地下街の店舗家賃はどれ程であろうか。
5年程前の話であるが、北海道札幌の駅前大通りに面している店舗を借りている賃借人の代理人弁護士より、東京の私の所に、大通りに面して借りている店舗の賃料を鑑定して欲しいという依頼があった。
ビル所有者が、大巾に賃料値上げ要求して来たことへの対抗策として、適正な継続賃料の鑑定評価をして欲しいと云うことであった。
札幌駅前大通りは、札幌駅より南の大通り公園・すすき野を結ぶ道路であり、それに面しての店舗は店舗地として立地は悪く無い。
ビルの地上の店舗を借りている依頼者である賃借人に話しを聞くと、その好立地も見た目の好立地の様であった。店舗の売上高は減っていた。
地上の店舗賃借人は、下記のごとく話していた。
「駅前大通りの下に、札幌駅〜大通公園まで地下街が出来た。そのため地上の駅前大通りの歩道を利用する人が少なくなり、来店者が大巾に減ってしまった。特に冬はひどい。そうした事も考えず、ビルオーナーは賃料の値上げを要求する。」と。
ショッピングセンターを経営する企業の団体として、「一般社団法人日本ショッピングセンター協会」(以下「SC協会」とする。)という団体がある。
そのSC協会が、協会員が借りている或いは貸しているショッピングセンターの賃料を集計して、『SC賃料・共益費』という調査報告書を発行している。
その調査報告書の中に、地下街の賃料が発表されている。
店舗を物販店舗、飲食店舗、サービス店舗と3つに分類する。
3分類店舗の各地下街の賃料を、所在する地域を中心地域(大都市・中都市)、周辺地域に地域分類して、それぞれの地下街の店舗賃料を発表している。
3分類店舗の地下街の賃料は、下記である。単位は坪当りである。時点は2017年時点である。
地域 | 物販店舗 | 飲食店舗 | サービス店舗 |
大都市中心地域 | 39689 | 36158 | 34151 |
中都市中心地域 | 26224 | 28434 | - |
周辺地域 | 12391 | 17443 | 10881 |
物販店舗賃料 100 飲食店舗賃料 91 サービス店舗 86
商業ビル物販賃料 坪当り40,611円 (102) 駅ビル物販賃料 坪当り42,083円 (106) 地下街物販賃料 坪当り39,689円 (100) 高架下物販賃料 坪当り24,046円 ( 61) 複合ビル物販賃料 坪当り23,507円 ( 59)
106/102=1.044%である。