○鑑定コラム


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441)本省課長に賃料評価基準を見直せと直談判した剛の者

 鑑定評価実務理論雑誌である『Evaluation』29号(プログレス Tel03-3341-6573 2008年5月15日発行)に、「現不動産鑑定評価基準は、賃料の評価基準足りうるか」という論文が掲載されている。

 その論文の著者は、どこかの大学の法学部で、4単位の認定講義を受け持って行っている人のようだ。

 その論文を読んだある不動産鑑定士が、彼も常々同じ事を感じ、鑑定評価基準に疑問を持っていたのか、国土交通省の地価調査課長に面会の予約を取った。

 そして、『Evaluation』29号を持参して、地価調査課長に、現行の鑑定評価基準の価格評価基準は何度も改訂されて、時代の変化に適応する様に改正されているが、賃料の評価基準は全く手直しされず、時代の変化に対応出来ず、不十分過ぎる。中には基準とするには間違いの内容すらあるから、それらを手直しする為の賃料評価基準の改訂をせよと直談判した。

 本省の課長といえば、キャリア官僚である。
 地価調査課長といえば、不動産鑑定、不動産鑑定業界をとりまとめる元締めの部署の長である。

 忙しい本省の課長と面会することすら難しいのに、業務・業界を統括監督する課の課長に、
「賃料評価基準は実態に合わなく不十分である。その為に不動産鑑定士は困り、不十分な現行賃料評価基準によって求められた賃料が、賃貸人・賃借人間に不公平感を生み出していることから改正の必要性が有り、改訂せよ。
 完全な賃料評価基準を作ろうと云う考えを捨て、暫定評価基準という考えを取り入れ、とりあえず2年おきくらいの間隔で見直しすることにして、より良い評価基準に近づけるということで、価格評価基準とは切り離して現行賃料評価基準を改訂せよ。」
と直談判した。

 歴代の日本不動産鑑定協会会長ですら踏み込もうとせず、言い出せなく、行おうとしなかったこと、これら歴代鑑定協会会長のこれら行為は不作為の作為行為とも受け取られるが、その不作為の作為行為を一人の不動産鑑定士が埒があかないと判断して打ち破り、大胆にも実行に移したのである。

 剛の男がいるものである。

 本省の課長に賃料評価基準の見直しを直談判した剛の者に、本省課長の反応はどうだったかと問えば、
 「課長は話しを聞いてくれた。
 反発や拒否の言葉は無かった。
 話に頷づいていた。」
という。

 剛の者が課長に直談判したからと云って、すぐに賃料評価基準が改正されるというものでは無かろうが。

 しかし、とても私など本省の課長に面会することなど出来ないのに、よく本省の課長は、一人の剛の者の不動産鑑定士に面会の時間を割いて下さったものだ。剛の者も感謝して居るであろうが、私もより良い賃料鑑定評価基準への改正を願っている者として課長に感謝したい。

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