○鑑定コラム
フレーム表示されていない場合はこちらへ
トップページ
田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ
前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ
先の鑑定コラム2014)で、日本国の土地資産総額は、1199兆1000億円と述べた。
その出典根拠は、内閣府の経済社会総合研究所が発表している『平成29年度国民資産年次推計』(ストック編)という報告書である。
その報告書の1章は、「平成29年暦年末の期末貸借対照表の概要」の課題の章である。
「平成29年暦年末」とあるから、それは2017年末時点と云うことになる。
報告書の表題は「平成29年度」とあるから、内容は会計年度末の数字と勘違いするが、中を開いて見れば、記載数値は2017年末の数値である。
報告書表題の「度」は、外すべきであろう。
その報告書の表1として「期末貸借対照表(一国経済)」が記載されている。それが、2017年末の日本国の貸借対照表である。
下記に、内閣府経済社会総合研究所発表の2017年末の日本国の貸借対照表を転載する。単位は兆円である。
2017年末日本国貸借対照表
|
|
|
|
|
|
兆円
|
|
|
|
|
|
|
|
非金融資産
|
|
3055.3
|
|
正味資産(国富)
|
|
3383.7
|
|
(1)生産資産
|
1849.7
|
|
|
対外純資産
|
328.4
|
|
a 固定資産
|
1779.3
|
|
|
|
|
|
b 在庫
|
70.5
|
|
|
|
|
|
(2)非生産資産
|
1205.6
|
|
|
|
|
|
a 土地
|
1199.1
|
|
|
|
|
|
b 鉱物・エネルギー資源
|
1.4
|
|
|
|
|
|
c 非育成生物資源
|
5.1
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
金融資産
|
|
7837.7
|
|
負債
|
|
7509.2
|
|
(1)貨幣用金・SDR等
|
6.9
|
|
|
(1)貨幣用金・SDR等
|
2.0
|
|
(2)現金・預金
|
1970.5
|
|
|
(2)現金・預金
|
1958.7
|
|
(3)貸出
|
1422.8
|
|
|
(3)借入
|
1453.4
|
|
(4)債務証券
|
1276.6
|
|
|
(4)債務証券
|
1434.5
|
|
(5)持分・投資信託受益証券
|
1234.0
|
|
|
(5)持分・投資信託受益証券
|
1529.9
|
|
うち株式
|
891.0
|
|
|
うち株式
|
1182.2
|
|
(6)保険・年金・定型保証
|
549.6
|
|
|
(6)保険・年金・定型保証
|
549.6
|
|
(7)金融派生商品・
|
|
|
|
(7)金融派生商品・
|
|
|
雇用者ストックオプション
|
58.0
|
|
|
雇用者ストックオプション
|
63.8
|
|
(8)その他の金融資産
|
1319.2
|
|
|
(8)その他の金融資産
|
517.4
|
|
|
|
|
|
|
|
総資産
|
|
10893.0
|
|
負債・正味資産
|
|
10893.0
|
2017年末の日本国の総資産は、1京0893兆円である。
貸借対照表であるから、一般的には、左側は「資産」であり、右側は「負債・純資産」となり、
資産=負債・純資産
となる。
発表されている日本国の貸借対照表も、そうした型式になっている。用語は資産の部が、
資産=非金融資産+金融資産
となっている。
負債・純資産の部が、
正味資産+負債
となっている。
一般的には、純資産と表示されるものが正味資産と表示され、それは「国富」となっている。
貸借対照表は、上記したごとく、
左側数値=右側数値
であるから、日本国の左側の「資産」が1京0893兆円であるから、右側の「負債・正味資産」も、1京0893兆円である。
負債が7509.2兆円であることから、純資産である「正味資産(国富)」は、
1京0893兆円−7509.2兆円=3383.7兆円(注)
(注)上記算式の計算では、3383.8兆円になるが、発表は3383.7兆円であるから、それにする。
日本国の国富即ち正味資産は、3383兆7000億円である。
対外純資産328.4兆円を差し引くと、
3383.7−328.4=3055.3兆円
3055.3兆円の国富である。
資産は、日本の個人、企業、地方公共団体及び政府等が保有する全ての資産を意味する。
負債は、日本の個人、企業、地方公共団体及び政府等が保有する全ての負債を意味する。即ち家計、企業、日本国の借入金も含まれている。
財務省は、国債等日本の公債残高は、平成30年度で883兆円であり、国の借金は883兆円で、それは税収の約15年分であり、次の世代に残す訳には行かないと言い、消費税の値上げを主張する。
しかし、上記貸借対照表で見ると、資産の金融資産から負債を差し引くと、
7837.7兆円−7509.2兆円=328.5兆円
328.5兆円の黒字になる。
加えて、対外純資産は328.4兆円ある。
2つを加算すると、何だか妙に2つ金額が一致に近いが、
328.5兆円+328.4兆円=686.9兆円
686.9兆円の黒字となる。
対外純資産を除く国富が3055兆円あり、金融資産の黒字が686兆円あることを考えると、財務省の883兆円の借金は、既に上記の貸借対照表の中に折り込まれていて、328.5兆円の黒字と計算される。
財務省の公債の借金883兆円の存在は認めるが、この借金883兆円があるから日本は大変だ、財政が大変だという財務省の主張をそのまま受け入れて良いものか私は甚だ疑問が湧く。
鑑定コラム2014)「日本の土地総額は1199兆円(2017年末)」
▲
フレーム表示されていない場合はこちらへ
トップページ
前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ