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1297)『21世紀の資本』を読み始める

 2015年(平成27年)最初の鑑定コラムです。

 2014年の暮れも押し詰まり、依頼者先企業に不動産鑑定評価の成果品を届け、1年間の仕事納めとした。

 あとの仕事は、来年まわしだと勝手に打ち切り、東京駅近くまで来たこともあり、八重洲ブックセンターに立ち寄った。

 平積みの売場に白い部厚い表紙の本が目についた。翻訳本である。

 正月の間に読んで見ようかと思い購入した。

 トマ・ピケティ著の『21世紀の資本』という本である。

 みすず書房発行で、訳者は山形浩生他2名である。

 金額は安くない。税込みで5,940円(5,500円+税440円)である。

 本文608頁の頁数である。

 1頁1,040字として、

          1,040字×608=632,320字

63万余字の大著である。

 読み応えのありそうな書物だ。
 難解で途中で投げ出すかもしれない。

 不平等は何故発生するのか。

 本の帯には、「r>g」の記号が書かれている。

 「r」は、資本の平均年間収益率を示す。
 それは、利潤、配当、利子、賃料などの資本からの収入を、その資本の総額で割ったものである。

 不動産鑑定で使用する還元利回りに相当するものと思えばよいか。

 「g」は、経済の成長率を指す。それは、所得や産出の年間増加率を言う。
 GDPの成長率ということか。

 資本収益率が、経済成長率を超え続けると、資本主義は自動的に格差を生み出すというようである。

 即ち著しい不平等が生じるという。

 そのことについて、著者のトマ・ピケティは、西暦1700年頃からの多くの統計データを使用し、果ては英仏の文豪が小説の中に書き残した記述をも文献にして、証明しょうとしている。

 つまり、『21世紀の資本』という本は、「r>g」を証明するための本ということか。

 トマ・ピケティは、不平等の発生をデータ数字で証明した。実証した。

 このトマ・ピケティ著の『21世紀の資本』という本は、サミュエル・ハンチントンの『文明の衝突』に匹敵する書物か。

 2015年1月2日(10:48)の時事通信パリ発は、AFPの記事を伝える。

 それは、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏に、フランス政府がレジオン・ドヌール勲章シュバリエの授与を決めたことに対して、その勲章を拒否したと言うニュースである。

 その拒否の理由が振るっている。

 「誰が名誉ある人物かを決めるのは政府の役割ではない。政府は、フランスや欧州の成長回復に注力すべきだ。」
と。

 硬骨漢ぶりが又良い。
  

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