○鑑定コラム
フレーム表示されていない場合はこちらへ
トップページ
田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ
前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ
国税庁の借り得分の考えによる借地権割合の求め方について述べる。
国税庁の借地権割合を求める算式は、
支払地代
1−────── = 借地権割合
相当地代
である。
「支払地代」とは、現実に支払っている地代である。
「相当地代」とは、国税が相当と認めている地代である。
その求め方は、
更地価格×0.06=相当地代
である。
何故0.06の利回りなのかは、私は知らない。
国税庁が決めている利回りである。
例えば、支払地代が、月額坪当り8,000円とする。
u当り年額地代に換算すると、
(8,000円÷3.30578)×12= 29,040円
である。
当該地の更地価格がu当り3,600,000円とする。
相当地代は、
3,600,000円×0.06=216,000円
である。
借地権割合は、上記算式に値を代入すれば、
29,040円
1−────── = 1−0.134 ≒ 0.87
216,000円
87%と求められる。
相当地代を求める6%の利回りは、余りにも高すぎる。
その利回りは、家賃利回りを越える利回りであり、非現実的である。
では現実的な相当地代の利回りは何パーセントなのか。
先の鑑定コラム1326)「借地権割合をどの様にして求めるのか」で、分析例の土地利回りを2.2%と求めた。
この利回りから求められた数値は、純賃料(純地代)に相当するものである。
国税の相当地代の利回りは、純地代に対する利回りでなく、地代に対する利回りである。
それ故、2.2%の利回りを、地代に対する利回りに修正しなければならない。
地代とするには、必要諸経費である公租公課を、純地代に加算しなければならない。
公租公課の3倍が地代とすると、
29,040円÷3=9,680円
9,680円が公租公課相当である。
相当地代は、
3,600,000円×0.022+9,680円=88,880円
である。
相当地代の土地価格に対する利回りは、
3,600,000×0.022+9,680
────────────── = 0.0247
3,600,000
2.47%が相当地代の利回りと云うことになる。
それ故、相当地代の利回りに2.47%を採用すると、相当地代は、
3,600,000円×0.0247=88,920円
である。
借地権割合は、算式に値を代入すれば、
29,040円
1−────── = 1−0.327 ≒ 0.67
88,920円
67%と求められる。
名儀書替料を借地権価格の10%とすると、
67%×0.1=6.7%
67%+6.7%=73.7%
73.7%となる。これが名儀書替の責を借地権者が持っている一般的借地権割合である。
国税庁の相続税路線価の借地権割合は、切りの良い割合として、
借地権割合 73.7% → 70%
としていることになる。
しかし、2.47%の利回りをどの様にして求めるかが問題である。
使用した2.47%の利回りは、土地残余法による土地の期待利回りの2.2%をベースにして、それに公租公課相当を加算して求めた利回りである。
結果、相当地代の利回りは、賃貸収入等の手順を経て得られる数値が必要ということになる。
蛇足となるが、差額配分法は、支払地代と相当地代の2つから求められる。
6%の利回りはいささか高すぎて採用出来ないことから、少し低い5%とする。
この5%は純地代に対する利回りでなく、地代に対する利回りであるとする。
5%の利回りで求めた相当地代と、支払地代とから差額配分法の地代を以下で求める。如何に5%の地代が無茶なものか分かろう。
利回り5%の相当地代は、
3,600,000×0.05=180,000円
である。
これより差額配分法の地代は、
( 180,000円−29,040円)/2+29,040円=104,520円
である。
現行地代の3.6倍の地代となる。これが適正地代と云えるのか。
この求め方の地代がおかしいと、もう分かるであろう。
借地権者の建物建設投下資本配分利益や維持管理・修繕費等の負担配分利益を、土地所有権者が、一銭のお金も出さず、負担もせずして、地代という名目でかすめ取る地代である。
こうした地代が、適正地代であると主張されてはたまらない。
(平成27年3月12日に開かれた田原塾27年3月会の講話録に加筆して)
鑑定コラム1326)「借地権割合をどの様にして求めるのか」
▲
フレーム表示されていない場合はこちらへ
トップページ
前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ