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869)ホテル業界は叙勲を年4回にと政府に頼んでみたら

 ホテルの鑑定評価が続く。

 大阪に行って来た。
 ホテルの鑑定評価である。

 ホテル経営者に話を聞くと、ホテルの売上高状況は良くない。
 提出された損益計算書を見ると、売上高の減少が甚だしい。

 東日本大震災の影響が大きく、特に宴会需要が激しく減ってしまったと経営者は嘆く。

 私は、鑑定コラム865)「2011年の大阪の主要ホテルの客室稼働率」で、大阪のホテルの客室稼働率は平均79.6%で、東京よりも10.2ポイント高いことから「大阪のホテル業界は、客室稼働率から見ると好景気にあると言えそうだ」と述べた。

 しかし、大阪に来て、ホテル経営者に会って話を聞くと、どうも好景気とはほど遠いという感触を得た。

 ホテル業界の2011年の状況について、ホテル業界の代表格である帝国ホテルの決算短信の記述で判断してみる。

   1.平成23年6月(第1四半期)

 帝国ホテルの平成24年3月期第1四半期の決算短信は、ホテルの業界について次のごとく述べる。

 「原発事故による安全・安心の懸念から、国外からの宿泊需要が激減したことに加え、国内の消費自粛の広がりも加わり、客室はかってない低稼働となりました。
 さらに、企業を中心とした宴会の取り消しが相次ぐなど、業界全体がかってない激しい状況に追い込まれました。」

 上記をまとめると、

      @ 国外からの観光客が激減した。
      A 宴会需要が激減した。

の2点が平成23年6月時の日本のホテル業界の状況である。

 2.平成23年9月(第2四半期)

   平成23年9月(第2四半期)の帝国ホテルの決算短信記載のホテル状況をまとめると、次の点である。

      @ 訪日外国人の激減 
      A 客室稼働率の大幅低下
      B 宴会需要の低迷

 3.平成23年12月(第3四半期)

   平成23年12月(第3四半期)の帝国ホテルの決算短信記載のホテル状況をまとめると、次の点である。

      @ 訪日外国人の激減 
      A 客室稼働率の大幅低下、秋以降客室稼働率が改善傾向
      B 宴会需要の低迷
      C 円高水準の長期化

 訪日外国人の激減、客室稼働率の大幅低下、宴会需要の低迷の原因は、東日本大震災と原子力災害である。

 秋以降、客足は戻ってきたが、今度は超円高という為替要因がホテル業界を襲う。

 帝国ホテルの決算短信が述べるホテル業界情報が、2011年の日本のホテル業界の姿では無いかと私には思われる。

 大阪のホテル経営者が言っていたこと、即ち、宴会の需要が激減したことが痛いということであるから、宴会の需要をホテル業界は増やすことを考えなければならない。

 企業の社長就任等の披露パーティが少なくなったと云って他力本願で嘆いていても仕方なかろう。

 国内の需要を自ら掘り起こすことを考えなければならない。

 企業の社長交代等のパーティは、現在、企業は元気が無く、あまり期待出来ない。

 小規模ではあるが、ホテルの祝賀パーティの需要として、叙勲者の祝賀パーティはある。
 この需要を掘り起こすことである。
 祝賀パーティを掘り起こすことは、即ち内需の拡大に繋がり、それは景気回復の一つにもなる。

 春秋の年2回日本政府は叙勲している。
 これを4回に区分して行えば、叙勲に伴う祝賀パーティのホテル宴会需要は切れ目が少なくなり、かつ増えるのではなかろうか。
 勿論、ホテル側の顧客獲得のための営業努力が必要なのは当然である。

 叙勲を受ける人は、人生において功なり、名を遂げた人である。
 それなりの金を持っているであろう。
 年輩者でもある。

 自らの人生の祝である。
 銀行預金の幾ばくかをおろして、盛大に自分の人生の最後の栄えあるイベントを飾るために、お金を使うのではなかろうか。

 そうした年輩者の人々が持っているお金を使う事は、それが内需拡大であり、国内消費の増大にも繋がる。

 国内消費が増大すれば、商品の回転もよくなり、景気も良くなってくる。

 ホテル業界は、政府に叙勲を年4回にしてくれないかと頼んでみたらどうであろうか。


  鑑定コラム865)
「2011年の大阪の主要ホテルの客室稼働率」

  鑑定コラム564)「2009年ホテル業界に何が起こっているのか」


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