○鑑定コラム



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160)SRI

 今年(2004年)の1月の終わり頃だったか。
 いつも教えられることの多いある友人と居酒屋で一献傾けていたら、その友人曰く、
 「田原、SRIを知っているか。」
と問いかけてきた。

 「SRI、何それ?知らないよ。初めて聞く言葉だよ。どんなことをいうのか?」
と私は聞き返した。

 「これからはSRIを無視しては企業経営出来ないよ。」
といって、友人はSRIについて説明してくれた。

 企業に対して、経営姿勢や考え方などいろんなことをアンケート調査し、企業の社会的責任を格付して選別して投資ファンドすることであるらしい。

 SRIが企業にどう影響するのかというと、投資家のポートフォーリオに、その調査結果・指数がとり入れられて、株式・社債の購入判断に影響を与えるらしい。

 SRIの評価の悪い会社の株式は、投資ファンドは買わない。逆に売る。
 と言うことは、株価は下がり、ひいては、企業は株式市場からの資金調達に不利な状況に置かれることになる。

 「企業の社会的責任の要因が、機関投資家の投資尺度の1つになろうとしている。」
と、友人は云う。

 「SRIが不動産、不動産鑑定にどう影響するのだ。」
と聞き返したら、
 「そのことは自分で考えろ。」
とやられた。

 情報に踊らされるのはイヤであるが、しかし、気になるSRIという言葉であった。

 いづれ、時間が経てば、SRIというものがどういうものか、それが不動産及び不動産鑑定にどの様に影響を及ぼすのか、及ぼさないのか、それらの具体例が示されてわかってくるであろうと思って、SRIという言葉を忘れかけていた。

 そしたら、2004年3月18日の日本経済新聞を読んでいたら、「良い経営」という記事が載っていた。

 良い経営とは収益をあげる経営のことであろうと思い、斜め読みの気持で、記事を読んでいたら、「SRI」という用語が目に飛び込んできた。

 「SRI、……。どっかで聞いたような用語だな。」
と思いつつ、記事を読み進むうちに、以前居酒屋で知人が私に、
 「知っているか?」
といって話してくれた内容と同じものであった。

 記事の内容は、日本企業が昨年(2003年)の中頃より、急に直面するようになり、幾つかのSRI調査会社からの細かい内容の問い合わせのアンケート調査に答えるために、専属の部署を設けざるを得なくなりつつある状況が述べられていた。

 日経が取り上げる位だから、SRIは今後は日本企業の経営に相当重要なウエイトを占めることになるのではなかろうか。

 友人から「自分で考えろ」といわれ、SRIが不動産鑑定に及ぼす影響は、さしづめJリートなどその発行母体の会社に及ぶのでなかろうかと、自分なりに一つの影響を考えた。

 Jリート発行会社はSPCの投資法人であるから、その会社に企業の社会的責任云々を云ってもしょうがないであろう。

 Jリートの発行親会社の企業の社会的責任で問題が生じた場合、そのJリート発行親会社が関係している上場Jリートに、影響が及ぶのではなかろうかと私なりに1つの影響を考えた。影響はまだこのほかにも有ろう。

 もっともJリートの発行親会社が、社会的責任で問題が生じた場合には、上場株価の方に、より強く影響が顕れるであろうが。

 Jリートとは何かという疑問については、リートについての入門書『入門不動産投資信託』(プログレス発行)が答えてくれる。
 私が本ホームページで、その本の 「書評」  を書いているから、それは、そちらに任す。

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