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2019)都道府県所有の土地価格の総額は15.6兆円(滋賀・兵庫・熊本を除く)

 2020年早々、甚だ不愉快で、腹だたしい事件が発生した。

 保釈中のブラジル人の元日産自動車の会長が、プライベートジェット機を使用して、日本から生まれた国のレバノンに逃走してしまった。

 性悪説で物事を考えるべきと私はいつも思っているが、日本人は甘い。日本国は、逃亡者を逮捕するために、それなりの対応をするであろうから、このことについては、これ以上論述することは控える。

 日本の都道府県が所有する土地価格はどれ程であろうか。

 ネットで調べたが、その金額を記しているものが無い。わからない。

 誰も、都道府県が所有する土地価格がどれ程しているのか調べたことがないようである。

 ならば調べて見てみようと思い、調べて見た。

 各県は、それまでは歳入、歳出の会計を発表していたが、最近は財務諸表として貸借対照表による公会計決算を発表するようになった。

 公会計をするようになったのは、確か石原慎太郎都知事がやり始めたと記憶している。

 そのことについては、鑑定コラム277)「石原東京都知事が残す功績」で記している。

 各県が発表している財務諸表の貸借対照表に記載の「土地」の金額を集計すれば、都道府県の所有する土地の金額はわかるであろうと考え、都道府県のホームページを訪れ、財務諸表を閲覧した。

 云うは簡単であるが、やり出すと大変である。47都道府県のホームページを捜し、その公会計のページを見つけ出すのである。

 手間暇がかかり、途中で投げだそうと思ったが、どれ程の金額であるのか知りたくてやり遂げた。

 2017年度(平成29年度)の財務諸表によった。

 3つの県の所有土地価格がわからなかった。滋賀県、兵庫県、熊本県の3県である。

 滋賀県は公会計そのものをやっていない。歳入、歳出の会計であり、これでは土地のストックがどれ程あるのかさっぱり分からない。

 他の県は総務省の指導に従い、公会計の財務諸表を作成しているのに、なに故に滋賀県は、県の資産、負債のストックの状況を県民に示そうとしないのか。

 兵庫県と熊本県は、公会計を行い県民に公表しているが、土地の項目が属する有形固定資産の金額のみ発表しており、その内訳の「土地」項目の金額を公表していない。

 有形固定資産には建物が含まれていることから、その金額を土地の金額として採用することが出来ない。

 どうして「土地」と「建物」に分けて発表してくれないのか。土地を疎んじているのでは無かろうかと思いたくなる。

 平成29年度(2017年度)の都道府県の所有する土地価格は、15,673,433百万円(15兆6734億33百万円)であった。

 調べ上げた都道府県所有土地価格一覧は、下記である。


地域名 土地価格 百万円
北海道 418409
青森 118801
岩手 232399
宮城 180722
秋田 125776
山形 161534
福島 240457
茨城 272114
栃木 230700
群馬 129407
埼玉 816713
千葉 551503
東京 3008871
神奈川 907797
新潟 152003
富山 124523
石川 264523
福井 102066
山梨 155691
長野 144786
岐阜 180585
静岡 528962
愛知 1409641
三重 140972
滋賀  
京都 456727
大阪 1195674
兵庫  
奈良 51744
和歌山 158448
鳥取 62396
島根 374373
岡山 330547
広島 693535
山口 167003
徳島 106161
香川 137646
愛媛 97757
高知 100631
福岡 204773
佐賀 102454
長崎 97727
熊本  
大分 132221
宮崎 90851
鹿児島 129797
沖縄 384013
合計 15673433


 東京都が3.0兆円で断トツである。次は愛知県で1.4兆円である。大阪府が1.1兆円である。愛知県の方が大阪府よりも所有する土地が多い。

 所有土地が最も少ないのが奈良県の510億円である。何故、奈良県は県所有土地が少ないであろうか。

 次いで鳥取県の620億円である。西隣接の島根県は3740億円の所有である。東と西で隣接していて、何故に6倍もの所有土地の差が生じているのか。

 滋賀県、兵庫県、熊本県の所有土地の価格が抜けているから、15.6兆円の価格は、日本の都道府県所有の土地価格の総額とは云えない。

 土地総額を知るためには、滋賀県、兵庫県、熊本県の所有土地価格が必要であるから、それを求めることにする。

 上記土地価格一覧のうち、東京、愛知、大阪の所有土地価格は抜きん出ている。

 平均価格から滋賀県、兵庫県、熊本県の土地価格を推定するには、この抜きんでている都府県のデータは外した方が良い。

 15.6兆円より東京、愛知、大阪の金額を外すと、10,059,247百万円である。

 日本の国土面積は、日本国土地理院の令和元年10月1日時点の調査によれば、377975.24kuである。

 日本国土地理院の同調査によれば、東京・愛知・大阪・滋賀・兵庫・熊本の面積は、下記である。

       東京    2194.07 ku
              愛知        5173.06 
              大阪        1905.29 
              滋賀        4017.38 
              兵庫        8400.94 
              熊本        7409.45 
              計         29100.19

 東京・愛知・大阪・滋賀・兵庫・熊本の面積を除く面積は、

               377975.24 −29100.19 =348875.05ku

348875.05kuである。

 この面積で、上記6都府県を除いた土地価格10,059,247百万円を除せば、

  
               10,059,247百万円÷348875.05ku=28.83百万円

1ku当たりの土地価格は、28.83百万円である。

 滋賀、兵庫、熊本の各県所有地の1ku当たりの土地価格は、上記求められた平均価格である28.83百万円程度と判断して、その価格を採用して求める。

 滋賀、兵庫、熊本の面積は、同国土地理院の発表の各県の面積を加算すれば、19827.77kuである。

 3県の土地価格は

             28.83百万円×19827.77ku=571701.63≒571702百万円

である。

 滋賀・兵庫・熊本を除いた都道府県の土地価格は、15兆6734億3300万円であるから、これに5717億0200万円を加算すれば、

             15,673,433+571702=16,245,135

である。

 都道府県所有の土地価格は、16兆2451億3500万円と推定される。


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「石原東京都知事が残す功績」


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