○鑑定コラム
フレーム表示されていない場合はこちらへ
トップページ
田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ
前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ
日本経済新聞社が、2019年11月5日の日本経済新聞に、同社調査の恒例の日本の主要都市の事務所の賃料「オフイスビル賃料」を発表した。
最近不動産鑑定で岡山を訪れた。現在その鑑定評価の作業を行っている。
その関係もあり、岡山の事務所の賃料はどれ程かと思い、日経調査の「オフイスビル賃料」を調べて見た。
ついでと云っては失礼かもしれないが、賃料水準を比較するために、広島、高松そして関西の雄である大阪梅田の事務所賃料も調べて見た。
比較するためには、東京の商業地のトップである銀座の事務所ビルの賃料も必要と思い、銀座の事務所賃料も参考として記す。銀座の賃料は、土地価格及び景気に最も早くかつ敏感に反応する。
日経が発表する事務所賃料の地区は、岡山市は「岡山駅周辺」である。広島市は「八丁堀〜紙屋町〜大手町」である。
高松市は「中央通り周辺」である。大阪市は「梅田周辺」である。東京銀座は「銀座」である。
日経の発表する事務所賃料は、坪当り単価で、ゾーンで示されているが、ゾーンの高値の賃料を採用する。
また新築ビル賃料と既存ビル賃料に分かれているが、既存ビル賃料を採用する。
過去15年間の賃料推移を知れば、各地区の賃料傾向及び水準がほぼわかると思われ、2005年以降の各年11月の日本経済新聞に発表された「オフイスビル賃料」データを下記に記す。
年月
|
岡山
|
広島
|
高松
|
大阪梅田
|
|
東京銀座
|
2005年11月
|
12000
|
17000
|
16800
|
29000
|
|
40000
|
2006年11月
|
12000
|
18000
|
16200
|
30000
|
|
35000
|
2007年11月
|
13000
|
22000
|
16200
|
30000
|
|
42000
|
2008年11月
|
12000
|
20000
|
16200
|
33000
|
|
43000
|
2009年11月
|
13000
|
17000
|
16000
|
33000
|
|
43000
|
2010年11月
|
14000
|
19500
|
14000
|
33000
|
|
38000
|
2011年11月
|
13000
|
19500
|
14000
|
30000
|
|
35000
|
2012年11月
|
12000
|
19500
|
16200
|
26000
|
|
35000
|
2013年11月
|
12000
|
19500
|
14000
|
25000
|
|
35000
|
2014年11月
|
14000
|
19500
|
15000
|
30000
|
|
37000
|
2015年11月
|
15000
|
19500
|
13000
|
28000
|
|
35000
|
2016年11月
|
15000
|
20000
|
15000
|
30000
|
|
40000
|
2017年11月
|
15000
|
20000
|
15000
|
30000
|
|
32000
|
2018年11月
|
16000
|
20000
|
15000
|
35000
|
|
30000
|
2019年11月
|
16000
|
25000
|
16000
|
35000
|
|
40000
|
平均
|
13600
|
19733
|
15240
|
30467
|
|
37333
|
2005年(平成17年)は、土地価格で云えば、不動産ファンドバブルの始まりである。その時の上記各市の事務所賃料は、
岡山市 坪当り12,000円
広島市 坪当り17,000円
高松市 坪当り16,800円
梅田 坪当り29,000円
銀座 坪当り40,000円
である。
高松市は、既にこの時点でビル賃料は最高値を付けている。
土地不動産ファンドバブルは、2007年(平成19年)9月にピークを付ける。
ビル賃料は、これから1〜2年後にピークを付けるが、広島は2007年11月にピークを付けている。大阪は1年後の2008年である。銀座も1年後の2008年である。岡山は3年後の2010年である。
不動産ファンドバブルは、2007年9月にピークを付け、2008年9月のリーマンプラザーズの倒産、暮れのトヨタ自動車の前年2.2兆円の利益より今期は一転1500億円の赤字になるという予想発表により、一気にバフルは崩壊し2011年の暮れまで土地価格は下落する。
2012年暮れの安倍内閣の登場と、黒田日銀の金融の超超緩和によりリートバブルが発生し、都心の商業地の地価は上昇して行く。2016年にリートバブルのピークを迎える。
賃料の不動産フアンドバブルの底になるのは、岡山は2013年(平成25年)である。広島は2009年(平成21年)と甚だ早い。高松は2015年(平成27年)、大阪梅田は2013年(平成25年)である。東京銀座は2011年(平成23年)である。
リートバブルのピークを迎えているのは、2016年(平成28年)の銀座のみである。
銀座の事務所賃料は、2016年以降下落する。それはリートバブルのピークが過ぎたことによるが、もう1つ理由がある。
それは丸の内、渋谷、虎ノ門、大崎駅周辺の再開発事業によって高層事務所ビルが次々と建ち、そちらに企業の事務所が移転したためである。銀座の事務所の魅力が薄らいで来たことによるものと私は推測する。
その様に下落していた銀座の賃料が、2019年に4万円になったのは、銀座の反撃であり、それは銀座Gシックスの出現によるものと私は思う。
他市は、現在がリートバブルのピーク若しくはピークを迎えようとしているようである。
岡山は、2018年(平成30年)坪当り1.6万円で最高賃料と成り、現在も続く。広島は、2019年(令和元年)で坪当り2.5万円の最高賃料と成っている。高松は、2019年に坪当り1.6万円と成り、2005年の1.68万円に迫ろうとしている。梅田は、2018年に坪当り過去最高の3.5万円と成り、2019年も続く。
銀座は、2018年に坪当り3万円となる。大阪梅田が3.5万円と成ったため、賃料の逆転現象が発生した。
大阪梅田の賃料が、銀座の賃料を越えるという極めて珍しいことが起きた。しかしこの現象は、1年で終わり、2019年では、銀座坪4.0万円、梅田3.5万円の賃料に成った。
2005年では、岡山と高松の事務所賃料には坪当り4,800円の差があったが、2019年では、両市とも坪当り1.6万円となり、事務所賃料の差はなくなった。
2005年では、広島と高松の事務所賃料の差は、坪当り17,000円と16,800円で、200円の差でしか無かったが、2019年では25,000円と16,000円と成り、9,000円の差となった。
15年間の平均賃料は、下記である。単位坪当り円である。
岡山 13,600円
広島 19,733円
高松 15,240円
大阪梅田 30,467円
東京銀座 37,333円
▲
フレーム表示されていない場合はこちらへ
トップページ
前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ