イギリスのテスコという年間売上高5兆5千億円のスーパーマーケットが、日本に上陸するという。(日経2003.6.11)
日本の食品スーパーマーケットの「シートゥネットワーク」を、公開株式取得で全株取得して、会社買収するという。
TOB価格は1株当り3400円で、6月10日の終値は2660円である。TOB価格は、
3400円÷2660円=1.24倍
である。
即ち時価の24%アップの買い進み価格である。不動産鑑定の取引事例の事情補正の買い進み修正率データとして、経済人の経済行為の立証データとして使えるのではなかろうか。
買収金額は328億円(最大)という。
シートゥネットワークは「つるかめランド」という店名で首都圏で78店持っている。
売上高は543億円(2003年3月期)で経常利益は39億円である。
TOB買収価格に対する売上高倍率は、
543億円÷ 328億円=1.64倍
である。
売上高に対しては、
1/1.64=0.61
0.61の買収価格であり、かなり高い価格である。
シートゥネットワークの営業利益がいか程かはわからないが、経常利益は39億円である。
経常利益率(経常利益/売上高)は、
39億円÷543億円=0.0718≒0.072
で、7.2%である。
小型スーパーとしては随分と利益率の良い会社である。
小売スーパーの経常利益率は2〜2.5%であるから、7.2%の経常利益率のシートゥは超優良会社である。標準偏差倍率でいえば1.9に近い企業になるか。
大学の入試の偏差値で例えて言えば、偏差値80クラスの超秀才受験生という類か。
テスコ自身の経常利益率も7.3%という。
7%での経常利益率を挙げるスーパーストアの買収価格は、売上高の60%程度の高価格で購入しても、充分採算があうということの実例の一つとして捉えて良かろうか。
経常利益39億円であるから、最大投資額328億円としても、
328億円÷39億円 ≒8.4年
8.4年で投下資本が回収出来ることになる。
東京急行電鉄が売却した、食品製造、加工会社のゴールドパックの購入会社の投下資本回収期間も8年であった事を思い出す。
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