○鑑定コラム
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アメリカの航空機製造会社のボーイング社が、最新鋭の旅客機である「ボーイング787型機」の顧客引渡を停止した。
燃料漏れ、バッテリー発火等のトラブル事故が相次ぎ、アメリカ連邦航空局から運行停止命令を受け、事故原因を解明するための処置である。
今年(2013年)に入ってのトラブル事故は、新聞・ネットで私が知る範囲の主なものは下記である。
2013年1月8日 日本航空 ボストンの空港でバッテリーが燃える
2013年1月9日 全日空 山口宇部空港で燃料漏れ
2013年1月11日 全日空 宮崎空港で油漏れ
2013年1月13日 日本航空 成田空港で燃料漏れ
2013年1月16日 全日空 高松空港に機体から煙で緊急着陸
ボーイング787型機のトラブル報道を聞く度に、
「またか。
これで何回目だろうか。
いずれ近いうちに仕事で、この型の飛行機に乗らざるを得ないであろうから、少し心配だなぁ。」
と思っていた。
ボーイング787型機の機材・部品には、多くの日本製品が使われている。
日本企業が製造に関与している。
機体構造部の35%程度は、日本製である。
私も間接的ながら、ほんの少し、ボーイング787型機の製造に関与していることになるかも知れない。
どう関与しているのかといぶかられるかもしれないが、ボーイング787型機の機材・部品製造の製造会社は、工場生産拡大のためには、その製造工場地を新たに取得しなければならない必要性が生じてくる場合がある。
その場合、取得土地の適正時価を知るために不動産鑑定評価を必要とする。
まさか売主の言い値で、価格調査もせずに土地購入する企業はいないのであろう。
また、工場建設する為に銀行からお金を借りなければならない場合が生じることがある。
お金を貸す銀行は、当該土地等に担保権を設定する。
その時に、土地の適正価格がどれ程かが必要であり、不動産鑑定評価がなされる。
当該土地建物が、ボーイング787型機の機材・部品製造のための工場の場合には、不動産鑑定士もその工場を鑑定評価することによって、間接的に関与したことになるであろう。
1千万、2千万の金額では無い。
10億円、20億円或いはそれ以上の金額であるかも知れない。
漠大な土地取得費、工場建設費である。
企業の建設担当者にとって、自分の意思一つで動かせる金額では無い。
企業組織の一員として工場建設に携わることであるから、資金の支出予定等の決済は重役会、常務会そして社長の決裁が無ければならない。
企業の幹部会議そして代表者に、工場建設資金の支出予定等決裁を得るためには、土地価格の妥当性を証明する不動産鑑定書が無ければ、資金支出の決済は降りることはない。
その様なことによる不動産鑑定評価は、何も私一人だけではない。
日本の多くではないかもしれないが、上記のごとくの不動産鑑定評価でボーイング787型機の製造に間接的に関与された不動産鑑定士は、少なからずおられるのではなかろうか。
相次ぐトラブル事故で、ボーイング787型機の顧客への引渡は、停止されてしまった。
トラブル事故の原因が、日本製品によるもので無ければ良いが。
そのことを願う。
株式は、さすがに早い。
ボーイング787型機の製造に関係する日本企業の株価が、敏感に反応している。
ボーイング787型機の製造に関係している日本企業の全てを、私は知らないが、日本経済新聞の記事によれば、関係する主な企業は次のごとくである。
東レ 機体の炭素繊維複合材
三菱重工業 主翼の製造
富士重工業 中央翼の製造
川崎重工業 前部胴体の製造
神戸製鋼所 機体形状記憶のチタン合金
ブリジストン タイヤ
GSユアサ リチウムイオン電池
パナソニック 機内AVシステム
飛行機の心臓部であるエンジン製造を、日本メーカーに任されることはさすがに無い。
GE、ロールス・ロイスが造る。
しかし部分的にであるが、日本のメーカーの石川島播磨(IHI)、川崎重工業、三菱重工業もエンジン製造に参加している。
2013年1月18日(金)の東証株価終値は、下記のとおりである。
東レ 509円
三菱重工業 490円
IHI 241円
富士重工業 1172円
川崎重工業 258円
神戸製鋼所 110円
ブリジストン 2398円
GSユアサ 315円
パナソニック 594円
鑑定コラム1003)「飛行機の価格評価は誰が行うのか」
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