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「アサッテ ガンバリマース」 と一人の外国野球選手が、日本のファンにメッセージを発した。
2013年9月15日、東京の神宮球場で、プロ野球の試合が行われた。
ヤクルト対阪神の試合であった。
入場者は3万人を越えていた。満員の入りである。
阪神の投手は、榎田という人であった。
打席には、4番打者としてバレンティンが立っていた。
1回、2ボール1ストライク後、榎田の投げた外よりの4球目の時速130数qの直球は、バレンティンにバットの芯で捉えられた。ボールは、外野バックスクリーンに叩き込まれた。
3万余の観衆は総立ちで、ダイヤモンドを廻るバレンティンに惜しみない拍手を送る。
天に感謝するごとく天を仰ぎ、同時に指を上に示しながら、バレンティンはホームベースを踏む。
バレンティンの56号ホームランである。
日本プロ野球新記録の樹立の瞬間である。
この日の為に、母国から駆けつけたスタンドにいる母親は、バレンティンの顔をデザインしたうちわを持って大はしゃぎである。
1964年に巨人軍の王貞治氏によってつくられた年間55本の本塁打記録は、49年経った2013年に、ヤクルト球団のウラディミール・バレンティン外野手(29歳)によって塗り替えられた。
バレンティンに破られる前に、バース(阪神)、ローズ(近鉄)、カブレラ(西武)の選手に破られていてもおかしくなかった。
残り試合が少ないこともあったが、日本プロ野球界の偏狭なものの考え方により、上記3人の選手に投手は真っ向勝負をせず、敬遠の四球作戦を行いシーズンを終えてしまった。
その姿をテレビで見る度に、私は、
「何をやっているのだ。
何を怖がっているのか。
何故逃げるのか。
それでプロなのか。
勝負しないのであれば、プロの投手など止めてしまえ!」
と何度思ったことか。
これを機に、徐々に日本の箱庭野球に愛想を尽かして、見る興味もなくなり、遠ざかっていった。
野茂英雄がアメリカ大リーグのドジャーズに入り、大リーグのNHK衛星放送が始まると、もっぱらそちらの方を見る様になった。その後イチローがマリナーズに入ると、益々その傾向が強くなった。
バレンティンのホームラン製造のスピードは甚だ速く、残り試合が約20試合もあっては、いつまでも敬遠策をする訳にも行かず、投手は真っ向勝負をせざるを得なかった。
49年の間に日本のプロ野球の考え方も変わっていた。
投手がバレンティンに対して逃げのピッチングをすると、観客席からは猛烈なブーイングが発せられた。
観客の目も肥えてきた。
良いことである。
日本のプロ野球選手は、この49年間、王貞治氏のホームラン記録を塗り替えるという気概を持って野球をやっていたのかという疑問を私は持つ。
どれ程の打撃の技術の研究、体力の向上をして来たのか。
パワーの違いだと頭から信じ込んで、又、ホームランばかりが野球じゃないと自ら言い訳を作って、ホームランを打つことの努力をしてこなかったのではなかろうかと云いたくなる。
ヒットも良い。
しかし、ホームランも欲しいと云うのが野球ファンである。
何だかんだと云っても、ホームランは野球の華だ。
自分の持つ日本記録を超えられた王貞治氏は、バレンティンの偉業を称え、「ホームランを打つコツを覚えたのではなかろうか。」
という。
ホームランバッターのみが知る「ホームランを打つコツ」と云うものがあるようだ。
日本のプロ野球の選手も、目の前にホームランバッターがいるのである。
その人の打撃術から学び、60本のホームランを打ってほしい。
バレンティンの他に、日本のプロ野球にもう一人の大リーガーのホームランバッターがいる。
今年から楽天と云うチームに入ったアンドリュー・ジョーンズ(36歳)である。
私は、アンドリュー・ジョーンズが、日本のプロ野球チームにいて、日本でプレーしていることが、今でも信じがたい。
アメリカ大リーグ・ナショナルリーグの常勝ブレーブスで、3番アンドリュー・ジョーンズ、4番チッパー・ジョーンズと3番・4番の打順で、ホームランを二人で打ち合い、何度も地区優勝というブレーブス全盛時代を築いた選手の一人である。
51本のホームランを打ち、ナショナルリーグのホームラン王になった人である。
大リーグホームラン434本を打った人でもある。
出身は、オランダ領キュラソー島出身、即ちバレンティンと同じ国出身である。バレンティンの兄貴分ということになる。
身近に二人もホームランバッターがいるのである。
日本の選手よ、二人からホームラン打撃を学べ。研究せよ。盗め。
私は、チッパー・ジョーンズという選手に愛着を持つ。
というのは、日本の野茂英雄投手が、1995年大リーグのドジャースに入団し、その年大活躍をした。
同じ年に新人として大活躍したのが、ブレーブスのチッパー・ジョーンズである。
チッパー・ジョーンズは、有力な新人王候補になった。
そして新人王の選考で、野茂英雄が新人王を獲得した。
野茂は日本プロ野球で実績を上げており、大リーグのデビューでは、新人であるが、その時、野茂はほぼ完成された野球選手であり、新人選手の資格があるのか私には疑問が感じられた。
大リーグの新人選手としては、チッパー・ジョーンズの方がふさわしい。
チッパー・ジョーンズは、野球人生で唯の一回しかチャンスの無い新人王という賞を、野茂英雄に持って行かれて悔しかったのではなかろうか。
打者として、チッパーは、野茂の鋭く落ちるフォークボールに多くの三振を喫し、苦しんだ。
しかし、1996年のリーグ優勝決定戦でドジャースの野茂のフォークをホームランで打ち崩し、ブレーブスをリーグ優勝に導いた。
チッパーが野茂を乗り越えた時であり、その後チッパーは大打者に成長してゆく。
アンドリュー、チッパーの両ジョーンズが、互いにホームランを量産して、ブレーブスの黄金時代を築く。
チッパーは、ホームラン数468本、首位打者にもなり、オールスターに5回選ばれ、ブレーブスの主軸として何回も地区優勝に貢献し、ブレーブスの顔の選手になった。
チッパーは、新人王候補に選ばれるだけの素質がやはりあった。
56本の日本プロ野球のホームラン新記録を樹立したバレンティンが、試合終了後、神宮球場のグランドで行われたテレビのインタビューにおいて、アナウンサーの「日本のファンに一言・・・」という問いに対して、発した日本語の言葉、
「アサッテ ガンバリマース」
が印象に残る。
明るい陽気な性格のようだ。
アスは、試合は無い。
アサッテは、5-0でホームランは出なかった。
シアサッテにホームランを放った。
バレンティンは、2試合に1本のぺースでホームランを量産する。
今シーズン何本のホームランを打ってくれるのだろうか。65本か。
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