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2825) 返り咲きのトランプ大統領に対する日本の主要新聞の論調


 4年振りに米国大統領に返り咲いたトランプ大統領の就任演説に対する日本の主要な4新聞の社説の論調を記す。

(朝日新聞)

1. 長期化する「内向き」

 「人種やジェンダーなど多様性をめぐる保守とリベラルの対立は深まる一方」であり、「二つの米国」といわれる社会の分断を心配する。

2.大国の独善に懸念

 イ、関税の一律引き上げ
 ロ、ウクライナ戦争の終結においては、ロシアの「侵略を決して容認せず、ウクライナの意思を尊重する姿勢を貫くべきだ。」

3.日本は自主外交を

 日本は、「米国だけに頼らぬ安全保障と自由貿易体制を促進する自律外交の領域を広げねばならない。」
 日本は、「どんな国際社会の未来を描き、実現させるか。主体的な思考で日本の針路を定めねばならない。」
(https://www.asahi.com/articles/DA3S16130939.html)

(日本経済新聞)

1.自国第一主義を前面に

 「米国第一」の手法に不安がつきまとう。
 イ、「領土の拡大」パナマ運河の返還を目指すと明言
 「現状変更を一方的に迫る帝国主義的な発想は中国やロシアと見まがう。民主主義国家のリーダーにそぐわず、極めて問題がある。」
 ロ、関税の強化
 「高関税は世界経済に多大な打撃をもたらし、米国にも跳ね返る。保護主義はどの国の利益にもならないことをトランプ氏は心得なければならない。」
 ハ、パリ協定、WHOからの再度の離脱宣言
 「米国は世界2位の温暖化ガス排出国で、新型コロナウイルスでは世界最大級の死者を出した。そんな大国が気候変動や公衆衛生といったグローバルな課題で国際協調を放棄するのは、無責任のそしりを免れない。」

2.日本は多国間の協調の主導を

 日本の役割を次のごとく述べる。
 「日米同盟の強化はもちろん、欧州や豪州といった同志国との多国間協調の発展を主導すべきだ。力を増すグローバルサウスと称される新興国の協力も要る。日本はこれらの国々と米欧の橋渡し役を担いうる。」

 そして、「日本は保護主義のこれ以上の拡大を食い止める努力を続け」、 「環太平洋経済連携協定(TPP)の漂流を阻止し、加盟国の輪を広げ」、「我が国の繁栄をもたらしてきた自由貿易体制の旗を降ろしてはならない。」
(https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK216EM0R20C25A1000000/)

(毎日新聞)

1.旗印の過激さ

 イ、不法移民の排除
 ロ、領土の拡大
 「メキシコ湾の名前をアメリカ湾に変える」と述べ、パナマ運河を「中国が管理している」と主張し、「取り戻す」と語る。
「「主権の不可侵」は国際法の基本である。それを無視してウクライナに侵攻したロシアを、米国は非難していたはずだ。」
 ハ、高関税政策の導入
 「対立国、友好国を問わず高関税政策を導入するというが、報復関税の応酬になれば、世界経済は活力を失う。」
 ニ、パリ協定、WHOからの離脱
 米国のパリ協定、WHOからの離脱は、「国際社会の結束を乱すことにつながりかねない。」

2.日本は主体的な外交を

 「日本にとって最大の国益は、自由な国際秩序を維持することだ。」
(https://mainichi.jp/articles/20250122/ddm/005/070/070000c)

(読売新聞)

1.バイデン路線を転換

 イ、不法移民対策
 「不法移民対策としてメキシコ国境地帯に「国家非常事態」を宣言し、米軍を派遣する方針を示」す。
 ロ、「パリ協定」から再離脱
 「「パリ協定」から再離脱することを決めた。世界的な環境対策の取り組みが後退するのは避けられないだろう。」
 ハ、外国に課税
 「関税を武器に保護主義的な政策を進めても十分な雇用を生み出さず、かえってインフレを再燃させる恐れがある。「米国を再び偉大にする」という公約実現の障害になるのではないか。」

2.報復の執念

 イ、 大富豪の重用
 「起業家のイーロン・マスク氏に官僚機構改革を担わせる。」
 ロ、恩赦
 就任初日は「独裁者」宣言通り、議会承認を必要としない大統領令を連発し、4年前の連邦議会襲撃事件に関与した支持者らに恩赦を与えた。」
 ハ、パナマ運河を取り戻す
 演説で「パナマ運河を「取り戻す」と述べ」、「領土的野心を示してきた。」  「軍事力や経済制裁で他国を 恫喝どうかつ するかのようなやり方は、容認できない。」

3.日米安定の道を探れ

 日本の外交については、次のごとく述べる。
 「ウクライナ戦争の停戦には半年が必要だと認めたのは現実的である。ロシアのプーチン大統領ら強権指導者との直接交渉に頼った事態打開には限界がある。」
 「日本や欧州などの民主主義陣営が結束し、米国を国際協調の枠組みにつなぎとめる努力が欠かせない。」
 そして、「石破首相は2月の訪米とトランプ氏との会談を実現させ、日米関係の安定につなげるべき」と論及する。
(https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20250122-OYT1T50019/)

 日本の主要4新聞の社説について記したが、4紙の社説いずれにも、トランプ大統領が就任演説で述べた「電気自動車の普及策を撤回」する発言については言及していない。

 そして、「宇宙に対する明白な天命を追求し、米国人宇宙飛行士が火星に星条旗を立てる。」と云うことに全く触れていない。

 これらは取り上げる必要性が無いと、4紙の社説論説委員は判断したようだ。私のものの見方と考え方がやや異なるようである。


  鑑定コラム2824)
「「火星に星条旗を立てる」トランプ米大統領就任演説」


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