○鑑定コラム



フレーム表示されていない場合はこちらへ
トップページ

田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ

前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ

123)住宅ローンの証券化

 横浜市に地盤を持つ地方銀行の雄の横浜銀行が、保有する住宅ローンの債権を証券化するという。(横浜銀行HPプレスリリース、2003年8月20日)

 横浜銀行が保有する住宅ローン債権を信託銀行に信託し、その対価として得られる信託受益権のうち、優先部分約700億円を機関投資家に販売するという。

 地方銀行もやっと住宅ローンの証券化に踏みきった。遅すぎるといっていい位である。もっと早く住宅ローンの証券化に取り組むことが出来たのではないかと思うが、行員あるいは経営者に証券化のノウハウ、判断力をつけるために、現在までの時間が必要であったのであろう。

 とはいえ、都市銀行のあさひ銀行(当時)が、住宅ローンの証券化を実施したのは、2001年12月で、ドイツ証券を主幹事にして発行額1500億円であった。

 国の住宅ローンの専門金融機関である住宅金融公庫が、長い間の研究検討の時間を懸けて、公庫の住宅ローン証券化を行ったのは、2001年3月で、最初は500億円の発行額である。

 これら各金融機関の動きから見れば、横浜銀行の住宅ローン証券化は特に遅いという訳ではない。後日になって振り返って、未だ行っていない金融機関よりみれば、早く着手したということになるかもしれない。

 地方銀行の横浜銀行の住宅ローン証券化に触発されたという訳ではないが、信用金庫の京都中央信用金庫も、今年(2003年)10月から住宅ローンの証券化を行うという。(京都中央信用金庫HPプレスリリース、2003年6月13日)
 いよいよ、金融機関による住宅ローンの証券化が一般化しそうである。

 その貸付住宅ローンの対象不動産で担保となっている住宅不動産の鑑定評価が増えれば、不動産鑑定士にとってはありがたいことであるが、どうもそういう話はあまり耳に入ってこない。

 住宅ローンの証券化は、金融機関が長期住宅ローンとして、住宅を購入する個人に貸付している債権のローン返済額を担保として発行される証券である。不動産証券化の一種であるが、利回りは2%前後であまり高くない。

 不動産証券化として貸ビルの賃料を担保として発行されるものがある。リートと呼ばれるものである。
 利回りは4〜5%とこちらは高い。

 利回り1.5%程度の国債ばかり人気があり、どうしてリートに投資家は目を向けないだろうかと不思議に思っていたが、最近東京証券取引所に上場されているリートの価格がジリジリあがりはじめた。上場リートの規模は小さいから、リートの市場価格はあまりあがらないことを願うが。

 私はプログレスという出版社にも少し関係している。
 そこで初めて出版した書物が、翻訳本で 『入門不動産投資信託』 (R.L.ブロック著、松原幸生・河邑環訳)の本である。
 米国の現ニューヨーク市長であるブルームバーグ氏が、一代で築きあげたブルームバーグ社出版の本であり、アメリカのアメリカ人のリートの初心者向けに書かれた本である。
 リートというものはどういうものか、大変わかりやすく書かれており良い本である。
 訳もわかりやすい日本人の言葉の文章である。
 司馬遼太郎のいう日本人の日本語の文章である。

 日本でもリート市場の拡大が期待されるであろうから翻訳本は売れるであろうと思ったが、売れ行きはかんばしくない。
 プログレス社が発足したばかりで書籍配本取次大手の日販、東販に取引契約出来ていなかったことが1つの原因かもしれない。(現在はプログレス社は日販、東販と発行書籍の書店への配本を取り次いでくれる取次契約を結んでいる。)

 販売ルートを持たないから仕方ないとあきらめていたところ、最近、いきなり300冊の大量注文が、直接飛び込んできた。これには驚いてしまった。
 本当であろうかと、プログレスの出版を実質的に運営している女性が申込先に確かめても300冊購入するという。

 カタカナの名前のアメリカの会社であった。どういう目的で購入して下されるのか、それはわからない。リートに何がしか関係している会社ではないであろうかと思うだけである。

 アメリカの会社というから、アメリカでリート販売しており、日本にもリート販売しようとしたが、それを理解している人が日本の投資家に少ないとわかり、いかに理解させるかとさぐっていたら、アメリカで多くの人々が読んでいるブロック著の入門リートの本が日本で翻訳出版されていることを知り、リート販売のツールとして、こんなに都合の良いことはないと考えて大量の購入になったのではなかろうかと、推測したくなる。

 どんな理由にしろ300冊の大量購入は、売る方の出版社側にとってはありがたいことである。

 地銀、信用金庫による住宅ローンの証券化、そして身近で生じたリートの翻訳本の300冊の大量購入を考えると、日本経済は、確実に何か動こうとしているようだと実感する。

 なんだか最後はリートの本の宣伝になってしまったが、外資が300冊という大量購入した『入門不動産投資信託』という本は、下記ホームページから購入申込み出来ます。

           http://www.progres-net.co.jp/
 頒価は2500円+税です。

フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ

前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ