過去を振り返ってその当時の時代を語る時に、GDPの数字を使用することは効果的である。
特に、自分の人生において転換期を後日語る時、その時の日本経済のGDPはこの程度であったと語ることによって、話を聞く人にとっては、現在のGDPと対比することが出来ることにより、話の内容がより理解しやすい。
例えば、私が大学を卒業して社会人になる時の日本のGDP(その頃はGNPという名称で数字が発表されていた)は、30兆円を少し下回る程度であった。
この様に大学を卒業して社会人になった時、結婚した時、あるいは、課長になった時、資格を取った時、事業を独立した時など、自らの人生のエポックの時のGDPは何兆円であったと、語りながら話をつなぐことは無為ではない。
そうした人生のエポックにある人にとって、2003年、あるいは2004年は、GDP500兆円を少し切る時であったということになる。
日本経済新聞社のNEEDSによる名目GDPの予測が、新春の2004年1月3日の日本経済新聞に発表された。以下の通りである。
2003年度 497.6兆円 0.0%
2004年度 497.3兆円 −0.1%
2005年度 488.3兆円 −1.8%
この予測数値をみる限り、どうも今年の景気はよくならないようだ。
日本経済はピークを過ぎて、下り坂に入っているのではないかと思われる。
不景気とデフレは続きそうだ。
願わくば予測がはずれることを神頼みしたいが。
ある評論家は、不況による財務危機の脱却は、製造業の民間企業がもっとも早く、政府、地方公共団体は民間企業より遅れること10〜15年と云っていたことを、どこかの雑誌か新聞で大分前に読んだことがある。その時、役所への経済不況の影響はそんなにも遅く、随分とタイムラグがあるものだと感じたことを思い出す。
平成2年をバブル経済のピークとすると、平成16年は、ピークより既に14年経過している。
平成の市町村の大合併も、行政の危機脱出の一つの手段と思われる。
長期間続く税収入の減少、補助金のカット、老人福祉関係の支出増大となれば、中央、地方行政体とも、いよいよ無駄を省き、リストラに向かわざるを得ないであろう。
民間会社のリストラの厳しさを、役所といえども避けて通ることが出来ない時期に、やっとなろうとしている。
なんだか前記した評論家の見通し予測通りのようである。
そうした中で、地価公示価格、都道府県基準地価格、相続税の路線価、固定資産の標準地価格評価等の公的評価と呼ばれる鑑定評価がいつまで続くことやら。
惰性で、今後10年も現在と同じ状態で存続していると、評価に携わっている多くの不動産鑑定士は考えているのであろうか。地方においても、そんなことは全く関係ないよと楽観しておられることが出来るかどうか。