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1627)北の都会講演(銀座の地価 坪2億円)

 2017年(平成29年)4月7日、銀座7丁目にあるライオン銀座7丁目店6階ホール(中央区銀座7-9-20)で開かれた「北の都会」(第769回)の卓話講師を勤めた。

 演題は、「銀座の地価 坪2億円」という甚だ勇ましいものである。

 「北の都会」は、東京在住の旧制第四高等学校の卒業生が開いていた「四会」を、そのまま東京在住の金沢大学卒業生が引き継いで、毎月原則として「4の日」に、ライオン銀座7丁目店6階ホールで開かれている旧制四と金沢大学卒業生の合同同窓会である。

 旧制四卒業生の出席は最近少なくなり、5〜6名である。少なくなったとは云え、四の帽子を被り、元気に壇上に上がり、「第四高等学校寮歌 南下軍 アイン ツバイ ドライ」と大声を上げて寮歌先導を勤めておられる。まだまだ元気である。

 北の都会には、時々京都大学教授から最高裁裁判官になられた園部逸夫氏も顔を出される。

 また若くして第四等学校の教授となられ、そのまま金沢大学の教授となり数学を教えられた木戸睦彦教授は、100歳を越えられて、なお時々北の都会に顔を出される。

 私が大学1年生になった時、数学の講義を受けた。

 講義は行列式、逆行列の講義であった。

 行列式、逆行列という概念がさっぱり分からず、「大学の数学は何と難しいのか」と驚いたことを、今でも思い出す。

 大学を卒業し、不動産鑑定の道に進んで、データを多変量解析の回帰分析、重回帰分析或いは因子分析、判別分析、林知己夫の数量化によって分析するに、行列式、逆行列に厄介になるとは夢にも思わなかった。

 北の都会の司会・進行係は、西田幾多郎の西田哲学に憧れ、西田哲学の伝統を引き継いでいる金沢大学哲学科に入ったと云う藤村延魚氏である。

 氏の息子は、テレビに時々顔をだす映画評論家、映画コメンテーターの有村昆氏である。

 4月7日の会は、昭和16年4月6日琵琶湖で四漕艇部員と卒業生を含む11名が、漕艇練習中に比良おろしがつくる高波に艇がのみ込まれて遭難し、帰らぬ人となった人々の霊を弔う献花、黙祷で始まった。

 下記に鑑定コラム652)に掲載した写真を再掲する。琵琶湖遭難後に、昭和16年5月10日四講堂で行われた合同慰霊式を写した写真である。クリックすると大きくなります。


琵琶湖遭難慰霊式



 そしてその遭難哀悼歌である「四漕艇班遭難追悼歌」(作詞:石上晃・満島俊次 作曲:加藤二郎 昭和16年)を歌う。

 司会の藤村氏は、「今後この寮歌のほかに、次の歌を我々が歌い継いで行かねばならないであろう。」

と云い、旧制三の「琵琶湖周航の歌」によく似た「琵琶湖哀歌」(作詞:奥野椰子夫 作編曲:菊池博)の曲をホールに流した。

 それは四漕艇部が琵琶湖で遭難してすぐに作られた歌謡曲で、東海林太郎と小笠原美津子が歌ってかなりヒットしたと聞く歌である。

 それが2年前に石川県出身の山本あきという女性歌手が、この「琵琶湖哀歌」をカバーバージョンして唄い出した。

 ホールに流れたのは、山本あき歌手が歌うカバー曲の「琵琶湖哀歌」であった。

 曲に連れて参加者は歌って哀悼した。

 この曲の3番の・・・・オールを揃えてさらばぞと・・・・のところに来ると、やはり涙が湧き上がってきてしまう。

 3番の歌詞は、下記である。

    ♪♪ 比良の白雪溶けるとも 風まだ寒き志賀の浦
       オールをそろえてさらばぞと しぶきに消えし若人よ

 司会の藤村氏の云うごとく、四生遭難を歌った曲そのものであり、私達が歌い継がねばならないであろう。

 山本あき歌手を一度招き、共に追悼する日がくることになろうか。しかしプロの歌手に支払うギャラなど無い事から無理かもしれない。

 山本あき歌手が歌う「琵琶湖哀歌」は、パソコンのユーチューブで、容易く聞くことができる。

 連絡事項が伝えられる間に、サツポロ生ビールの入った大きなデカンタが、テーブル毎に運ばれる。北の都会の会合は、サツポロ生ビール飲み放題である。デカンタが空になれば、次々と運び込まれる。

 乾杯し、料理も運ばれ、懇親会はテーブル毎で話の花が咲く。

 宴もたけなわの頃会いをみて、司会者が本日の卓話にと進める。

 今回で云えば、私の登場と云うことになる。

 北の都会が開かれているのが、東京の商業地の一等地である銀座中央通りに面していると云うこともあり、東京商業地の最高地価の過去〜現在の動きについて講話した。

 話の内容は、過去の鑑定コラムや論文で発表した内容である。

 講話終了後、私が講話することから、ミニクラス会を東京で開こうと云うことが計画され、それに併せて金沢から二人の同窓生が出て来た下さった。

 北の都会への出席、そしてその後の13人の同窓生が集まるミニクラス会に出席された。ミニクラス会には、大学卒業以来初めて会うという友もいた。

 下記に講話で話したレジュメを記す。

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1.土地価格のバブル

 土地価格のバブルは現在のリートバブルを含めて3回ある。

   1回目 平成元年〜2年    平成バブル  
   2回目 平成18年〜19年   不動産ファンドバブル
   3回目 平成26年〜現在   リートバブル

 東京の商業地の最高地価の推移をグラフで示すと、下図である。



最高地価推移

2.銀座の地価 坪2億円

 平成28年3月、東京銀座2丁目の中央通りのビル(持分50%)が130億円で売買された。
 その売買価格から土地価格を算出すると、坪当り2億700万円である。

 ・所在     東京都中央区銀座2丁目 銀座中央通り
 ・取得価格    13,000百万円(持分50%)
 ・取得日    平成28年3月1日
 ・土地面積   394.53u(全体土地)
 ・建物構造   鉄骨造陸屋根地下1階付13階建
 ・延べ床面積  4,339.92u(全体建物)
 ・賃貸面積   3,141.07u(全体建物)
 ・建築時期   平成26年5月
 ・賃料収入   408百万円(投資法人が取得する50%分)

 そして、Jリート投資法人には義務づけられている不動産鑑定評価書の内容が発表されている。その主な数値を記すと、下記である。

 ・鑑定評価額  13,300百万円

 ・収益価格   (直接還元法) 運用益   813百万円    運用費用  111百万円    純収益   709百万円    還元利回り  2.7%    収益価格  13,200万円
  (DCF法)    割引率   2.5%    最終還元利回り 2.7%    収益価格  13,300百万円
 ・積算価格 10,700百万円    土地費率  94.0%    建物比率   6.0%

 上記データより、次のごとく土地価格を分析する。

 積算価格は、10,700百万円である。
 土地・建物の価格割合は、94:6である。この価格割合から、土地価格・建物価格を次のごとく求める。

 建物価格は、

     10,700百万円×0.06=642百万円

 購入した金額は、13,000百万円である。

 建物価格は、上記より642百万円である。

 購入土地価格は、

     13,000百万円−642百万円=12,358百万円

である。

 u当り価格は、

    12,358,000,000円÷197.265u=62,646,694円≒6265万円

6265万円である。

 坪当り換算すれば、

    6265万円×3.30578=20,711万円≒2億700万円


3.地価上昇の原因

 東京高度商業地の土地価格の暴騰の原因は、安倍内閣、黒田日銀の超超超金融緩和の政策である。  この政策により市場に金が出回ったが、その大半は製造業等には行かず、株式市場と不動産市場に流れ込んだ。

 2016年(平成28年)1年間に不動産業に流れ込んだ国内銀行の貸出金は12.2兆円という巨額の金である。全産業の貸出額の25%を不動産業が占め、異常な国内銀行の貸出である。

 過去の不動産業への貸出額を記す。金額は日銀発表時の金額である。その後の確定による変更があるかもしれない。単位億円

          1987年    76,770億円 
          1988年    81,271億円 
          1989年    104,419億円(平成バブル)
          1990年    93,840億円
          1991年    70,774億円(平成バブル崩壊)
          1992年    67,180億円

2006年    91,591億円 2007年    100,859 (不動産ファンドバブル) 2008年    84,072 (リーマン・ブラザーズ倒産) 2009年    69,587 2010年 77,248 2011年    76,826 2012年 82,784 2013年 95,488 (リートバブル突入) 2014年 100,700     2015年 106,735 2016年 122,806


不動産貸出額推移

4.国内銀行貸出額と地価高騰の関係

 国内銀行の不動産業の貸出額と東京商業地最高価格のグラフを重ねると、 見事に一致する。


最高地価と貸出額


5.もう1つの原因

 不動産の賃料から求められる価格を金融商品と見るようになり、不動産利回りを株式利回り、債権利回りと比較して不動産を購入する様になった。

    丸ビルの利回り   2.55%(平成28年3月)
    銀座2億円のビルの利回り    2.7%(平成28年3月)

日経東京一部上場配当利回り 1.64% (平成28年3月期) 国債利回り 1年 ▲0.308% 10年   0.057%


                                                          以 上
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  鑑定コラム652)「四漕艇部琵琶湖遭難昭和16年4月6日」

  鑑定コラム881)「91歳の先輩が友を偲ぶ」


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