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477)日本の外貨準備高と国債の借金

 平成20年(2008年)9月末現在で、日本国が所有している外貨準備高は、財務省の発表によれば、9958億9千万ドルである。

 やや粗っぽく言えば、約1兆ドルの外貨準備高と言うことになる。

 およそ1年程前までは、1ドル=115円程度であった。
 つい数ヶ月前は1ドル=105円程度であった。

 リーマン・ブラザーズの倒産によってドルの売りが激しくなり、1ドル=100円を切ってしまった。世評では1ドル=80円まで行くのではなかろうかという声も聞かれる。

 どこまでドルが売られ下がるのか分からないが、その価格下落を続けるドルを1兆ドル近く持っていても、ドルが下がった分だけ所有資産は目減りすることになる。
 1兆ドルの外貨を日本政府は準備高として所有する必要性があるのであろうか。

 所有する合理的根拠、それを裏付ける経済理論はどういうものであろうか。そもそも1兆ドルの外貨準備高の所有を合理的に説明する経済理論と言うものがあるのであろうか。

 1兆ドルの外貨準備高のうち、金(gold)は218億ドル相当であり、大半は本邦以外の証券である。本邦以外の証券とは、アメリカ国債であろうと思われる。

 アメリカの政府関係者及びアメリカの経済学者は、日本が巨額な外貨準備高を保有している事から、現在の世界経済恐慌の状況を抜け出すためには、日本は所有する巨額の外貨を使って沈静化に指導的役割を果たすべきであるという、甚だ身勝手な主張をし始めてきた。

 1兆ドルの外貨準備高(1ドル100円で換算すれば、100兆円である)を持っていると言っても、日本政府は国債及び借入金の債務が848兆円(平成20年6月末現在)ある。

 その内訳は、

    内国債      685兆円
    借入金       56兆円
    政府短期証券   107兆円
    計         848兆円
である。

 他方、国家予算を見れば、平成20年の国家予算は83兆円である。
 そのうち25兆円が国債発行によるものである。

 国家予算の国債依存度は、
      25兆円÷83兆円≒0.30
30%である。

 この国債借金が積もり積もって685兆円という、とてつもない巨額の金額になってしまった。

 平成19年(2007年)の名目国内総生産は515兆円である。
 年間の国内総生産を上まわる国債債務を、日本政府は作り出してしまった。

 巨額な外貨準備高、巨額な国債負債、国家予算の30%が借金という国家財政事情という現実を見ると、誰がここまで悪い愚かな国家財政状態にしたのか。関与しているにも係わらず、「わしゃ知らないょ」と言う人は誰か。
 責任を問うと、「私にはそんな権限は持っていなかった」と言い、みんな「わしゃ関係無い」といって責任転嫁して逃げ出すのでは無かろうか。日本人の全く直そうとしない無責任体質丸出しの人間性が表れて来るであろう。

 一体日本国はこの先どういう経済原理、経済哲学、経済理論を持って国家運営をして行こうとするのであろうかと問いたい。

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