○鑑定コラム
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地代評価において、底地価格を基礎価格にして地代を求めている鑑定書を目にする。
底地(そこち)とは、借地権が附着している土地をいう。
底地価格とは、借地権が附着している土地の価格をいう。
底地割合とは、更地価格に対する底地価格の価格割合をいう。
地代の基礎価格は、更地価格であって、底地価格は基礎価格にはなり得ない。
このことについては、鑑定コラム1319)「地代の基礎価格は、更地価格である」で述べた。
底地価格は地代の基礎価格にはならないが、その基礎価格になり得ない底地価格を、おかしな求め方で求めている鑑定書を時々目にする。
底地価格を、
更地価格×底地割合40%=底地価格
という方法で求めているのである。
この求め方は、不動産鑑定評価基準違反である。
心当たりのある方は、自分の鑑定書が不動産鑑定評価基準違反と云われて、びっくりされ、或いは「田原不動産鑑定士はとんでもない事を言い出す。ふざけるな。」と立腹されるかもしれないが、不動産鑑定評価基準をじっくり見ていただきたい。
不動産鑑定評価基準(以下「鑑定基準」と呼ぶ)は、底地価格の求め方を次のごとく規定する。
「底地の鑑定評価額は、実際支払賃料に基づく純収益等の現在価値の総和を求
めることにより得た収益価格及び比準価格を関連づけて決定するものとする。」
(26年改訂国土交通省版鑑定基準P46)
底地の価格は、
収益価格
比準価格
によって求めよと鑑定基準は云っている。
更地価格に底地割合を乗じて求めよと云っていない。
また、総合勘案事項として次の7つを挙げている。
「(ア) 将来における賃料の改訂の実現性とその程度
(イ) 借地権の態様及び建物の残存耐用年数
(ウ) 契約締結の経緯並びに経過した借地期間及び残存期間
(エ) 契約に当たって授受された一時金の額及びこれに関する契約条件
(オ) 将来見込まれる一時金の額及びこれに関する契約条件
(カ) 借地権の取引慣行及び底地の取引利回り
(キ) 当該借地権の存する土地に係る更地としての価格又は建付地としての価格」
7つの事項を勘案して、底地価格を求めよと鑑定基準は云っている。
「底地割合」は7つの勘案事項のどこにも出てこない。
つまり、底地価格を求める時には、底地割合は価格算出の要素項目ではないということである。
底地割合を使って底地価格を求めることは、鑑定基準違反ということである。
その求められた底地価格に正当性は無い。
その正当性の無い求め方で求められた底地価格を基礎価格にして、地代を求め、その求められた地代を適正地代であると裁判の訴訟で主張する。
賃貸事業分析法によって求めている田原鑑定の地代は、高すぎるとか、安すぎるとか、間違いであると云って激しく批判する。
批判することは言論の自由であるから、批判は甘んじて受ける。
しかし、批判するのであれば、己の鑑定書の地代の求め方を充分検討した上で行うべきではなかろうかと私は思うが。
鑑定基準違反の底地割合による底地価格の鑑定書が、裁判所に堂々と証拠提出され、大手を振って闊歩されては、甚だ迷惑である。
(平成27年2月20日に開かれた田原塾27年2月会の講話録に加筆して)
鑑定コラム1319)「地代の基礎価格は、更地価格である」
鑑定コラム1674)「脅し」
鑑定コラム1889)「浅生横浜地代判決(東京高裁 平成14年10月22日)」
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