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1208)太陽光発電の地代は売上高の11%

 毎月1回開かれている田原塾も25回目を迎えた。

 開塾してからほぼ2年になる。
 1年程前までは、内幸町の旧鹿鳴館跡地に建てられているビルの中の英国風パブ居酒屋の一室で行っていたが、最近1年間は、赤坂のホテルニューオータニの一室で行っている。

 1時間の講話後、同じ部屋でのアルコール飲み放題の懇親会は同じように行っている。
 これらにはしっかりした優れた幹事達が居るため、私は全くタッチしていない。

 講話は、賃料の家賃・地代について、私の失敗談を交え、賃料の求め方、賃料鑑定で陥り易い落とし穴、間違っている賃料鑑定の実例等について話して来た。

 2年の講話で賃料についてほぼ話し終えた。

 最後の講話として、太陽光発電の地代について話した。
 その講話テキストに加筆して、太陽光発電の地代について述べる。

 太陽光発電に大企業や役所も多く参加し始めた。
 自らが太陽光発電事業を行う場合もあるが、所有土地を貸している場合もある。

 電力買取制度によって、収入がはっきりと把握出来、事業の採算が計算されやすいと云うことも、普及の一つの要因であるかもしれない。

 太陽光発電の貸地の地代はどれ程なのか、これについて述べる。

 ビークラウド株式会社と言う企業が、pvn24というウエブサイトで地代情報を公表していた。

 そのデータは下記である。地代はu当り円で、年間である。

        所在             契約日      地代    設備容量    面積

 @ 宮崎県川南町    2012年7月  200円   2MW 30,000u    A 大分県宇佐市    2012年8月  249円    2MW 37,000u    B 香川県三豊市    2012年8月  787円    2MW 15,000u    C 山口県下関市    2012年9月  166円   1.5MW 24,081u    D 岡山県津山市    2012年9月  211円   1.6MW 45,000u
  
 上記のほか、私が調べた公共団体が貸地にしている地代事例は、下記である。

 E 水戸市南谷津池   2013年2月  300円              25,000u
 F 水戸市旧枝内浄水場 2013年2月  210円               5,400u
 G 神戸市北区山田町  2012年11月  440円              18,040u

 上記地代@〜Gの8例の平均は、u当り320円(年間)と求められた。

 太陽光発電の貸地の地代は、年間u当り320円と云える。

 では、この地代の発生する貸地の売上高はどれ程であろうか。

 太陽光発電による売上高は発表されていないため、売上高を計算してみる。

 設備容量2MWの太陽光発電の売上高を求める。
 求める条件として、電力会社の買上価格は、1kw当り40円とする。
 稼働率は11%とする。

 この稼働率11%は、鑑定コラム914)「ゴルフ場が太陽光発電畑に」で分析した数値である。これを採用する。

 1kwの1000倍が、1MWである。

 設備容量2MWとは、

      2kw×1000=2000kw

2000kwということである。

 設備容量2MW、即ち2000kwの年間発電量は、下記で求められる。

     設備容量2000kw×24時間×365日×0.11(稼働率)=1,927,200kw時
                                                  (年間発電量)

 年間発電量は、1,927,200kw時である。
 発電力の買上価格は、1kw当り40円である。

 売上高は、

     40円/kw×1,927,200kw時=77,088,000円
                           ≒77,000,000円

7700万円ということになる。

 設備容量1kw当りの収入を求めると、

          7700万円
                 ──────= 3.85万円                           
                    2000kw

3.85万円である。

 上記@の地代200円の宮崎県川南町のソーラ(2MW)の年間地代は、

   200円×30,000u=6,000,000円

600万円である。

 売上高は2MWの売上高として、前記で求められている。7700万円である。

 売上高に対する地代の割合は、

                  600万円
              ──────=0.078                                   
                 7700万円

0.078である。

 上記Aの地代249円の大分県宇佐市のソーラ(2MW)の年間地代は、

   249円×37,000u=9,213,000円

921万円である。

 売上高は2MWの売上高として、前記で求められている。7700万円である。

 売上高に対する地代の割合は、

                  921万円
              ──────=0.12                                    
                 7700万円

0.12である。

 上記Bの地代787円の香川県三豊市のソーラ(2MW)の年間地代は、

   787円×15,000u=11,805,000円

1180万円である。

 売上高は2MWの売上高として、前記で求められている。7700万円である。

 売上高に対する地代の割合は、

                 1180万円
              ──────=0.153                                   
                 7700万円

0.153である。

 上記Cの地代166円の山口県下関市のソーラ(1.5MW)の年間地代は、

   166円×24,081u=3,997,446円

400万円である。

 設備容量1.5MWの売上高は、1kw当り3.85万円と分析されている。

       3.85万円×1,500kw=5775万円

 売上高は、5775万円である。

 売上高に対する地代の割合は、

                 400万円
              ──────=0.069                                   
                 5775万円

0.069である。

 上記Dの地代211円の岡山県津山市のソーラ(1.6MW)の年間地代は、

   211円×45,000u=9,495,000円

950万円である。

 設備容量1.6MWの売上高は、1kw当り3.85万円と分析されている。

       3.85万円×1,600kw=6160万円

 売上高は、6160万円である。

 売上高に対する地代の割合は、

                 950万円
              ──────=0.154                                   
                 6160万円

0.154である。

 上記データのEFGは、設備容量が不明である。
 このデータの売上高は、次のごとく求める。

 上記@〜Dの売上高と土地面積より、土地1u当りの太陽光発電の売上高を推定して求める。

 上記@〜Dのデータの売上高と土地面積は、下記である。

              売上高         土地面積        土地u当り売上高

   @  77,000,000円 30,000u 2,567円 A 77,000,000円 37,000u 2,081円 B 77,000,000円 15,000u 5,133円 C 57,750,000円 24,081u 2,398円 D 61,600,000円 45,000u 1,369円 平均 2,710円
(注) 土地u当り売上高は、 売上高÷土地面積 の算式で求める。

 土地u当りの太陽光発電の売上高は、2,710円である。

 上記Eの地代300円の水戸市南谷津池のソーラの年間地代は、

   300円×25,000u=7,500,000円

750万円である。

 売上高は、土地1u当りの太陽光発電の売上高は、2,710円と分析されている。

       2,710円×25,000u=67,750,000円

 売上高は、6775万円である。

 売上高に対する地代の割合は、

                 750万円
              ──────=0.111                                   
                 6775万円

0.111である。

 上記Fの地代210円の水戸市旧枝内浄水場ソーラの年間地代は、

   210円×5400u=1,134,000円

113万円である。

 売上高は、土地1u当りの太陽光発電の売上高は、2,710円と分析されている。

       2,710円×5,400u=14,634,000円

 売上高は、1463万円である。

 売上高に対する地代の割合は、

                 113万円
              ──────=0.077                                   
                 1463万円

0.077である。

 上記Gの地代440円の神戸市北区山田町ソーラの年間地代は、

   440円×18,040u=7,937,600円

794万円である。

 売上高は、土地1u当りの太陽光発電の売上高は、2,710円と分析されている。

       2,710円×18,040u=48,888,400円

 売上高は、4890万円である。

 売上高に対する地代の割合は、

                 794万円
              ──────=0.162                                   
                 4890万円

0.162である。

 以上をまとめる。

         データ             地代割合

      @      0.078       A      0.120       B      0.153       C      0.069       D      0.154       E      0.111       F      0.077       G      0.162  平均 0.1155

 太陽光発電の売上高に対する地代の割合は、小数3位以下切りすてて0.11、即ち11%である。

 この地代割合は、電力買上価格1kw当り40円、稼働率を11%として求めたものであり、電力買上価格、稼働率が異なれば売上高に対する地代割合も異なってくる。

    (2014年5月22日開催の田原塾5月会の講話テキストに加筆して)
****追記 2016年8月16日  Cのデータの計算間違いがあり、一部数値を訂正した。

  鑑定コラム914)
「ゴルフ場が太陽光発電畑に」

  鑑定コラム1209)「太陽光発電の屋根貸付料はu231円(年間)」

  鑑定コラム1214)「稲作より太陽光発電貸地の方が収入大」



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