久しぶりに不動産鑑定評価の名著である門脇淳著の『不動産鑑定評価要説』(税務経理協会 昭和46年12月20日 3版発行)を手にして、部分的に読み直して見た。
何十年ぶりかである。
私が不動産鑑定士になる時に、そしてなってからも分からない時があった時に、何度も繰り返し読み勉強した書物である。
ところどころに鉛筆の下線が引かれている。
そこが大切なところなのかと、今は懐かしく眺める。
門脇淳氏は、著書奥書きから転載すれば、東大法学部を卒業して、大蔵省に入られ、最後は大蔵省税務講習所東京支所長から、日本不動産鑑定協会専務理事となられた。
門脇氏は3つの旧鑑定基準(昭和39年3月の鑑定基準、昭和40年3月の宅地見込地の鑑定基準、昭和41年4月の賃料の鑑定基準)の起草に携わった人であり、昭和44年9月の統一鑑定基準の起草にも深く携わった人である。
不動産鑑定業界にとって、門脇淳氏は、櫛田光男氏と共に、不動産鑑定制度を創り上げた大恩人の方である。
その門脇氏の名著の中の「賃料に関する鑑定評価」の章を読んでいたところ、その章の最後に、「東京霞ヶ関ビルディング(地上36階)貸室条件」が掲載されていた。
霞ヶ関ビルは、1968年(昭和43年)4月に竣工した地上36階(地下3階)のビルである。
日本で最初の超高層ビルである。
構造計算は、東大教授が、当時の最新の理論と計算技術を使って行ったと記憶している。
建築主は三井不動産で、施工業者は鹿島建設と三井建設である。
鹿島建設は、この霞ヶ関ビルの建設によって超高層ビルの建設技術を確実化し、以後多くの超高層ビルの建設を手がけてゆく。
この霞ヶ関ビルの建設を描いた映画『超高層のあけぼの』を観たことを思い出す。
門脇淳著の『不動産鑑定評価要説』P201に、霞ヶ関ビルの事務所、店舗、倉庫のu当り賃料が記されている。この賃料は、霞ヶ関ビル新築時の賃料と思われる。
転載すると、下記である。
(事務室) 階 u当り賃料 33 2,600円 27〜32 2,500円 20〜26 2,400円 12〜19(13階は除く) 2,300円 4〜11 2,200円
(店舗) 1 A 3,000円 B 2,400円 c 2,400円 2 3,000円 3 2,400円 12 2,300円
(倉庫) 各階 1,300円 地下3 1,200円