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2013年12月16日の日本経済新聞に、大手不動産業者の社長に同紙の記者がインタビューした記事が載っている。
その記事から判断すると大手不動産業は景気が良さそうだ。
小竹洋之編集委員による野村不動産ホールディングス中井加明三社長のインタビュー記事である。
同新聞の『月曜経済観測』で、「住宅市場、活況続くか」のインタビュー記事である。
そこで、中井加明三社長は、目標の連結営業利益650億円を2年前倒しで2014年3月期に達成出来そうと云う。
2年後のプラスの経営予測を、2年前に達成出来るということである。
それだけ営業環境が良くなっているということである。
分譲マンションの売れ行きがすこぶる良いようである。
その例として、野村不動産ホールディングスも開発に参加している新宿の「富久クロス」について、
今年(2013年)9月 482戸
今年(2013年)10月 180戸
今年(2013年)12月 126戸
が売出しと同時に即日完売したことを挙げる。建物は現在建築中であり、出来上がるのは、1年半後の平成27年5月のマンションである。
その分譲マンション価格は、中心価格帯が6000万円台であると云う。
購入者の年収は、1000万円程度という。
例えば価格7000万円で専有面積71uとすると、
7000万円÷71u=98.6万円/u
98.6万円×3.30578≒326万円/坪
坪当り326万円のマンションということになる。
富久クロスの土地は、新宿区に所在している。
靖国通り沿いの土地で、都営地下鉄新宿線の新宿三丁目駅と曙駅の中間辺りにある。
20数年前の平成バブル時の地上げの騒乱に巻き込まれ、その後のバブル崩壊によって虫食い状態に成った地域である。
私もそこを訪れたことはあるが、バブルの後遺症の凄まじさを実感した処でもある。
町を取り戻そうとする住民の努力、住都公団、新宿区の協力によって、20数年後に市街地再開発によって地域がよみがえることになった。
55階建ての分譲戸数1093戸の富久クロスマンション(完成平成27年5月)を中心にして、総戸数1230戸の地域再開発による良好な地域に変貌しょうとしている。
この虫食い状態の地域を、再開発によって立て直そうとして、コーディネイトとして街づくりに献身的に協力し努力した一人の女性がいる。早稲田大学を卒業した若い女性である。
この女性が富久町の再開発街づくりに取り組み歩んだ道を、誰か映画にしないだろうか。
激動した平成のバブルの時代で生き、地上げ屋の跋扈、銀行の強制的な貸しはがしで、破壊された地域を、55階建ての超高層マンションを建てることで、地域を見事によみがえらせた一人の女性の苦闘、考え、働きを描くことは、現代の新しい女性の力強さ、素晴らしさを見いだすことになるのではなかろうか。
中井氏が、現在の懸念事項として、建築費の高騰を挙げる。
「2011年3月期の底から、すでに23%上昇している」
と上昇率の数値を挙げて、建築費の高騰に悲鳴を上げる。
この原因として、
@ 東日本大震災の復興事業に伴う公共事業の増加による建設業の人手不足
A それに伴う労務費の値上り
B 円安に伴う輸入資材の値上り
を挙げる。
今後の需要の1つとして、
「駅や医療機関に近い住宅を求める高齢者が増えている」
といい、その掘り起こしも1つと云う。
駅に近い立地の住宅は、不動産業者の住宅地の売り込み姿勢としては、当然の考えである。それは不動産業者の考えでなく、住宅地を求める購入者の基本的考えの1つである。
医療機関に近い住宅を求める高齢者が増えているということを、大手不動産会社の社長が指摘することに、耳新しさを私は感じる。
相当以前であったか。
東北の日本海沿の小さな町に土地の鑑定評価で訪れた。
取引事例を捜し求めて、小さい町をあちらこちら聞き込みをしていた時に、病院の近くに土地を買い移り住んだ住民の老人から、下記のようなことを聞いた。
「この周辺に住んでいる人は、町中から病院に近いからと言って引っ越して来た人々が殆どだょ。
歳行くとなんだかんだと言って、病院通いになる。
総合病院の近くにいれば、何かあったとしてもすぐ病院に駆け込めて安心だ。
この町の高級住宅地は、総合病院に近いここの地域だょ。
他の町のことは知らないが。」
この老人の言葉を聞いて、わたしは、総合病院は病気を持ったいろんな人が集まる処であるから、避けたい施設と思っていたが、その考えは間違いで、むしろ総合病院の近くに住もうという人が出て来ている時代の変化を当時感じた。
医療機関に近い住宅を求める高齢者が増えていると云う中井氏の言葉から、時代の変化をより実感する。
鑑定コラム784) 「総合病院の近くの住宅地が良い」
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