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ゴルフ用品、ゴルフクラブの製造販売会社である本間ゴルフが、所有経営していた「阿蘇高森ゴルフ倶楽部」を売却した。(本間ゴルフホームページプレスリリース、2003年10月27日)
プレスリリースによれば、譲渡資産は2003年3月期で、
土地 85百万円
コース勘定 313
建物付属設備 148
その他 45
計 591
(但し、什器・備品、カート等車輌、消耗品類は含まれない)
である。
同ゴルフ場の売上高は230百万円(2003年3月期)という。
譲渡資産5.91億円は造成取得原価なのか、時価会計による時価による価格であるのか、どちらなのかわからないが、金額より推定すれば、時価会計による時価ではなかろうか。
というのはゴルフ場の積算価格(現在造るとした場合の価格)としては安すぎるからである。
ゴルフ場を現在造るとした場合は、18ホールのゴルフ場を6億円程度で造ることは不可能である。
現在ゴルフ場を造る人は、まずいないが、造るとすれば、例えば、土地100万平方メートル、18ホール、クラブハウス3000平方メートルとすると、およそ次の金額となる。
コース等の造成工事面積は、
100万平方メートル×0.3=300,000平方メートル
である。
造成工事費を平方メートル当り8,000円とすれば、
8,000円×300,000平方メートル=24億円
となる。
18ホールであるから、
24億円÷18ホール=1.3億円
1ホール当り1.3億円である。
クラブハウスの建築費を平方メートル当り40万円とすると、
40万円×3,000平方メートル=12億円
である。
土地取得費を開発行為許可申請も含めて平方メートル当り600円とすれば、
600円×1,000,000平方メートル=6億円
である。
まとめると、
土地価格 6億円
造成工事費 24億円
建物価格 12億円
合計 42億円
である。
42億円が設定条件のゴルフ場の積算価格となるが、この価格でゴルフ場を購入する企業人はまず居ない。
購入者は、このゴルフ場よりどれ程の売上高が得られるか、どれ程の利益が得られるかという点を最重要視して考えるから、積算価格などで購入価格を考えない。つまり積算価格は市場性の全くない価格である。
こうした積算価格の性格から考えると、阿蘇高森ゴルフ倶楽部の譲渡資産価格の5.91億円は、積算価格ではなく、時価評価された市場性ある時価と考えられる。
5.91億円が市場価格とすれば、売上高との関係倍率を求めると、
5.91億円÷2.3億円≒2.5
売上高の2.5倍の売買価格である。
会員権の取り扱いがどの様に処理されているか不明であるが、債務である会員権預託金の返済負担をつけてゴルフ場を購入するような、人の良い人はいないであろうから、預託金の返済は別途処理されていると考えられる。
ゴルフ場の譲渡価格と売上高が公表されることは減多にないことから、この本間ゴルフの譲渡実例による売上高と譲渡価格の倍率例は、ゴルフ場の鑑定評価において貴重なデータとなるのではないかと思う。
つまり、上記のデータからいえることは、ゴルフ場の市場価格は積算価格ではなく、売上高の2倍前後の価格ということである。
売上高の倍率で把握されるとしても、それは、5倍とか10倍の価格では取引されないということである。
これらのことは九州の阿蘇のゴルフ場のみに言えるのでは無く、合理的な経済人による合理的な経済行為であるから、どこのゴルフ場の場合でも言えよう。
なおゴルフ場に関する記事の鑑定コラムには次のものがあります。
鑑定コラム 29)
「川奈ゴルフ場の価格」
鑑定コラム 62)
「ゴルフ場の減損会計」
鑑定コラム 91)
「日本のゴルフ場数は2067ヶ所」
鑑定コラム 156)
「いつまで続くゴルフ場鑑定のセミナー講師」
鑑定コラム 167)
「ゴルフ場の取得価格と予想売上高」
鑑定コラム 174)
「ゴルフ場の固定資産税は高すぎる」
鑑定コラム 198)
「ゴルフ場の売却が続く大手不動産会社」
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