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443)資本主義の根幹を揺るがしかねない不動産鑑定評価

 「プロスペクト・レジデンシャル投資法人に係わる不動産鑑定について、田原さんが、資本主義の根幹を揺るがすものだという違った面から指摘しているということを聞いたが、鑑定コラムの見出しを見てもそんなものは無い。どのコラムなのか。」
という問い合わせが、続いた。

 問い合わせ者には記事掲載の場所の説明したが、いちいち応答するのも面倒である。
 また、掲載した個所がわかりにくい所だったと反省し、その部分のみ1つの記事にして再掲する。

 上記問い合わせの内容については、鑑定コラム442)の記事の中に書いてある。

 既に鑑定コラム442)を読まれた人は、再読になるから、ここで読むのをストップしてよいです。

 2008年3月から6月の3ヶ月間に読まれた鑑定コラム442)の記事の中で、鑑定コラム424)「不動産鑑定士には政策提言能力が無いのか」は、上位4位に入った。

 ランク4位の同上コラム記事は、不動産競売制度の見直しに関係して、それに携わっている不動産鑑定士の現場サイドの意見が無いのに、いささか驚き、不動産鑑定士はサイレント人間なのかと警告している記事である。

 不動産鑑定士はおとなしい。
 自分達の仕事に関する制度を消費者の目から見て、より良い、より分かり易い制度にする為に、現在の見直す点はどこかという意識や見方が全く欠けている。考えを持っているであろうが、自分の意見を発表しょうとしない。

 で、本当におとなしいのかと思うと、それはとんでもない。
 発言しないクセに、恐ろしく大胆不敵な国民・消費者・投資家を小馬鹿にした不動産鑑定評価を、何の臆面もなく行う。そしてその責任を全くとろうとしない。監督官庁もこれまた職務放棄といって良いくらい、一向にそれらの不動産鑑定士・不動産鑑定業者を罰しようとしない。監督官庁が、管轄の不動産鑑定士・不動産鑑定業者を庇ってくれることは有り難いことであるが、それにも限度というものがあるのではなかろうか。

 ここ2〜3年のJリート、不動産ファンドの不動産取得等の価格に関する金融庁によって指摘された不動産鑑定にまつわる勧告がどれ程あることか。

 それはごく一部の不動産鑑定士・不動産鑑定業者が行っているのであって、それ以外の98%を越える不動産鑑定士・不動産鑑定業者はそれらの鑑定を行っていない。それにもかかわらず、同じことをやっているのでは無いのかという白い目で社会より見られ、大変迷惑している。

 だがその大変迷惑していることを感じながらも、それを社会に向けて発言を一向にしようとしない。国交省に対して何とかせいとメールなどで抗議すればよいものを、それすらやろうとしない。

 多くの良心を持った不動産鑑定士が、国交省に抗議の手紙やメールを送るならば、国交省も不動産鑑定士の本音を知り動くであろうが。

 今回のJリートのプロスペクト・レジデンシャル投資法人に係わる不動産鑑定評価に対する証券取引等監視委員会の処分勧告は、今迄と違うことを不動産鑑定士、不動産鑑定業者、国交省は知るべきである。

 それは何かというと、東京証券取引所の上場Jリートで生じた事件で、資本主義の根幹を揺るがしかねない内容の事件であることである。
 東京証券取引所とは、日本の資本主義の資本主義を維持し、その総本山に位置する組織である。資本主義そのものを象徴する組織体である。

 上場Jリート投資法人に係わる不動産鑑定が信頼を無くすることは、投資家が資本の提供を拒む強い要因になることである。資本が集まらなくなるのである。資本が集まらなくなるということは、資本を集めて企業活動を行うという資本主義の崩壊を意味することになる。

 今回のプロスペクト・レジデンシャル投資法人に係わる不動産鑑定評価で、証券取引等監視委員会が処分勧告したということは、証券取引等監視委員会が資本主義の根幹を揺るがす可能性を含むと判断したから首相・金融庁に処分勧告したのである。
 それほど重要な内容を含む事件なのである。
 俺たちには関係無いと思っている事件ではない。

 こうした事情を考えずに国交省がくさいものに蓋をという態度で、不作為の作為行為をとったならば、国交省は資本主義下に自らが存在していることを知らずに、資本主義を否定する役所ということになろう。
 まさか、国交省は「我が官庁は資本主義を否定する役所である」とは思っていないであろう。


 上記で引用した鑑定コラムは、下記をクリックすれば繋がります。

     鑑定コラム424) 「不動産鑑定士には政策提言能力が無いのか」

  鑑定コラム442) 「鑑定コラムで読まれている記事上位10(2008年7月1日)」

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