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1266)車返団地事件 『平成25年度重要判例解説』(ジュリスト)に選ばれる

 前記鑑定コラム1265)「車返団地事件 再上告棄却」をアップしたところ、ある弁護士から、そのコラム記事の中の最高裁の破棄事件割合が違うというご指摘を、判例時報に掲載された論文を添付して、やんわりと頂いた。

 平成25年度の最高裁の破棄事件数は、34件で、上告申立件数に対して0.9%であるとのご指摘であった。

 訂正前は、「1.6%」と記述していたが、0.9%に訂正することにした。棄却割合は99.1%と云うことになる。

 破棄割合の訂正は、鑑定コラム1265)の追記にも書いた。

 当鑑定コラムの間違いを、早々に指摘し、根拠の資料も付けて下さった弁護士氏に感謝いたします。

 有り難うございます。

 弁護士の方々が、マイナーな当鑑定コラムを読んで下さっているとは、私は思ってもいなかった。

 有り難い事である。

 頂いた判例時報の論文(判時2224-3)は、『最高裁民事破棄判決等の実情(上)−平成25年度−』(伊藤正春 上村孝由)である。

 同論文P6に、平成21年からの最高裁の破棄事件数が記載されている。下記である。

      平成21年  68件(2.1%)
      平成22年  67件(2.1%)
      平成23年  71件(2.3%)
      平成24年  60件(1.5%)
      平成25年  34件(0.9%)

 平成25年の破棄事件は、極めて少ない。僅か34件でしかない。年々厳しくなっているようである。

 そうした状況の中で、車返団地事件が破棄差戻事件となって見直されたのは、幸運としか云いようが無い。

 有斐閣が発行する「ジュリスト」という雑誌がある。

 法律専門雑誌である。

 その「ジュリスト」の1466号(2014年4月10日号)は、臨時増刊号であり、『平成25年度重要判例解説』の特集である。

 平成25年度になされた判決の中で、重要と思われる判決が選ばれ、解説・評論されている。

 憲法、行政法、民法、刑法、商法・・・・・・国際法と全法律の分野から、113件の判決が選ばれている。

 最高裁の法廷で、車返団地事件の判決を聞いた時の気持ちを、鑑定コラム1101)の追記に、私は以下のごとく書いている。

 「最高裁の法廷で、最高裁の固定資産税の適正時価の判決として、歴史的判例の1ページを飾る判例誕生の瞬間に立ち会うことが出来たことを幸せに思う。」と。

 私は、最高裁の法廷で判決を聞いたその後、車返団地事件の最高裁判決文のコピーを受け取った。

 その最高裁判決文を読んだ時、「この判決は今後固定資産税の課税評価に多大な影響を与える判決である」と改めて思った。

 そしてこのことは、固定資産税の課税額評価に深く携わっている全国の不動産鑑定士に、広く知らせる必要があると強く思い、鑑定コラムに取り上げ、何度も記事を書いているのである。

 もっとも肝心の不動産鑑定士よりか、市町村の税務課では無いのかと推定される人々の方が、多く鑑定コラムの当該記事にアクセスして、情報を得ているようであるが。

 その車返団地事件の最高裁判決は、「ジュリスト」の『平成25年度重要判例解説』で、行政法11件のうちの一つとして選ばれている。

 そして、租税法7件のうちの一つとしても選ばれている。

 つまり、車返団地事件の最高裁判決は、113件の判決のうち、2つの分野の重要判決として選ばれ、学者の解説・評論がなされている。

 行政法の分野では、『固定資産評価基準に基づく土地の価格と適正時価との関係』(P58)という課題で、早稲田大学の人見剛教授が解説・評論する。

 租税法の分野では、『固定資産課税台帳の登録価格の適法性の判断基準』(P222)という課題で、立命館大学の宮本十至子教授が解説・評論する。

 『平成25年度重要判例解説』に掲載された判決113件は、平成25年度という時代を反映し、記録する判決であり、裁判訴訟の最前線にある判決と考えられるものである。

 現在の裁判訴訟の考え方の最前線は、ここであると云うことを示す。

 10年後になって、平成25年を振返ってみて、古い考えだと思うことになるかもしれないが、平成25年の現在にあっては、10年後がどういう考えにあるのか分からなく、10年後に存在する10年後の最前線の考えを、今創り出すことは出来ない。

 平成25年の選択された113件の判決は、平成25年度の重要判決と判断された判決である。

 その中で、行政法,租税法の2分野から、車返団地事件の最高裁判決が選ばれたことは、如何に同判決が、画期的で、重要で、社会に与える影響が大きい判決であるかを示すものではなかろうか。

 車返団地事件に関与し、貢献した不動産鑑定士の春名桂一氏は、不動産鑑定士として滅多に無い最高裁の判例を作ることにも結果として関与したことになり、その判決が、平成25年度の重要判決として2分野で取り上げられるという金字塔を建てた。称賛する。


  鑑定コラム1265)
「車返団地事件 再上告棄却」

  鑑定コラム1101)「破棄差戻 春名鑑定士よくやった」

  鑑定コラム1185)「車返団地事件 納税者側全面勝訴」

  鑑定コラム1093)「最高裁の最初の階段は13段だった」


  

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