○鑑定コラム


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467)横須賀市内の店舗家賃の評価で木更津の賃料事例を採用とは

 神奈川県横須賀市内の店舗家賃の鑑定評価で、賃貸事例を東京湾を挟んだ反対側の千葉県木更津市内の賃貸事例を採用している家賃の鑑定評価書に出くわした。

 その不動産鑑定書は、3つの賃貸事例の全てを千葉県木更津市に所在する賃貸事例を採用して店舗賃料を求めている。

 それはあたかも三重県伊勢市の店舗家賃の評価する時に、伊勢湾の対岸にある愛知県の市の賃貸事例を採用するごとくである。

 或いは高松市内の店舗家賃の評価をするのに、瀬戸内海の対岸の市の賃貸事例を採用するごとくである。

 この賃貸事例の採用は適正であろうか。

 不動産鑑定評価の地域区分としては、近隣地域、類似地域、同一需給圏の区分がある。
 地域の最大の広域地域として同一需給圏を考えたとしても、店舗の賃料事例の採用地域として、横須賀市と木更津市を同一需給圏とは認めがたいのでは無かろうか。

 何もわざわざ東京湾の対岸の木更津市内の店舗の賃貸事例を持ってこなくても、横須賀市内で賃貸事例を捜せばあるであろう。横須賀市内の賃貸事例で賃貸事例比較法を行い比準賃料を求めるべきである。

 横須賀市内で賃貸事例を捜したがどうしても無かったというのであれば、一歩下がって隣接する横浜市金沢区に所在する賃貸事例で比準賃料を求めるべきであろう。

 東京湾の対岸の木更津市内の店舗の賃貸事例と比較して、横須賀市内の店舗の適正賃料が果たして分かるであろうか。

 横須賀市内の店舗の賃料水準を知るには、横須賀市内の店舗の賃料を収集して分析することによって分かるのでは無かろうか。
 その分析によって、当該店舗の賃料が適正水準からかけ離れているのか、離れていないのかがわかる。

 遠く離れていようが、或いはどこの地域の事例でもよいから、賃貸事例と比較すれば、賃貸事例比較法の手法を行ったというものでは無い。

 手法の形式論で事が済むものでは無い。

 私もあきれたが、その不動産鑑定書を受け取った店舗関係者もあきれかえっていた。
 

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