1145)日経西村記者のニューヨークだより 伸びすぎたゴムは縮む
日本経済新聞の西村裕之記者がニューヨークから、有益な現地情報を伝えてくれる。
『ウオール街 ラウンドアップ』のコラムで、「株価と物価、格差に懸念」と云う課題での記事(2013年11月22日 夕刊)である。
アメリカの金融政策、FRBの動きなどはある程度の知識は持っているが、現地の特派員の目で見、肌で感じ実感している報告は、より現実さを知ることが出来る。
西村記者は、現在のアメリカの金融状況を次のごとく伝える。
「相次ぐ量的緩和でFRBの資産(マネーの供給量)は4倍強にふくらんでいる」
しかし、市場に出回る金は、「危機前の約4割強」にとどまると云う。
4倍の金が発行されているのに、市場にはそれが全部回っていない状況のようである。
その原因は何かというと、ウエルズ・ファーゴのハウス氏の発言を引用して「需要の弱さから設備稼働率も低迷が続き、実質での融資も危機前を下回っているため」という発言を紹介する。
西村記者もハウス氏も「危機前」という言葉を使っているが、その「危機」とは具体的にどのことをさすのかアメリカ経済に疎い私にははっきりと分からない。FRBが量的緩和をせざるを得なくなった時の経済状態をいうのか。
アメリカの株価上昇は、市場に出回るお金が少ないとは云え、出回ったお金は、物造りの経済活動を素通りして、金が金を生む株式投資に向かっていることによって生じていると西村記者は指摘する。
そして最後に西村記者は、現在のアメリカのFRBの政策を見事に分かり易くあかしてくれる。
FRBの金融の量的緩和の目論見は、「資産価格上昇→消費増→物価上昇」の連鎖期待と云う。
そして、「株価ばかりが先行すると、伸びすぎたゴムが縮むように揺り戻しがおきかねない」と結ぶ。
日経の西村裕之記者は、良い記事を送ってくれる。
日本の日銀の金融政策は、FRBの政策をそっくり真似してやっているようではないのか。
アメリカの株価は、最高値(NYダウ16,097.33ドル 2013年11月27日)を記録し高騰している。
日本の東証株価も何年ぶりかの高値株価(日経平均15,749.66円 2013年12月3日)を付けた。
これからどうなることか。
鑑定コラム736)「2010年の中国の不動産融資額は25兆円」
鑑定コラム1166)「女性の真っ赤な口紅の色が目につくようになった」
▲