平成20年(2008年)9月末現在で、日本国が所有している外貨準備高は、財務省の発表によれば、9958億9千万ドルである。
やや粗っぽく言えば、約1兆ドルの外貨準備高と言うことになる。
およそ1年程前までは、1ドル=115円程度であった。
つい数ヶ月前は1ドル=105円程度であった。
リーマン・ブラザーズの倒産によってドルの売りが激しくなり、1ドル=100円を切ってしまった。世評では1ドル=80円まで行くのではなかろうかという声も聞かれる。
どこまでドルが売られ下がるのか分からないが、その価格下落を続けるドルを1兆ドル近く持っていても、ドルが下がった分だけ所有資産は目減りすることになる。
1兆ドルの外貨を日本政府は準備高として所有する必要性があるのであろうか。
所有する合理的根拠、それを裏付ける経済理論はどういうものであろうか。そもそも1兆ドルの外貨準備高の所有を合理的に説明する経済理論と言うものがあるのであろうか。
1兆ドルの外貨準備高のうち、金(gold)は218億ドル相当であり、大半は本邦以外の証券である。本邦以外の証券とは、アメリカ国債であろうと思われる。
アメリカの政府関係者及びアメリカの経済学者は、日本が巨額な外貨準備高を保有している事から、現在の世界経済恐慌の状況を抜け出すためには、日本は所有する巨額の外貨を使って沈静化に指導的役割を果たすべきであるという、甚だ身勝手な主張をし始めてきた。
1兆ドルの外貨準備高(1ドル100円で換算すれば、100兆円である)を持っていると言っても、日本政府は国債及び借入金の債務が848兆円(平成20年6月末現在)ある。
その内訳は、
内国債 685兆円 借入金 56兆円 政府短期証券 107兆円 計 848兆円である。