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128)14年東京マンション利回り4.2%

 不動産の価格・賃料を研究・調査して、発表している不動産鑑定士の研究会である「不動産鑑定士市場賃料研究会」が、14年の「東京マンション利回り(15年版)」を発表した。

 14年の東京のマンション利回り(築5年のマンション)は、

     23区  住宅地    4.2%
         商業地  7.1%
     市   住宅地  4.7%
         商業地  6.4%
である。

 賃料は都内2万件に近い成約事例から求め、土地価格は平成15年1月1日の地価公示価格、建物価格は国交省の建設統計による14年1月〜12月のRC造の建築費によって、求めたものである。

 同研究会の代表である平澤春樹氏が、平成10年から14年までの23区の利回りの変動は、住宅地は3.6%〜4.2%で0.6%の上昇、商業地は6.1%〜7.1%で1%の上昇と、「はしがき」で述べている。

 4年間で住宅地は0.6%、商業地は1%の上昇とサラリと述べているが、この変動の数値がわかるのは、大量のデータ分析を行ってこそわかるものであり、かつ云えることである。
 データ分析を行っていなかったら、云えるものではない。
 この数値は、膨大なデータに裏づけされた結果の数値である。思いつきに根拠なく、云っている数値ではない。

 不動産鑑定士が、担保する何の理論根拠も、客観的なデータ分析も示さずにおいて、「専門家の意見であり、判断である」という報告書を時々目にする、又、耳にするが、「東京マンション利回り(15年版)」は、それらの類のものとは全く異なるもので、データの裏づけがあり、実証分析によって得られた数値のものである。

 14年東京マンション利回りは、各区・市ごとに、住宅地と商業地のマンションの新築(0年)から20年の利回りを、容積率ごとに求めている。
 住宅地は60%〜200%、商業地は200%〜400%まで10〜20%刻みで細かく求められている。

 例えば、築8年で土地面積に対する建物面積の割合が150%の場合、その利回りは○.○%と知ることが出来る。
 但し、求められている利回りは必要経費込の賃料によって求められており、粗利回り(グロス利回りとも、あるいは取引利回りともよばれている。)である。

 必要諸経費を控除した純賃料に対する利回り(ネット利回りと呼ぶ)を求める場合には、次の算式によって求める。
   グロス利回り×(1−必要諸経費率)=ネット利回り
   ネット利回りは、時には還元利回りとも呼ばれるものである。

 東京マンション利回りは、平成9年より毎年発行してきたが、平成13年(平成14年版)のみ発行しなかった。

 発行する予定であったが、利回りを求める作業が膨大であり、時間も相当とられる。その割には東京マンション利回りを購入して下さる人はあまり多くなく、忙しいこともあり、平成14年版発行をさぼってしまった。

 実質の利回り計算の作業を行うことの出来るのは、一部特許審査中の事項があるため私一人であり、私のわがままでやめてしまった。甚だ身勝手で無責任な行為である。

 東京マンション利回りの発行を待っていた一部の人から、「発行はいつか」「まだか」という問い合わせが、発行事務を取り扱っている都市開発研究所に多くあり、社員はその対応に随分と苦労したようである。

 発行の問い合わせは、不動産鑑定士よりも、外資系の金融機関、投資顧問会社の方が多かったと聞く。
 日本の不動産鑑定士は、東京のマンション利回りに関心がないのであろうか。それとも、役に立たない代物と見なしているのであろうか。

 不動産の価格は収益あっての価格である。
 収益が先にあり価格と収益の間を取り持つのが利回りである。
 その利回りはグロス利回りでもネット利回りでもいずれでもよい。収益あっての利回りである。
 その利回りが分からなくて価格がどうして求められるのであろうか。
 取引価格で比準すれば価格は求まるという主張は当然あろう。では比較しょうとする事例の価格はどうして生じたのか。それも又比較か。そしてその先も比較、比較、比較で価格は発生しているという理論構成であろうか。

 東京のマンション利回りだから、東京のみ有効であって地方にとっては関係ないと思っている人がいたら、その考えは捨て去った方がよいと私は考える。
 利回りは東京、大阪、九州、旭川等のみ単独で見られるものではない。ニュヨーク、ロンドン、香港等、世界の市場から比較検討されて見られるのである。
 それは、又、株式、債券等との性質の違うものとリスクが考えられて判断されるものである。
 東京の利回りであるから、地方のこちらには関係ないと思っていられるのであったら、改めて利回りとは何かと再考されてもよいのでは無いかと思う。

 平成2年の不動産バブルの絶頂期(それは今で云えば云えるのであって、その時点に不動産、金融等に携わっていた人々は誰も、その時点が絶頂期とは思っていなかった。まだまだ不動産の価格の上昇は続くと思いこんでいた。)をやや過ぎた平成2年10月頃であったと思うが、モルガン系の金融機関が日本の地価は下落するという論文を、ロンドンでのバブル地価下落の原因と現象を国債の利回りとの関係から分析して、日本の土地価格は下落すると発表した。その後の日本の地価の下落は、見ての通りである。

 外国のあるプレスが、「東京マンション利回り」を発表した平成9年から、この利回りにじっと注目しているのである。

 熱心な外資系の企業の人々の発行希望があることを聞き、大赤字で時間と能力そして体力が必要とする作業であるが、15年版の東京マンション利回りを発行しようと決意し、なんとか発行にこぎつけた。

 膨大な賃貸事例のデータの駅勢圏ごとの賃料、徒歩分等の計算処理は、都市開発研究所の新井善久君に頼み、得られた計算結果によって、私が利回りを求める作業を行い、その結果のレイアウト等とCD-ROM化は同研究所の真子浩君にお願いした。
 利回り算出のノウハウ計算式は、いずれ両君に教え、バトンタッチしようと思っている。

 パソコンの扱いに優れた能力を持っている両君の手にゆだねた方が、よりよい計算プログラムを考え、毎年、確実に、もっと早く発行できるのではないかと思われるからである。
 しかし、その前に「東京マンション利回り」を買ってくれる人が多くなることを望む。

 以前は印刷し、報告書の形にして発行していたが、今回からはCD-ROMにする事にした。
 領価は税込で6000円である。

 販売は、プログレス( 03-3341-6573)か、下記ホームページから購入申込が出来る。

      http://www.progres-net.co.jp/
     
 利益は全く出ない。こちらの持出も甚だしい大赤字の事業である。
 ただ、「鑑定評価の実証性の向上の為に」という信念のみで行っているだけである。もの好きも甚だしいと思われるかもしれない。
 一人でも多く、「東京マンション利回り(15年版)」を購入していただければと思うのみである。

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