東京の郊外には、住宅地に隣接して市街化調整区域に指定されている山林がある。住宅地の裏山である。
都市近郊林地に属するものではあるが、それよりも、より住宅地に近い里山と呼ばれる林地である。
市街化調整区域の地域にあるから宅地開発は出来ない。例外的に土地利用することが出来るが宅地利用の困難な林地である。
こうした里山の価格をどの様に評価してよいものか価格査定では大変悩む。まさか宅地見込み地として価格を出す訳にも行かない。といって純山林の価格として反当り10万円(u当り100円)程度と出す訳にもゆかない。
土地価格の1つの特性として「価格の引張り合い現象」という現象がある。
隣接地、あるいは隣接地域同士は、それぞれの要因特性を価格に反映しながらも、隣接地あるいは隣接地域との間に価格の均等を保っている。
市街化調整区域の里山は宅地利用出来ない要因をもっているが、その要因を具有しながらも、隣接する市街化区域の住宅地の価格、あるいは市街化調整区域の既存宅地の価格との間に、価格の均衡が得たれている。「価格の引張り合い現象」というものである。
里山価格を求めるのに、最もよいのは類似の里山の取引事例が近くにあれば良いが、その様にうまい具合には取引事例など、まず無いのが普通である。あっても遠く離れた行政区域の異なる地域の事例である。あまり離れた地域の事例では地域格差率の判定に逆に頭を悩ます。
価格評価の難しい里山価格を、隣接する住宅地の価格より求める1つの方法を検討する。
国土交通省が毎年1月1日時点の土地価格として発表している「地価公示価格」というものがある。
その価格は主として住宅地、商業地等の価格が発表されているが、その中に価格番号で13-1、13-2という「13番」のつくものがある。
この「13番」の番号の地価公示価格は、市街化調整区域の林地価格であるが、それは純山林の林地価格ではなく、都市近郊林地の中でも、住宅地に隣接する林地、即ち上に述べた里山の価格である。
町田市と八王子市の13番林地として次のものがある。価格は平成14年1月1日時点のものである。単位は平方メートル当たりの価格である。
(町田13番林地) 13-1 相原町2294 8,530円 相原駅 2km 13-2 上小山田1872 11,300円 淵野辺駅 4.3km (八王子13番林地) 13-1 美山町946 5,600円 八王子駅 10.2km 13-2 上柚木1644-イ 9,900円 南大沢駅 2.1km 13-3 弐分方町188-1 7,900円 八王子駅 7km 13-4 川口町2455 6,800円 八王子駅 7.8km上記13番林地に近い住宅地の価格(一部市街化調整区域の既存宅地の価格も含む)を捜すと、次のものが得られた。
(町田13番林地に近い住宅地) 69 相原町3166-3 115,000円 相原駅 3.1km 83 上小山田163-1 122,000円 淵野辺駅 3.9km13-1に対応するのが69、13-2に対応するのが83の住宅地価格である。
(八王子13番林地に近い住宅地) 10-3 美山町553-1 63,200円 八王子駅 10.6km 72 上柚木1050-3 125,000円 南大沢駅 2.5km 26 弐分方町82-1 104,000円 八王子駅 6.5km 52 川口町2903 101,000円 八王子駅 8.6km13-1に対応するのが10-3、13-2に対応するのが72、13-3に対応するのが26、13-4に対応するのが52の住宅地価格である。
1. 町田13-1 8,530円 町田69 115,000円 2. 町田13-2 11,300円 町田83 122,000円 3. 八王子13-1 5,600円 八王子10-1 63,200円 4. 八王子13-2 9,900円 八王子72 125,000円 5. 八王子13-3 7,900円 八王子26 104,000円 6. 八王子13-4 6,800円 八王子52 101,000円上記右側の住宅地価格をXとして横軸に、左側の13番林地価格をYとして縦軸にとって、1〜6の価格をグラフにプロットする。本記事を読むだけでなく、実際にグラフ用紙を引っ張りだしてプロットしてみて欲しい。あるいは簡単に目盛りの図を作ってプロットしてみて欲しい。実際に手を動かして行うと理解しやすい。面倒臭がらずやってみることを勧める。
X:近傍住宅地価格 Y:13番林地価格とする。XYを最小自乗法(単回帰分析)で求めれば、
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