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口紅の色と景気は関係あるのだろうか。
日本経済新聞の2014年1月27日の月曜経済観測のコラムで、「化粧品市場とアベノミクス」と言う課題の記事が載った。
化粧品会社の資生堂会長兼社長の前田新造氏のインタビュー記事であった。
聞き手は日経記者の吉田忠則氏である。
そのインタービュー記事で、前田新造氏が化粧品業界の状況と景気判断について、次のごとく述べている。
「2012年までは化粧品の単価がどんどん下がり、売れ筋は低価格にシフトしていた。ところが昨年に入って流れが変わ」ったと云う。
そして、「真っ赤な口紅がぐっと売れるようになった」と云う。
その赤は、「漆のような鮮やかな赤」と表現する。
この赤い色は、「1980年代後半のバブル時代にも同じような傾向があった」と云う。
化粧品の会社のトップだけあって、女性が赤い口紅を使う理由について、女性の心理を次のごとく読み解く。
「最近はやり出した赤は気分が乗っていて、自己主張が強くなっているときでないと使いにくい色だ」と云う。
即ち、赤い口紅は、
@ 気分が乗っている
A 自己主張している
を表しているのだと分析する。
この赤い口紅が流行りだした現象を捉えて、この現象は、
「景気が回復しつつある証しといえるだろう」
と判断する。
景気と色彩とは相関関係があるだろうか。
東京の電車で通勤する男性の冬のコートは、ここ数年は黒っぽいコートが殆どである。
白色系、灰色系、茶色系のコートは殆ど見かけなくなった。
長い不景気が続き、気分も落ち込み、コートの色も地味な黒色系統になってしまったようだ。
これを見ると、景気と色彩とは無関係ではないようだ。
毎年の色彩の流行を予測している一般社団法人日本流行色協会の発表では、1987年のはやった色は「赤などのビビッドカラー」であった。
これは、資生堂の会長兼社長の前田新造氏が、「1980年代後半のバブル時代にも同じような傾向があった」という発言を裏づけている。
1987年とは、昭和62年である。
昭和62年は、丁度平成バブルが始まった時で、東京の商業の地価が月10%のごとく値上がりしている地価暴騰の真っ盛りの時である。
その時に赤い口紅が流行った。
口紅の赤が、最近云われ出したが、「赤色」が世の中に目だつようになったのは、昨年のはじめ頃からである。
それを実証するごとく、昨年の5月の日本経済新聞に赤色の流行の兆しが報告されている。
日本経済新聞の2013年5月18日のプラス1『エコノ探偵団』で、赤色の流行が報じられている。
日経記者の加賀谷和樹氏が、「流行色、景気と関係あり?」という課題の特集記事を書いている。
その記事では、新生銀行の発行するキャッシュカードが「株価が上がるとローズピンクなどピンク系色の発行枚数が増える」とか、広島マツダでは、新車のアテンザはカラー車が2割を占め、「赤いアテンザの人気は景気と無関係ではないでしょう」という談話も載せられている。
家電メーカーでは、調理家電は赤色ブームであると報告されている。
2013年は株式及び土地価格が上昇した。
資産バブルを引き起こした。
この資産バブル傾向が景気回復を暗示し、色彩の赤い色のはやりの引き金になったのであろうか。
鑑定コラム1145)「日経西村記者のニューヨークだより 伸びすぎたゴムは縮む」
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