日本経済新聞の2025年5月15日朝刊の13面は、建設会社の三井住友建設を、インフロニア・ホールディングという会社が買収するということを報じる。
買収額は940億円で、株式公開買付により取得するという。
買付株価は、1株600円で、5月13日終値に10.29%高く設定という。
三井住友建設は、旧三井建設、旧住友建設が、合併した建設会社である。
三井住友建設株式会社の発表されている財務諸表を見ると、2025年3月期の売上高は、速報値によるが、4629億8200万円である。
売上高に対する買収額は、
940億円÷4629億8200万円=0.203≒1/5
売上高の1/5の価格である。
貸借対照表の資産の部の固定資産を見ると、有形固定資産は、366億2200万円である。
有形固定資産に対する買収額は、
940億円÷366億2200万円=2.57≒2.6
2.6倍の価格である。
建設会社は装置産業ではないから、固定資産の中心である土地価格、建物価格は小さい。
損益計算書より利益額を見ると、下記である。
営業利益 75億8700万円
経常利益 37億2500万円
当期純利益 11億8500万円
売上高に対する営業利益率は、
75億8700万円÷4629億8200万円≒0.0163
1.63%である。
買収額に対する営業利益率は、
75億8700万円÷940億円=0.0807≒0.081
8.1%である。
投下資本の回収年は、
1÷0.081=12.5
12.5年ということである。
12.5年で投下資本を回収するという買収価格は、妥当な価格水準では無かろうかと思われる。
私も企業買収及び合併に伴い、多くでは無いが、被買収会社、合併する双方の会社の所有する不動産の鑑定評価を行って来た。
今回の被買収会社である三井住友建設の所有する土地建物の鑑定評価を、不動産鑑定士の誰が行ったのであろうか。
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