住宅ローンの市場規模はどれくらいであろうか。
住宅ローンとは、本人が居住する、もしくは、本人が家族と共に居住する居宅を取得する資金を、金融機関から、低利でかつ長期分割返済を条件にして、受ける融資を云う。
住宅ローンが現在のごとく一般的になったのは、つい40年程前の事である。
それまでは、住宅ローンという制度が無く、住宅を取得することは容易くなかった。
事業資金での貸出で、長期としても10年間が限度で、金利も目が飛び出るほど甚だ高かった。
つまり金融機関は、住宅取得資金として、事業をしていない給与所得者には貸したくたくなかったのである。
金融機関から云えば、日本経済の高度成長期には、基幹産業に金を回わすことが最優先であって、個人の住宅取得に回す金が無かったということである。
それ故、住宅不動産を取得することは、一般人ではなかなか出来なかった。
銀行が母体の住宅金融専門会社が誕生し、住宅ローンは普及し、拡大した。
「住専」と呼ばれる住宅ローン会社であるが、その末路は悲惨であった。
住宅ローンの原型は、明治30年頃に東京建物が行った割賦販売方式と云われている。
東京建物株式会社(佐久間 一社長)のホームページの『東京建物物語』には、その様に記してある。
同社のホームページには、その広告写真が掲載されている。
その写真では、判読がやや困難であるが、「永年、月賦建築契約之事 住宅、商店・・・・」、「土地及建物購入並売却之事・・・・前項月賦・・」という文字が読み取れる。
その広告は、下記アドレスである。
http://www.tatemono.com/story/ayumi/images/img-beginning02.jpg
横道にそれるが、『東京建物物語』には、東京建物は明治30年代に不動産鑑定業を開業したと記す。
今でも東京建物には不動産鑑定部があり、不動産鑑定業を営んでいるが、明治30年代の開業となれば、東京建物は、不動産鑑定業者として草分けの企業である。
鑑定業界は、東京建物と云う会社を、より一層大切にしなければならないと再認識する。
旧住宅金融公庫の前身である住宅金融支援機構の調査発表によれば、住宅ローンの新規貸出規模は、
平成25年度(2013年度) 206,812億円(20兆6812億円)
平成20年度(2008年度) 202,131億円 平成21年度(2009年度) 193,211億円 平成22年度(2010年度) 197,400億円 平成23年度(2011年度) 200,598億円 平成24年度(2012年度) 202,131億円 平成25年度(2013年度) 206,812億円
1989年度住宅ローン億円 | 占有率% | 種別金融機関 | 2013年度住宅ローン億円 | 占有率% |
111861 | 39.6% | 国内銀行 | 148925 | 72.0% |
16455 | 5.8% | 信用金庫 | 17982 | 8.7% |
93 | 0.0% | 信金中央金庫 | 0 | 0.0% |
2576 | 0.9% | 信用組合 | 2331 | 1.1% |
255 | 0.1% | 全国信用組合連合会 | 0.99 | 0.0% |
3660 | 1.3% | 労働金庫 | 15947 | 7.7% |
0 | 0.0% | 全国共済農業協同組合連合会 | 0 | 0.0% |
10467 | 3.7% | 生命保険会社 | 1330 | 0.6% |
1274 | 0.5% | 損害保険会社 | 0 | 0.0% |
63971 | 22.7% | 住宅金融専門会社等 | 883 | 0.4% |
0 | 0.0% | 住宅金融支援機構(買取債権) | 18553 | 9.0% |
0 | 0.0% | 住宅金融支援機構(付保債権) | 39.9 | 0.0% |
57629 | 20.4% | 住宅金融支援機構(直接融資) | 677 | 0.3% |
3767 | 1.3% | 地方公共団体 | 0 | 0.0% |
9743 | 3.5% | 福祉医療機構 | 0 | 0.0% |
0 | 0.0% | 勤労者退職金共済機構 | 150 | 0.1% |
589 | 0.2% | 沖縄振興開発金融公庫 | 33 | 0.0% |
282340 | 100.0% | 合計 | 206812 | 100.0% |