○鑑定コラム
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不動産情報紙である住宅新報（2003年10月14日号）が、紙面のうち2面全面を使って、東京カンテイ調査による「3大都市圏中古マンション価格」を発表した。
首都圏、中部圏、近畿圏の2536駅勢圏の2002年、2003年（各年6月〜8月の3ヶ月間の調査）の中古マンションの価格を発表した。価格は売り希望価格である。
記事の情報を提供した東京カンテイは、マンションを主として、不動産調査情報会社である。情報を売って商売している会社である。その会社が、よくぞ、財産である情報の1つの2536駅勢圏のマンションの価格を公開したものだと驚く。
このデータ分析するためには、東京カンテイは億に近い金をつぎ込んでいるのではないかと私は思う。
それだけの情報を無償公開するとは、東京カンテイの英断に敬服する。
データ発表は、駅勢圏の中古マンションの平均坪当り価格と、そのデータの平均築年数である。
例えば町田駅勢圏の中古マンション価格は、
2003年 148万円（4.5年）
2002年 151万円（4.7年）
という具合である。
このデータの裏側には、マンション名、所在地番、最寄り駅距離、面積、部屋方位、位置階、ベランダ面積、間取り、ルーフバルコニーの有無、1階庭の有無、角部屋か否か、ＲＣ造、ＳＲＣ造、階数、土地持分割合、管理費、建築年、建物施工業者等のデータがひそんでいる。
それらデータのうちの価格と築年のみの公表であるが、その事すら非常に貴重なものである。
発表された多くのデータから、東京都内のマンションのベスト10の駅勢圏と価格を選出すると、次のごとくである。（単位坪当り万円）
2003年 2002年
1 広尾 330 広尾 331
2 恵比寿 325 外苑前 315
3 表参道 312 表参道 311
4 外苑前 306 恵比寿 292
5 月島 275 月島 286
6 白金台 258 白金台 277
7 青山一丁目 252 溜池山王 264
8 半蔵門 251 代々木上原 251
9 四谷 251 九段下 250
10 麻布十番 245 麻布十番 245
平均 280.5 282.5
個別駅勢圏の中には価格の上下が認められるものもあるが、上位ベスト10の平均で見れば、東京のマンション価格の、この一年間はほぼ横ばい状況と思われる。
東京のマンションで一番高いのは、広尾のマンションで坪当り330万円である。面積25坪とすると、
330万円×25坪≒8300万円
8300万円のマンション価格である。
広尾駅勢圏には聖心女子大学、慶応幼稚舎、有栖川宮記念公園、各国外国大使館等があり、都内指折りの高級住宅地である。
広尾駅近くに南部坂がある。
赤穂浪士の大石内蔵助の「雪の南部坂涙の別れ」の坂は、ここの南部坂ではない。それは赤坂2丁目の南部坂である。
有栖川宮記念公園の南部坂には、ドイツ大使館が建っている。その南近くの青木坂には広大な敷地のフランス大使館がある。
南部坂の相続税路線価(相続税算出の時に使う土地価格)は、2003年度で平方メートル当り90万円である。
時間がある人は自宅の前の路線価はいくらしているか調べて、南部坂の路線価と比較するのを勧める。自分の住んでいる所と広尾の南部坂の地域の比較が出来る。広尾という住宅地を、地価という目線で推し量ることが出来る。
その平方メートル当り90万円の価格に近い価格を基準にして、固定資産税が課税されているのであるから、その毎年の固定資産税・都市計画税の支払い額を考えると、東京の指折りの高級住宅地とはどういう地域なのか想像出来るのではなかろうか。
路線価は国税庁がインターネットで無料公開しており、北海道から沖縄まで、倍率地域でなければ、どの地域の土地のものも知ることが出来る。政府の行政サービスとしては優れた行為である。
その南部坂をのぼり、時々、有栖川宮記念公園内にある東京都立中央図書館に、鑑定評価の資料の捜しもの調査で行くことがある。
都立中央図書館横の有栖川宮記念公園の広場を歩くと、ここは一体どこの国の公園かと錯覚する。種々の言語が飛び交い、髪や皮膚の色の違った多くの子供とその若い母親達が、公園広場で時間をすごしている。
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