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1815)公園、緑地指定されている土地の価格修正率

1.はじめに

 公園や緑地に指定されている地域では、建物を建てることは出来ない。

 それら用途に指定されている土地の価格は、それら用途指定されていない土地に比して、どれ程の価格ダウン、価格修正するのが妥当であろうか。

 その価格修正の考え方の一つを述べる。

2.生産緑地

 東京都内及び周辺の市街化区域内農地の生産緑地指定の営農期間延長30年の期限の2022年がせまり、期限到来と共に大量の生産緑地が宅地市場に放出され、宅地化がなされ、土地価格は下落するのでは無いのかという予測が飛び交っている。

 市街化区域内の農地は、生産緑地の指定を受け、30年間営農すれば、その間の固定資産税は50%減という政策が取られている。

 その延長30年の期限が2022年である。

 農業従事者の高齢化が進み、農業を続けることが困難となった。後継者も農業を続ける意志もない。

 とすると農業を止めざるを得ないが、農業を止めると宅地並み課税になって、びっくりするくらい高い固定資産税が課税されることになる。

 このことを知れば、農地を手放す人が続出するのでは無いのかという予測である。

3.生産緑地の課税率50%減

 生産緑地指定を受け、30年間営農するのであれば、その農地の固定資産税の土地課税は50%減となるという政策導入に当たって、その50%減という数値をどの様に導き出したのであろうか。

 50%減の算出根拠は必ずあるはずであるが、私にはそれは分からない。

 しかし、何らかの合理的根拠によって導き出されていると思われることから、この割合を利用して、公園・緑地の価格割合を考える。

4.期間30年で50%減の利回りはどれ程か

 30年間の営農すれば、固定資産税は50%減と云うことは、固定資産税は50%と云うことである。

 固定資産税の優遇とはいえ50%減と云うことは、その固定資産税の課税の元となる土地価格が50%となることと同じである。

 それは0.5となる複利現価と考えられるのでは無かろうか。

 複利現価は、複利の逆数である。

 利率をr、期間をnとすれば、複利終価の算式は、

        (1+r)のn乗

である。

 複利現価は、複利終価の逆数であるから、複利現価の算式は、

                   1
           ────────                                         
       (1+r)のn乗

である。

 期間30年で、複利現価率が0.5となると考えれば、次式が成立する。

                   1
           ────────  = 0.5                                 
       (1+r)の30乗

 この算式より、利率rを求めれば、

                 r=0.023

2.3%である。

5.公園とは

 公園とは、市民が憩い楽しむ為に公開された場所である。都市公園は、都市計画によって造営或いは地域指定された公園・緑地である。

 都市計画で地域指定された公園・緑地は、公園・緑地の指定解除はほぼ不可能に近い。

  6.生産緑地と公園の共通点

 生産緑地と公園とは、一方が農業生産、他方は市民の憩い場所の提供であり、両者には大きな違いがある。

 両者には大きな違いがあるが、緑地空間の確保・提供という要因においては共通点がある。

7.期間100年の生産緑地化は有り得るか

 生産緑地の政策は、一代限りが前提の政策と思われる。二代、三代と続くことを考えられた政策では無いと私には思われる。

 長期間の政策を考えても、期間100年の生産緑地政策は無いと思われる。

 とすると、期間100年程度の期間の複利現価の割合は、農地復帰、宅地復帰する見込みが無い土地価格割合となり、売却価格割合に相当すると考えられる。

 即ち、それは、現在の土地価格修正割合と考えられる。

8.利率2.3%、期間100年の複利現価率

 先に土地の利回りは2.3%と求められた。

 この土地利回りの期間100年の複利現価率は、

                   1
           ────────   =0.1029≒0.103                       
     (1+0.023)の100乗

0.103である。

9.公園・緑地の価格修正率

 上記の考え方より、都市公園として公園・緑地指定されている土地価格は、周辺宅地価格の0.103の修正が必要と分析判断する。


  鑑定コラム1818)
「小金井カントリー倶楽部の固定資産税は高すぎるのでは無かろうか」


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