NPOの日本不動産登記決済保証システム開発機構(略称J−トライ)を主宰する相馬計二先生から、ナイスという会社が住宅構造材の展示会(2002.7.26〜7.28)を開いているという情報を得て、展示会に行って来た。
東京・有明の東京国際展示場である「東京ビッグサイト」のホールで開かれていた。
新橋より「ゆりかもめ」という自動運転で架橋基盤レールを走る新交通システムの鉄道に乗った。
レインボーブリッジの車道の下を走り、お台場のしゃれた人工渚やテレビ会社の奇抜な建物が車窓から見えた。
会場は人でごった返していた。
住宅機器メーカーの営業マン、地方からのぼり旗を掲げて見学あるいは資材購入に来ていた工務店の社長達のグループが多く目に付いた。
大工、棟梁、職人の人達も多かった。
一般の人、主婦の姿も目に付いた。
展示会を主催する「ナイス株式会社」という会社は東京一部上場会社で、木材の構造材を取り扱う会社である。
日本の木造住宅使用量のうち、その10%を取り扱うという。
今回の展示会の売上高の目標は265億円、来場者25,000人と聞いてびっくりしてしまった。前回展示会の実績からみてその目標達成は可能であるらしい。
檜、杉、集成材等の構造材の展示は当然であるが、構造材の強度試験の実演も行われていた。
阪神淡路大震災で多くの木造住宅が倒壊した。
その原因の一つが柱と土台、柱と梁の接合部で、柱ほぞが土台・梁から飛び出てしまうことによる倒壊であった。
建築基準法は新耐震基準を作り、柱と土台・梁との接合を強化する事にした。
ホールダウン金物の採用である。
横揺れの力が掛かった場合、ホールダウン金物を使用している場合には、柱ほぞは飛び出ない。
ホールダウン金物を使用していない場合は、柱ほぞが飛び出てくる。
ほぞが飛び出ている状態、即ち柱が傾いている状態で、上から2階とか屋根の荷重が加われば家は倒壊するのは当然の理である。
この実験を目の前で見ると、ホールダウン金物の必要性と有効性を改めて痛感した。
しかし、建築現場でホールダウン金物を取り付ける大工さんにとっては、かなり煩わしい作業の一つであるらしい。
ナイスと言う会社が「パワービルド工法」という建築工法を発明し、持っていることは、新聞・雑誌で知っていた。
それがどういうものか具体的に分からなかったが、展示会場に木造2階建の実物一棟の躯体構造が建てられているのを見て、その工法が理解出来た。
集成材の強度と接合部に使用する専用取り付け金具「メタット」にその工法の秘密があるようであった。
展示会には建材メーカー180社がブースを持ち、自社の最新の製品を営業マンが来訪者に売り込みをかけていた。
その中で桐の床材には驚いた。
今迄多くの建物を評価し、その都度内部の床・壁・天井の仕上材を見、仕上げ材の状況を鑑定書に書いてきた。
床材の多くは、木材の場合、ナラやサクラのフローリングが多かった。
高級品では時たま檜のフローリングを見た。
桐のフローリングを見たことは無かった。
桐材は、タンスか高級押入に使う高級建具用木材と思っていた。
しかし桐は床材として優れた特性を持っているらしい。
柔らかいという難点があるが、逆にそれをプラスに考えて、ある幼稚園が床材に桐を全面採用してくれたと桐床材の営業マンは話していた。
工具では大工の墨だしを、墨ではなくレーザー光線で行う「レーザーマーカー」という手の中に入る程の小さい器械に興味を持った。
ハイテクの大工道具への進出は相当進んでいるようである。
展示場からの帰りはゆりかもめに乗らず、近くにあった船着場より水上バスに乗り、浜松町の日の出桟橋に向かった。
料金350円。
クラゲの浮かぶ海上から、東京湾岸沿に建ち並ぶ建物のスカイラインの眺めを楽しんだ。
バリカンの刃を逆さにしたものを屋上に持つ妙な格好のビルが多くなって来ているようだ。
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