不動産鑑定評価で使用する「契約減価」とはどういうものであろうか。
契約に伴う減価などあるのであろうか。当初からあるのであれば、それを考慮して契約すれば減価など生じ無いのではないのか。
上記のごとくの疑問が湧くのでは無かろうか。
契約減価というのは、土地賃貸借契約によって生じる土地の効用減によって引き起こされる土地価格の減価をいう。
それは、土地の賃貸借目的によって生じる。
土地の賃貸借目的によって生じると云っても、どの様にして生じるのかが分からないことから、それについて説明する。
非堅固建物所有目的は、別の言い方で云えば「普通建物所有目的」とも云われる。同じ内容のことである。木造建物を建てて土地利用することである。
40年前の土地利用は、周辺一帯は木造2階建の土地利用であったため、貸地の土地の利用目的も普通建物所有目的の賃貸借契約であったとする。
その後、日本経済の成長に伴い、周辺の宅地開発が行われ、また、人口流入によって住む人が増えてきた。それに伴い商店も増え、建物も木造建物からRC造のマンションが増えてきた。
周辺の土地利用はRC造3〜4階建が標準使用となった。
そうした土地利用の中にあって、当該地の借地の土地利用が木造2階建であることは、地域の標準使用とは似つかわしくなくなってきた。
このことは、土地の利用効用が減じたということである。これが土地賃貸借契約に伴うことによって生じる契約減価である。
契約減価は上記のごとくとして発生する。
土地賃貸借契約の当初から、存在する訳ではない。
では、契約減価が発生している状態とは、具体的にどういう状態のことを言い、それが土地価格、地代にどの様に影響を与えるのか。
具体的に例示して説明する。
地域の都市計画上の容積率は300%とする。
標準使用は、RC造の4階建の建物利用とする。
土地面積を200uとする。
その土地上に建てることの出来る建物の延べ床面積は、
200u×3=600u
200u×0.6×2=240u (注 0.6は建蔽率)
240 ───── = 0.4 600
5%×(1−0.6)=2.0%
2%×(1-0.5)=1.0%