2013年の6月末の日曜日、北海道新千歳空港から東京羽田空港行きの夕方からの便は混んでいた。
北海道余市での会合を終えて、東京に戻るために小樽駅より新千歳空港行きのJRの快速に乗った。
飛行機代支払済の予約していたフライトは、午後5時25分発の便であった。
小樽駅までの道路は、日曜日であるのか混んでいた。
渋滞により、車の進行はままならなかった。
これによって、小樽駅の到着が遅れてしまった。
この事が、私にとって、とんでもない事態を招くことになった。
新千歳空港の予約フライトの出発ロビー入り口の改札口に着いたのが、飛行機出発予定時間の10分前であった。
出発ロビー入り口の改札口に備えてある光認識機にバーコードをかざすと、赤ブザーが鳴った。
入場ストップである。
係員から、
「8番窓口に行って下さい。」
と云われ、8番カウンターに行く。
8番カウンターの女性から、
「この席は、既に空席待ちの方に搭乗手続が終了していますので、お乗り出来ません。
以後のフライトの空席待ちとなります。」
と言われて、空席待ち番号札を渡される。
それから、30分〜1時間毎に出発する東京行きの便の空席待ちとなる。
飛行機の出発時間の20分前毎に、空席待ち情報が伝えられる。
5番カウンターの前に行く。
自分は搭乗できるであろうかといずれの人も思いながら、多くの空席待ちの旅人が集まって来る。
午後6時の便、7時の便、8時の便、9時の便も全て空席待ちの搭乗可の番号は、私の番号まで来なかった。
今日最後の東京行きの便は午後9時半の便であったが、その便にも搭乗可の空席待ちの番号は私の番号まで来なかった。
つまり最終便にも乗れなかったということである。
新千歳空港の待合ロビーで約5時間搭乗を待ったが、東京行きの飛行機に乗ることは出来なかった。
各座席クラス合計して150人程度の空席待ちの人々は、搭乗を断られた。
今日中には、東京に戻ることが出来ないため、明日の便で東京に行くとしても、北海道で今夜は泊まらなければならない。
さて、どうしたものか。
札幌に戻り、ホテルを捜すか。
それとも空港近くのホテルを捜すかと云うことになった。
空港のアナウンスは、
「ターミナルビルは、飛行機への乗降の目的のためにあるため、最終フライトが終わりますと、ターミナルビルは閉鎖されます。」
と告げる。
ターミナルビルから出て行けということである。
航空会社のカウンターの係の人は、帰り支度をし始め、次々とカウンターの明かりを消して行く。
私は、どうしょうかと思案しながら、人影の少なくなった空港待合ロビーをさまよっていたら、動く妙な広告が目に入った。
新千歳空港ターミナルビルの中に、ホテルがあるという広告である。
宿泊者には、同ターミナルビル4階にある入浴料1,500円を必要とする「万葉の湯」という温泉に無料に入れる特典がつくという。
そして、朝食もバイキング方式で無料という広告である。
いくらの宿泊費がかかるか知らないが、温泉に入れ、朝食もついているのであれば、今夜はそこに泊まろうと決める。
「エアターミナルホテル」という名のホテルであった。
ターミナルビルの端にあるのだが、場所が分かりづらかった。
後片付けで未だ残っていた航空会社の女性に場所を聞いて、何とかホテルにたどり着いた。
ホテルフロントで宿泊手続をとるが、ホテルロビーには、空席待ちの5番カウンターの前で見かけた人もいた。
私と同じごとく、最終便の飛行機に乗れなかった人もかなりいるようだ。
料金は、ビジネスホテルの上位の料金で、観光ホテルの様に高くはなかった。
部屋も小綺麗で、広さはツインの広さぐらいで6坪程度か。
ホテルマンに「万葉の湯」の温泉はどこにあるのかと聞けば、ターミナルビルの中にあるが、ホテルから直接行くことは出来ず、ビルのフロアを上がり降りしなければならなく、エンターテイメントのゾーンにあるという。
ターミナルビルは午後11時にしまってしまうから、必ずそれ以前にホテルに帰って来て欲しいとホテルマンは云う。
「万葉の湯」の名前は、「新千歳空港温泉 万葉の湯」 というようである。
泉質はアルカリ性で、PH8.0であった。
大きな温泉湯舟、冷温湯舟、ジャグジー湯舟、サウナ、湯舟2つの露天風呂があった。
入浴客は、結構いた。
2013年6月30日は、開業90年弱の歴史を持つ東京の銀座松坂屋が店を閉じる日であり、銀座松坂屋は閉店最終日と言うことで相当混雑したであろうと思うが、私のその日はとんでも無い日であった。
翌朝、宿泊したホテルの窓のカーテンを開くと、目の前に飛行機が複数駐機していた。
ホテルは出発ロビー階の真上の階にあるようだ。
飛行機が駐機する空港を窓外に見て泊まるホテルも悪く無い。
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