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2358) 店舗売上高と来客数

1.はじめに

 2021年10月に、一般社団法人全国スーパーマーケット協会、一般社団法人日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会の3団体が共同して『2021年 スーパーマーケット年次統計調査報告書』(以下「年次報告書」と呼ぶ。)を発表した。

 その年次報告書には、スーパーケットの多くのデータが掲載されているが、その中で、売上高と来客数も調査発表されている。

 来客数と売上高とは密接な関係があると云うことは、当り前であると充分予想されるが、それは予想であって本当にそうであるのか、それを実証したものはあるのか、どれ程の相関関係があるのかと問われた場合、明確に説明出来るのであろうか。

 年次報告書のデータを利用して、店舗の売上高と来客者との間には、強い相関関係があるという、当り前の事を当り前であるとの実証を試みる。
 
2.データ

 年次報告書に拠れば、協会加盟店舗の来客者、売上高は下記である。

@ 売場面積別来客者(1日当り人)

         売場面積               平日               土日祝日
         800u未満            1303.2                1414.0
         800〜1200u未満        1634.3                1821.8
         1200〜1600u未満       1670.4                1956.2
         1600u以上             2403.2                2761.9

 平日の来客数に比し、土日祝の来客者は8%から17%多い。規模別では下記の通りである。
         800u未満            1.085          +8.5%
         800〜1200u未満        1.115          +11.5%
         1200〜1600u未満       1.171          +17.1%
         1600u以上             1.149          +14.9%

A 年間の平日、土日祝
 2021年の平日は246日であり、土日祝日は119日であった。

B 年間来客数
 面積別店舗の年間来客数は、下記である。

  イ、800u未満        1303.2×246 + 1414.0×119=488,853人
   ロ、800〜1200未満    1634.3×246 + 1821.8×119=618,832人
   ハ、1200〜1600未満   1670.4×246 + 1956.2×119=643,706人
  ニ、1600u以上       2403.2×246 + 2761.9×119=919,853人

C 年間売上高
 イ、売場1u当り売上高 万円
         800u未満            173.7万円/u
         800〜1200u未満        140.6万円          
         1200〜1600u未満       108.0万円
         1600u以上             99.5万円

 ロ、売場面積別年間売上

 売場面積800u未満は、800uの売場面積とする。
 売場面積800〜1200u未満は、1200uの売場面積とする。
 売場面積1200〜1600u未満は、1600uの売場面積とする。
 売場面積1,600u以上の面積は、800〜1600未満uまでは400u増で面積区分している事から、1,600u+400u=2,000uとする。
         800u未満(800u)            173.7万円×800u≒138,960万円
         800〜1200u未満(1200u)        140.6万円×1200u≒168,720万円        
         1200〜1600u未満(1600u)       108.0万円×1600u≒172,800万円
         1600u以上(2000u)             99.5万円×2000u≒199,000万円

D データのまとめ
 上記で求められたデータをまとめると下記である。
      売場面積            売上高            年間来客数
       800u           138,960万円          488,853人
       1200u          168,720万円          618,832人
       1600u          172,800万円          643,706人
       2000u          199,000万円          919,853人

3.相関のグラフ化

上記で求められた年間売上高と年間来客数をグラにしたのが、下記グラフである。左側縦軸に売上高、右側縦軸に来客数を採ったグラフである。




売上高と来客数折線グラフ




 来客が増えれば売上高も増える傾向がはっきりと認められる。

 両者の相関関係は高いということが分かる。

4.回帰分析

 縦軸に売上高、横軸に年間来客数を採って、データ値を図に落とすと、下図である。

 来客者が増えれば、売上高は右肩上がりに増加していることがはっきりと読み取れる。




売上高と来客数回忌グラフ




 売上高をY万円、年間来客数をX人として、XYの関係式を求めれば、下記関係式が求めらる。

                Y=82714.15+0.1305X
                      相関係数 0.961

 相関係数は1.0に近ければ近い程、相関度は高いことになることから、相関係数0.961ということは、売上高と来客数との間は甚だ高い関係にあるということになる。

 上記関係式から、一人当りの客単価は、1305円と求められた。

 店舗の売上高は来客数が増えれば上がるという当り前のことが、これで証明された。

 逆に来客数が少なければ、売上高は少なくなるということの立証にもなる。


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