○鑑定コラム
フレーム表示されていない場合はこちらへ
トップページ
田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ
前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ
東京の西の郊外を南北に走る鉄道の1つとしてJR南武線がある。
北の立川と南の川崎を結ぶ鉄道である。
立川〜府中の間は、多摩川の左岸を走り、府中で多摩川を渡り、稲城、川崎と多摩川の右岸を走る。
川崎の海岸沿は東京湾であり、旧日本鋼管の工場を代表とする京浜工業地帯がある。
南武線沿には、そこに働く人々の住宅が多い。
その南武線の稲城市内にある矢野口駅から府中本町駅までの間の鉄路が、2013年12月23日から高架化された。
高架化された距離は4.3kmである。
この総工事費は、598億円である。
598
────= 139億円
4.3
1km当りの工事費は、139億円である。
鉄道の高架化により、10数ヶ所の踏切が無くなった。
踏切によって幹線道路では、渋滞が日常化されていたが、それがほぼ解消されることになる。
高架化の好影響を最も受けるのは、大丸(おおまる)の踏切が無くなる府中街道ではなかろうかと思われる。
府中街道は、川崎駅の近くの国道1号線から北の所沢駅までを結ぶ街道である。
環状8号線以西で初めて川崎と埼玉・所沢の南北に走る幹線であり、両地域を結ぶ物流には無くてはならない道路である。
大丸の踏切が府中街道の大渋滞の原因の一つであった。
平日でも込むが、府中街道沿に中央競馬会の東京競馬場(通称府中競馬場)があるため、東京競馬が開催される時の混雑は特にひどい。
大丸の踏切が無くなることによって、府中街道の大丸での渋滞はかなり緩和されると思われる。
千葉の木更津方面、川崎、羽田空港に車で行く時には、府中街道をよく利用している私にとっては、大丸の踏切が無くなることは大変喜ばしいことである。
2004年に、千葉ニュータウンにある小室駅〜印旛日本医大駅の12.5kmの鉄路等が売買された。
その価格は、1km当り15.5億円であった。(鑑定コラム150 鉄道の価格1km15.5億円)
この価格と比較すると、高架化の建設は多大な費用がかかるようだ。
電車が全く走らない状態で工事するならば、工事費も安く時間も短いであろうが、既存の電車を運行させながら、その運行に全くの支障をきたさず、高架の上り線、下り線を作りあげる工事は甚だ難工事であり、高度の土木技術が要求されるものである。
とはいえ巨額な建設費を投下した訳であるから、それなりの経済効果がなければならない。
公共事業の投下資本における経済効果の弾性値は計算されており、どれ程の経済効果が生じるかは判明しているであろうが、土地価格にはどれ程の影響が出るであろうか。
下記に矢野口駅から南多摩駅までの南武線沿の土地価格を記しておく。
数年経って比較すれば、高架化によって土地価格がどれ程の影響を受けたか少しは分かるのでは無かろうか。
土地価格は、国土交通省が発表している平成25年1月1日時点の稲城市内の地価公示価格である。
公示地番号 所在 駅距離 u単価
稲城−2 東長沼1986-9 稲城長沼駅600m 214,000円
稲城−4 押立763-1 矢野口駅950m 187,000円
稲城−15 大丸791-2 南多摩駅700m 197,000円
稲城−16 矢野口772-4 矢野口駅500m 208,000円
稲城−23 東長沼321-5 稲城長沼駅530m 216,000円
鑑定コラム150)「鉄道の価格1km15.5億円」
鑑定コラム1151)「首都高速道路高架建替工事費1km当り475億円」
鑑定コラム1426)「仙台地下鉄工事費1km当り165億円」
▲
フレーム表示されていない場合はこちらへ
トップページ
前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ