーカーが日本市場攻略に的を絞り始めた。

 「日本企業や技術を買いに来たんだ」
と外資ははっきりという。

 森英恵の「ハナエモリ」を三井物産と英国ロスチャイルドが買収するという。(日経2001/12/27)

 買収価額は40〜50億円という。

 ハナエモリグループの年間売上高は約200億円である。
 投資額に対する売上高倍率は4〜5倍となる。
 企業のM&Aとしての投資倍率から見ると、この倍率はどんな水準であろうか。
 M&Aに対する知識は税務会計の先生の方や弁護士の先生方の方が遙かに多くもっていると思われるが、一寸興味があるので、投資額の中身の推定を行ってみた。

 以下の金額・割合等は会計・税法で認められている考え方・数値でないことをお断りしておく。

1.ハナエモリのブランド価格
 森英恵というブランドは、英国ロスチャイルドが買収しようとする位であるからブランド力は強い。これをどの様に評価するのか。

 日本を代表する企業の一つにB社がある。
 そのB社が、関連会社の製品に親会社であるB社の商標マークを入れ製造販売を許す場合の条件は、その製品の売上高に対して0.3%の使用料を支払うことである。

 「ハナエモリ」がB社に匹敵するという訳では無いが、「ハナエモリ」のブランド名が有ると無いとでは、価格そして売れ行きも違うことから、B社の割合を採用するのも一つの見方である。

 売上高は200億円であるから、
200億円×0.003=0.6億円
が1年間のブランド価格である。これの何年間のブランド価格をみるかは難しいが 「ハナエモリ」のブランドは特許の様なものと考えて期間20年とする。
       0.6億円×20年=12億円

2.営業権
 税法や会計上の超過収益の現在価値というように難しく考えない。
 200億円の売り上げを行っている企業の顧客、場所、取引先、営業販売ルート、技術力等をそっくり引き継ぐことに対する対価である。
 対価0円という訳にはゆくまい。
 税法も年間所得額相当を営業権の価格と認めている。
 本件の営業権を1年間の営業利益相当とする。
 営業利益は売上高の3%とする。
       200億円×0.03=6億円

3.店舗保証金
 「ハナエモリ」ビルは表参道通りにある。
 現在東京の商業地で最も輝き、土地価格が急騰している「Zエリア」(表参道通り、青山通り、骨董通りを結ぶ沿道地域をZエリアとここで呼ぶこととする) のど真ん中にある。Zエリアの中心的ビルの一つである。

 土地価格は坪当り2500万円(公示価格は平方メートル当り433万円である。
 最近Zエリアは急激に上昇しておりこの公示価格程度では売買は困難であろう)程度ではなかろうか。
 土地面積は750坪程度と推測される。
 土地価格だけで180億円を超える。

 このビルを賃借するための保証金が20億円、他の60余店舗の保証金を12億円とすると、保証金として32億円である。

4.M&Aの価格
 上記より

     ブランド価格      12億円
     営業権             6億円
     保証金            32億円
     合計              50億円
である。

 上記より「ハナエモリ」のM&Aの価格を勝手に50億円と推定したが、果たして実際の内訳はどういうものだろうか。
 全く違う尺度で金額が計算されているかもしれない。
 知りたいものであるが、公開されることは、まずないであろう。

 今後M&Aは不動産鑑定の一つの大きな市場になるような気がする。
 しかし、かなりの勉強と知識の蓄えが必要と思う。

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