ソフトバンクが、保有する株式会社あおぞら銀行の48.87%の株式を、1011億円で売却するとプレスリリースした。(2003.6.30ソフトバンクホームページ)
売却先はサーベラスという。
株式会社あおぞら銀行は、倒産した旧日本債権信用銀行の再建存続銀行である。
国が多額な国費を導入して、不良資産の償却負担を行い、再建に大きく協力した銀行である。
ソフトバンクは、2000年9月に旧日本債権信用銀行の再建に積極的に参加し、507億円(日経2003.7.1)の巨額な資本投下し、筆頭株主になった。そしてあおぞら銀行の再建に尽力した。今回その持分株式の全部を売却するのである。
3年間で、
1,011億円−507億円=504億円
の利益である。
その間に費用負担はゼロではなく、支出があったであろうが、当初投下資本の年率の投下資本利益率は、
(1+X)の3乗=1011億円/507億円=1.994
X=0.2586≒0.26
である。
3年間で年率26%の利益率は、まさにアメリカ等の外国投資銀行に見られるごとくの姿、そのものである。金融の金もうけビジネスとはこうして行うのだという見本の一つといえよう。
定期預金0.7%程度の利回りで預金している人々の世界とは別の世界が、現実に同時進行して、存在しているのである。
あおぞら銀行の48.87%の価格が1011億円ということであるから、あおぞら銀行の価格は、
1011÷0.4887=2068.7≒2070億円
ということになる。
ではこのあおぞら銀行の価格2070億円という価格は、どの様にして求められたのであろうか。
その金額は、公認会計士や企業買収のプロの人々が、1ヶ月程かかって会計帳簿、債権の内容、貸付先の経営状況を分析審査して得た結論であろうと思われる。
その道のプロが、多大な能力と汗と時間と金をかけて結論にいたった結果を、ここで簡単に価格分析出来るものではない。
しかし、2003年3月期末のあおぞら銀行の財務諸表で、総資産5兆8953億円、貸出金額3兆2710億円、預金残額2兆1383億円、資本金4197億円の銀行の市場価格が、2070億円であるということには大変興味が湧く。
ある人にとっては、あおぞら銀行の市場価格は、貸出金額に対して、
2070億円÷32710億円=0.063
6.3%であり、6.3%の金額で貸出金額3.2兆円の銀行が買えるのかと思うであろう。
あるいは総資産5兆8953億円に対して、購入金額は、
2070億円÷58953億円=0.035
3.5%にすぎない。
市場価格2070億円は安すぎるのではないかと思う人がいても不思議ではない。
損益計算書は、売上高、原価、一般販売管理費、営業利益という具合に表示されるのが一般的である。
銀行の損益計算書は、私はよくわからないが、経常収益、経常費用、経常利益、当期利益と区分表示されている。
どうも銀行の場合、経常収益が売上高に相当し、経常費用が原価及び一般販売管理費に相当し、経常利益が営業利益に相当するのではなかろうかと思われる。
あおぞら銀行の最近2期の損益計算書は次のごとくである。(単位百万円)
2002年3月 2003年3月 平均 経常収益 100,984 101,633 101,308 経常費用 87,278 94,196 90,737 経常利益 13,706 7,437 10,571銀行の経常収益を売上高と解すると、あおぞら銀行の市場価格は、
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