○鑑定コラム


フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ

前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ

244)東京周辺の県庁所在地の、ある商業地の地代

 東京周辺の県庁所在地の商業地の底地の評価であった。

 底地とは借地権が附着する土地をいう。

 10年程前に、従前土地所有権者が相続税を金額で納める代わりに、底地で国(当時は大蔵省)に相続税を支払ったのである。いわゆる物納した底地の土地である。評価する土地は、その底地であった。

 当該土地賃借人が、国(現在は財務省)が所有する当該土地を買い取るための妥当な価格はいくらかという評価依頼を、当該賃借人から受けた。

 借地人が当該底地を購入するのであるから、借地権と底地が併合されることになり、それは限定価格であり、両価格を合算したものは、更地価格となることと一般的には考えられるが、事はそんなに簡単ではない。
  
 住宅地で、普通建物所有を目的とする土地賃貸借契約であれば、
      借地権価格+底地価格=更地価格
でよいであろう。

 また、4〜6階建のビルの建つ商業地で、堅固建物所有を目的とする土地賃貸借契約であれば、
      借地権価格+底地価格=更地価格
でよいであろう。

 対象地は商業地域で容積率700%、中高層ビル街の中にあるが、土地賃貸借契約の建物所有目的は、非堅固建物所有目的である。

 周辺、同一道路沿には4〜6階建の店舗・事務所ビルが建ち並んでいる。
 対象地のみは、土地賃貸借契約の建物所有目的が非堅固建物所有目的であるために、木造2階建ての土地利用である。
 飲食店を主とした貸店舗に土地利用されていた。

 周辺の土地取引事例より更地価格を求めて、借地権価格割合が70%であるから、当該底地の価格は、
      更地価格×0.3
の価格とは単純には求められない。

 周辺の土地取引事例の価格には、4〜6階建の堅固建物所有の土地利用が折り込まれている価格である。
 その価格と非堅固建物所有目的の土地とは、土地価格形成要因が異なる。

 それ故、周辺の堅固建物の所有或いは利用を目的とする土地取引事例価格と比較した土地価格に、底地価格割合30%を乗じた金額を対象地の底地価格とする訳には行かない。

 対象地の適正な底地価格を求める場合には、一工夫も二工夫もする必要がある。

 対象地は木造2階建の貸店舗に使用されていたため、その底地価格を求めるために、依頼者である土地賃借人から、対象地上に建つ貸店舗の家賃の一覧表を提出して貰った。

 その貸店舗の年額家賃は約1260万円であった。
 そして借りている土地の地代は、年額約177万円であった。

 家賃に占める地代の割合は、
      177万円÷1260万円≒0.140
14.0%である。

 以前、地代を家賃から求める「家賃割合法」の手法を発表した。
 その内容については、本鑑定コラムにも記事にしてある。

 その発表手法の中で、家賃に占める地代の割合は13.5%(標準偏差0.022)と分析した。
 上記14.0%の割合は、家賃割合法の求め方の地代と、当たらず遠からずで、ほぼ一致している。

 我田引水に近いかもしれないが、東京周辺の商業地の地代事例で「家賃割合法」の手法の正当性が一つ確かめられた。

 土地所有権者は、国の財務省である。
 財務省は、貸地の地代の出し方を財務省として一つの算出方式を持っているハズである。

 その算式によって対象地の年間地代が、約177万円と算出された訳である。
 私はその財務省の地代算出式がどういうものか知らない。

 しかし、その財務省の算出した地代が、その土地上に建つ貸家の家賃より求める「家賃割合法」からの地代とほぼ一致するとは。
 たまたま一致ということかもしれないが、驚きだ。


 「家賃割合法」の記事は下記鑑定コラムにあります。
 鑑定コラム226)「家賃より地代を求める家賃割合法」

フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ

前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ