○鑑定コラム


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331)新米客員教授の1年間の講義が終了

 平成18年(2006年)4月より、桐蔭横浜大学法学部の客員教授として、不動産鑑定評価の理論と実務の講義を行ってきた。認定単位は4単位である。

 2007年1月の最後の講義は、「不動産鑑定士としての倫理」に付いてであった。

 ただ単なる倫理とはどういうものかを鑑定評価基準に書いてある字面を読んで聞かせても、学生の理解度は薄い。頭の中に倫理の大切さが残らない。

 企業が経営のコンプライアンスを厳しく問われている例を上げながら、何故不動産鑑定士に倫理が強く求められているのか、具体的に不動産鑑定業界で起っている倫理の欠如による不当鑑定の実情を例を挙げて説明した。

 倫理観がどれ程大切か。倫理の欠如によって不当鑑定を行ったことによって、社会的生命、人生を棒に振ってしまう可能性もあるということを話した。

 依頼者は、自分の利益の為に不動産鑑定評価額を自分に有利に書いて貰おうとする誘惑が多いから、それら誘惑に負けず、動じず、しっかりした信念を持って鑑定評価に臨むよう、肝に銘じて置くようにと話した。
 これは言うは易く、行うは難しであると言うことが、実社会に出て分かるであろうが、しかし、頭の隅のどこかにしっかりと入れておくことが、必ずいつかそれがブレーキとなって助けてくれるであろうと伝えた。

 1年間講義したが、私が話したい内容の5分の1程度しか話すことが出来なかった。教え方が下手と言うこともあるかもしれないが、1年間で不動産鑑定評価の理論と実務を全て教えることは無理である。時間が絶対的に足りない。

 しかし、統計学の標準偏差の考え方、回帰分析、、借入金を前提にしたDCF法の求め方は、何とか教えた。
 話せなかった個所はプリントを渡し、各自勉強して欲しいと要望した。

 講義が終わり、単位認定の為の試験問題の作成、採点、採点結果の大学への提出、来年度講義のシラバスの作成、来年度の講義日・時間の割り当て要望書の提出等、2007年1月は、それら事務に追われてしまった。

 今年(2007年)4月より新学期が始まる。
 前年一年の講義は、話し残したことが多かったことを反省し、工夫を凝らしより良い講義をしたいと思っている。

 不動産について全く知識を持っていない学生に、不動産について理解させ、そして不動産鑑定評価とはどういうものかと興味を持たせ、資格を取得してみようかという気持ちを起こさせることは、たやすいことでは無い。
  

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