箱根駅伝に新しい時代が訪れようとしている。
2015年第91回東京箱根間往復大学駅伝競走(以下「箱根駅伝」と呼ぶ)は、青山学院大学が初優勝した。
建学以来初めての優勝である。
2015年1月2日の往路競争において、5区の箱根の山登りの区間で、青山学院大学の神野大地が、もう破られないと思っていた柏原竜二が作った1時間16分39秒を24秒上回る1時間16分15秒で走り、2位に4分59秒差をつける往路1位となった。
この走りについて、監督の原晋氏は、青山学院大学のホームページで、
「5区の神野選手については本当に予想外の大爆走で、これほど2位との差がつくとは想定していなかった。」
と述べ、監督も驚いている。神野大地の走りを「大爆走」と評す。
そして翌日の復路の競走について、次のごとく述べていた。
「明日の復路は後続との差が約5分あるが、「守りのレース」ではなく「攻めのレース」を展開し、初の総合優勝を目指したい。」
と。
前日の監督の言葉の通り、翌日3日復路の青山学院大学の選手の走りは素晴らしい。
「調子に乗る」と言うのは、まさにこのことであろうかと言うごとくである。
前日の2日往路の4区の選手は、区間新の記録で、順位2位でタスキを5区の神野に渡した。
5区の神野は、「大爆走」して、後続校と約5分の貯金を作り、往路優勝という青山学院大学にとって開校以来初めての記録を樹立した。
この流れを壊すものかと、翌日復路6区の選手は、前年の屈辱的な区間の走りの汚名を晴らしたいと心に期して、箱根の山を走り下った。結果は区間記録2番目であるが、2位の走者との間に5分42秒の差を付けて、順位1位のタスキを7区の選手に託した。
もうこうなると、青山学院大学の流れが止まらない。
7区が区間記録1位、8区も区間記録1位、9区も区間記録1位で走る。
「追いかけなければというプレッシャ−も無く、誰も前に走っていない状態で走ることは気持ち良く、楽しかった。」
と走り終えた青山学院大学の選手は言う。
調子に乗る走りである。良い方向に、良い方向に歯車は動く。
トップを走る選手が、その区間を気持ち良く、楽しく走る。
そのことが、本人は気がつかないが、区間記録1位の早さで走っていることに繋がっている。
順位1位の走者に、走行時間を区間トップ記録で走られては、後続の他校の選手が先頭に追いつくことは不可能である。
最後の区間の10区の選手は、後続の2位の選手に10分余の差を付けて、1位でゴールである。
青山学院大学は、往路、復路トップの完全優勝である。
時間は、10時間49分27秒で、大会記録である。
それまでの記録は、10時間51分36秒であった。
2分あまり上回る好記録で、青山学院大学は第91回箱根駅伝を制した。
監督は、箱根駅伝を走ったことの無い人のようである。
青山学院大学の選手は明るい。
何故明るいのか。
指導方法等に新しい息吹を感じさせる。
箱根駅伝に新しい時代が訪れようとしている。
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