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2673) 共有のマンションの鑑定価格

1.共有不動産とは

 共有不動産とは、1つの不動産を複数の人が所有権を有する不動産をいう。

 不動産は、区分所有不動産も含まれる。

 一般的には、1つの不動産の所有権は1人の所有者が持っているのが普通であるが、相続等の場合、或いは親族等の特殊的な関係において、取得金額の出資金額に応じて共有する場合が生じる。

2.共有不動産の価格の特性

 不動産の価格は、不動産の市場で形成されるものである。

 一人の所有者のAという不動産があり、その不動産が1千万円で不動産市場で売却されるとする。

 そのA不動産が2人の所有者がいる共有不動産であるとした場合、1千万円で売却出来る場合と、出来ない場合が生じる。

 1千万円で売却出来る場合は、共有者の2人が共同で売却する意思表明している場合のみである。

 1人が売却の意思表明して、1人が売却に同意していない場合には、その不動産の売却は困難であり、売ることが出来ない。

 それは共有者の同意がないために、そうした不動産を購入しようとする人がいないためである。

 不動産購入する人は、その不動産の所有権を得て、排他的に独占使用利用することを要求する。

 売却に同意しない共有者の1人が、その不動産に居住している場合、購入者がその不動産を排他的に独占使用することは出来ない。

 そうした状況の不動産を購入する人は居ない。

 それ故、単独所有の場合、1千万円で売却出来る不動産も、共有の場合、売却に反対する共有の1人が居住等占有している場合には1千万円で売却することは出来なく、1千万円の価格価値が無いということになる。

3.売却に反対する人が居住占有している場合の共有不動産の価格

 不動産の利用には、所有権者が排他的独占的に利用する方法のほかに、他人に賃貸し、他人に使用させ、対価を得る方法がある。

 売却に同意しない共有者が居住占有している場合の不動産価値を把握する場合には、上記の後者の当該不動産を賃貸し、その賃料収入によって交換価値を把握する方法がとられる。

 その場合には、売却に同意しない共有者の明渡立退は必要なく、そのまま居住占有することが出来る。

 但し、もう一人の共有者の不動産部分を使用するのであるから、その部分の使用対価はもう一人の共有者の持分不動産を取得した人に支払わなければならない。その対価支払を拒む法的理由はない。

 売却に同意しない共有者が居住占有している共有不動産も、その部分の賃料対価の支払があるということになると、その共有不動産にも市場性が生じ、価格が成立する。

 売却に同意しない共有者が居住占有している不動産の交換価値としての価格は、こうした方法の価格分析することによって市場価値を把握することが出来る。

 この賃料から価格を求める手法は、収益還元法と呼ばれる。

 求められる価格は、収益価格と呼ばれる。

 例を挙げて説明すれば、1戸のマンションを親子2人が共有1/2づつ所有して、居住しているとする。

 この一方が、売却に反対する或いは意思表示をしない状態の、共有マンションの価格はどういう価格かについて述べれば、下記である。

 周辺の分譲マンションの売買事例より、共有の規模のマンションの比準価格は、8000万円と求められたとする。

 そして、そのマンションの収益価格は、周辺賃料から分析して、5000万円と求められたとする。

 売却に同意しない共有者が居住占有している不動産の交換価値としての価格は、5000万円である。

 8000万円の価格になるのは、共有者が売却に同意している場合の価格であり、売却に同意していない共有者が居住占有している場合或いは売却同意の意思表示が不明の場合は、収益価格の5000万円が共有マンションの評価額となる。

 1/2の所有であるから、共有者1人分の価格は、5000万円の半分の2500万円の金額となる。これが、売却に同意しない或いは売却同意の意思表示が不明の共有者が居住占有している共有マンションの1/2所有の鑑定評価額である。


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