鑑定コラム1717)で、飯田市にある飯田高校についての記事を書いた。
飯田市に関係する画家について、少し記す。
画家正宗得三郎と飯田市との関係、そして私の住んでいる府中市との繋がりについて述べる。
現在は福生の横田基地に移ったが、それまではアメリカ軍極東本部は府中にあった。府中の東府中にあった。
その旧米軍極東本部があった跡地の一部に、府中市美術館が建っている。
京王電鉄京王線東府中駅より北方向に向かって徒歩約15分程度にある。
東府中駅を反対の南方向に向かってしまうと、日本ダービー等が行われる東京競馬場に行ってしまう。
その府中市美術館で、現在画家正宗得三郎展が開かれている。
平成29年12月28日までの期日であり、もう残り日数は少ないが、正宗得三郎の絵画が100点ほど展示してある。
正宗得三郎の苗字「正宗」は、名前が苗字になっていると思われる苗字である。
ひょっとすると、先祖は平家一門で、平正宗一族かと、私は思ってしまう。
石川県の能登に時国家という名家がある。
金沢での学生時代に、友達の友達がオートバイで通学していた。
オートバイの所有者は、私の学部とは違う教育学部の学生であったがワンダーホーゲル部に所属していると知り、ワンダーホーゲル部に所属していた友に頼んで、友の友にオートバイを借してくれないか頼んで見た。
友の友は、快くホンダの250CCを貸してくれた。
私は、そのホンダのバイクで、能登半島一周のバイク旅をした。
日本海に面する羽咋千里浜のなぎさドライブウェイを思う存分走り回り、松本清張の推理小説『ゼロの焦点』のラストシーンに出てくる能登金剛・巌門、輪島の棚田である白米千枚田そして狼煙燈台と、オートバイを飛ばした。
その能登半島一周の旅の途中に、時国家に立ち寄った。
時国家の家の前に立った時、その家の門構え、そして家の風格と漂う品格に圧倒されてしまった。今でもその圧倒感を想い出す。
1960年台後半に、「キリンラガー神話」を作ったキリンビールの社長であった時国益夫氏の生家である。
その時国という苗字は、平時国の平を消して名前を苗字にして、平家落人が生き延びて来た。平時国の一族である。
「正宗」の苗字もそうしたいわれがあるのでは無かろうかと推測するが、分からない。それは私の推測に過ぎない。
正宗得三郎とはどういう画家かといえば、その前に正宗白鳥の弟と云う方が理解が早いであろう。
小説家であり、脚本家であり、評論家であった正宗白鳥の3人の弟のうち2番目の弟が正宗得三郎である。
東京美術学校(現在の東京芸術大学)西洋画科で西洋画を学び、パリに数回渡り、マチスに学ぶ。
一学年上に私の好きな青木繁がおり、正宗得三郎は青木繁とも親交を結んでいる。
岡山県出身で、中野にアトリエを構えて居た。アトリエは東京大空襲で焼け、多くの作品を焼失してしまう。
やむなく、信州の旧三穂村に疎開する。3年間ほど疎開生活をする。
そこで多くの山村山河の絵を残している。
戦争が終わり、次兄が住んでいる府中市の西府に移り住み、亡くなるまで府中に住んでいた。
疎開先の信州の旧三穂村は、現在は飯田市三穂地区である。
それ故、正宗得三郎は、飯田市とも縁があり、得三郎の絵は、飯田市美術博物館に幾つかある。
生まれ故郷である岡山県の岡山県立美術館にも幾つかある。
勿論府中市美術館は、市民であったことも有り、多くの絵画を所有している。
現在開かれている正宗得三郎展には、府中市美術館が所有している正宗得三郎の絵の外に、飯田市立美術博物館、岡山県立美術館所蔵の得三郎の絵を借りてきて展示されている。
その府中市美術館で開かれている正宗得三郎展を、私は見に行った。
多くの絵を見たが、作風で大きく変わったという感じはしない。
どれが代表作かと云うのも甲乙付けがたい。どれも出来映えは優れている。
世間で評する「薔薇」が一番かと思われるが、「薔薇」はゴッホにはかなわない。
私は「あざみの花」の絵が良いと思われた。
旧三穂村で描かれた山河風景があった。
三段程度の堰を持つ川を真ん中にした絵であるが、その川は、今でも飯田市三穂地区に流れている川ではなかろうか。阿智川か。バックに山々が描かれているが、それは中央アルプスの恵那山の山々か。
私の書棚に、河出書房が昭和31年に発行した中里介山の『大菩薩峠』全8巻がある。
その挿絵の下部の余白には、「正宗得三郎」の名前が記されている。正宗得三郎が描いた挿絵である。
府中市美術館の正宗得三郎展の案内は、下記のアドレスです。
もしアドレスをクリックして、「このコンテンツはフレーム内で表示できません」が表示されたら、その表示の対処方法の表示「このコンテンツを新しいウィンドウで開く」をクリックして下さい。そうすれば繋がります。
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/masamune.html
正宗得三郎展のチラシのアドレスは、下記です。
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/masamune.files/masamune_chirashi.pdf
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