1945)駐車場賃貸指数をスライド法に使用している地代鑑定書
住宅地の継続地代の鑑定評価において、スライド法の尺度に、日本銀行が発表している企業向けサービス価格指数の1つの駐車場賃貸指数を採用して、地代を求めている鑑定書に、最近出くわした。地代訴訟で裁判所に提出された鑑定書である。
どこの鑑定事務所で、不動産鑑定士としての修行したのかと問いたい気持ちを持った。
駐車場の駐車場料金と、借地借家法が適用される地代とは、全く性格が異なる土地の使用料である。
駐車場賃貸指数で、建物の建っている住宅地の地代を求めることなど、とんでもない地代鑑定である。
そうした地代鑑定は、専門家としての不動産鑑定士の信用を著しく無くする行為であるから、即刻止めてくれないか。
今回が初めてではなかろう。今迄もそうした地代鑑定書を発行しているのでは無かろうか。
今迄こうした考え方で地代鑑定書を発行していて、その考え方は間違っていると誰からも忠告され無かったのであろうか。
とすれば、随分と甘い業界である。
日本不動産鑑定士協会連合会もその様な地代鑑定書が、大手を振って闊歩して居る状態を放置しておくべきでは無かろう。何とかせいと云わざるを得ない。
著書『改訂増補 賃料<地代・家賃>評価の実際』(プログレス 2017年2月)のP524に、このことについて、下記のごとく記されている。
「駐車場の料金の変動率を採用しているのを見受けられるが、駐車場の料金は建物所有目的の土地使用では無い。建物所有目的の土地使用の地代とは性格が全く異なることから、その変動率を地代の変動率として採用することは不可である。」
恐らく相手側代理人弁護士は、私の著書のここを引用証拠として、準備書面で激しく反論攻撃するであろう。
駐車場賃貸指数をスライド法の尺度として、地代鑑定書を書いた不動産鑑定士は、相手側代理人弁護士の激しい反論攻撃に対してどう対処するであろうか。
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