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1107)アベノミクスは未だ勤労者の給与に及ばない

 自由民主党の安倍晋三内閣は、三本の矢等と称して日本経済のデフレ経済脱却の経済政策を進めている。

 その経済政策は、アベノミクスと呼ばれている。
 アベノミクスの影響は、残念ながら勤労者の年収増加ということには未だ及んでいない。

 厚生労働省が『毎月勤労統計調査』という調査を行い、結果を発表している。

 その調査は、事業所規模5人以上の企業に勤める勤労者の、毎月の給与、労働時間、雇用状況を調べるものである。

 調査産業は、製造業、卸・小売業、飲食サービス業、金融・保険業等16産業に及ぶ。

 調査勤労者数は、46,253,000人(平成25年6月)である。

 このうち製造業の勤労者数は、8,048,000人で調査産業の勤労者数の17.4%を占める。

 平成25年6月の調査産業平均の現金給与総額は一人平均433,568円である。
 労働時間は一人平均149.0時間である。時間あたり2,910円ということか。但し現金給与総額には6月支給されたボーナスが入っている。

 収入に関する「現金給与総額」は、所定内給与、所定外給与、特別に支払われた給与の3つの合計である。

 所定内給与とは、月給と呼ばれる定額給与である。
 所定外給与とは、残業代である。
 特別に支払われた給与とは、夏、暮れのボーナスである。

 各産業の勤労者の給与はどのくらいか。

 残業代、ボーナスを除いた所定内給与で比較してみる。
 下記である。平成25年6月の金額である。( )内は、製造業を100とした場合の評点である。田原の計算による。

    調査産業平均      243,262円 (89.5)

鉱業・採石業等    254,649円 (93.7) 建設業        300,944円 (110.7)     製造業        271,742円 (100.0)     電気・ガス業     385,258円 (141.8)     情報通信業      347,589円 (127.9)
    運輸・郵便業     254,012円 (93.5)     卸・小売業      214,947円 (79.1)     金融・保険業     329,905円 (121.4)     不動産・物品賃貸業  267,101円 (98.3)     学術研究等      333,030円 (122.6)
    飲食サービス業等   112,875円 (41.5)     生活関連サービス業  189,001円 (69.6)     教育・学習支援業   300,686円 (110.7)     医療福祉       235,365円 (86.6)     複合サービス事業   270,040円 (99.4)     その他サービス業   207,566円 (76.4)

 飲食サービス業等の給与が少なすぎる。
 恐らく細切れパートタイム労働者のアルバイト料的給与が、かなり多いのでは無かろうかと推測する。

 日本の主産業は金融・保険業でもなく、不動産・物品賃貸業でもない。
 製造業が主産業である。

 製造業が日本の産業の屋台骨である。
 そうしたことから製造業の給与を中心にして考える。

 製造業と調査産業平均の直近1年(平成24年7月〜平成25年6月)の月額現金給与総額は、下記である。平成25年6月は速報値である。

                         製造業            調査産業平均

    24年7月     494,035円      360,773円     24年8月     315,646円      273,565円     24年9月     305,264円      265,178円     24年10月     305,342円      267,027円     24年11月     318,634円      275,250円     24年12月     680,732円      540,577円
    25年1月     307,777円      269,937円     25年2月     303,316円      262,355円     25年3月     311,167円      274,764円     25年4月     312,303円      272,406円     25年5月     305,063円      267,408円     25年6月     485,157円      433,568円 年額 4,444,436円 3,762,808円

 各年の年間給与を下記に記す。

                         製造業            調査産業平均

平成20年 4,490,774円 3,972,630円 平成21年 4,198,069円 3,782,505円 平成22年 4,347,245円 3,805,924円 平成23年 4,419,928円 3,799,685円 平成24年 4,465,550円 3,767,422円 24年7月〜25年6月 4,444,436円 3,762,808円

 上記一覧表の下から2つを取り出して再記する。

                          製造業           調査産業平均
      平成24年         4,465,550円          3,767,422円
   24年7月〜25年6月    4,444,436円          3,762,808円

 取り出した2つの各1年間の金額を良く見て欲しい。

 製造業、調査産業平均の直近1年の年間給与は、いずれも平成24年1年間の年間給与より減少している。

 デフレ経済脱却の最大の脱却要因は、所得のアップである。

 勤労者の場合、所得を現金給与と置き換えて考えることは出来る。

 勤労者の現金給与が増加しなければ、消費も増えず、商品も売れない。
 即ち日本の景気は良くならない。

 アベノミクスの影響は、未だ勤労者の給与増加までは及んでいない。
 株価の上昇に目を奪われて、判断を誤らないように。

 下記に厚労省発表の製造業、調査産業平均の各月現金給与総額、年額を記す。年額は1〜12月を加算したもので、田原の計算による。単位円。


製造業 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年
             
1月 307343 294889 299158 305862 309236 307777
2月 303602 287142 296307 299582 306968 303316
3月 311090 292785 304556 308658 316484 311167
4月 310625 294153 306192 305478 314274 312303
5月 303784 287573 298530 297691 306711 305063
6月 510526 442772 462493 480731 492224 485157
             
7月 507942 463935 484910 496754 494035  
8月 313321 299644 311092 310755 315646  
9月 302698 294255 303343 304685 305264  
10月 303713 295789 302851 306429 305342  
11月 324667 311119 321369 324245 318634  
12月 691463 634013 656444 679058 680732  
総額 4490774 4198069 4347245 4419928 4465550 2024783
平均 374231 349839 362270 368327 372129 337464
             
             
調査産業 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年
             
1月 282082 272793 272187 273079 269613 269937
2月 274803 266239 264261 264751 264454 262355
3月 285974 273163 275961 275442 277462 274764
4月 281700 271711 276319 272231 272470 272406
5月 277395 268319 268592 271175 267741 267408
6月 467938 430928 439118 436144 433312 433568
             
7月 388095 362946 367987 367362 360773  
8月 284657 274324 275060 274041 273565  
9月 273605 265722 267975 266958 265178  
10月 275454 267297 268627 268628 267027  
11月 288588 278328 278914 278256 275250  
12月 592339 550735 550923 551618 540577  
総額 3972630 3782505 3805924 3799685 3767422 1780438
平均 331053 315209 317160 316640 313952 296740


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