不動産鑑定評価の評価分野として、不動産の所有権価格の評価、その他権利価格の評価、賃料、その他の4つの評価分野がある。
不動産の所有権価格の評価とは土地建物の価格評価であり、これが最も多く、かつ一般的である。
所有権以外の権利価格の評価とは、借地権、借家権等の賃借権の価格評価である。囲じょう地通行権、空中権、公有水面利用権等の特殊なものも含まれるが、賃借権の価格評価が殆どである。
賃料評価とは家賃・地代の評価である。賃借権を前提にして、当該不動産を賃借する場合の対価である賃料を評価するものである。
土地建物の価格評価を行うことが多く、賃料評価をすることは少ない。
不動産鑑定評価に20年携わっていても、一度も賃料評価を行ったことのない不動産鑑定士もかなりいる。
世間一般の人から見れば、不動産鑑定士は不動産評価の専門家であるから、賃料評価も出来るであろう、その教育・訓練を受け、評価のスキルを持っているであろうと考えがちであろうが、とんでもない。
はっきりとした数字は統計をとった訳で無く分からないが、私の感じでは不動産鑑定士のおよそ9割程度の人は、継続賃料の評価を行ったことは無いのでは無かろうかと思われる。
不動産鑑定士の団体として社団法人日本不動産鑑定協会というものがある。その鑑定協会が、国土交通省の委託を受けて国家試験の三次試験の実務講習を行っている。必修研修であり、これを受けないと三次試験の受験資格がない。
実務講習とは不動産鑑定の実務を教えるのである。その実務講習で使用する基本テキストの賃料の項目の内容の中で、借地上の貸ビルの賃料と所有権土地上の貸ビルの賃料は異なると書いてあり、それを講師が三次試験を受けようとする受講者に話し、教えているのである。それが実務であると話しているのである。
借地上の貸ビルの賃料と所有権土地上の貸ビルの賃料は異なるであろうか。 同じ賃料であり、賃料には差は無い。
この程度のことが分からず、三次試験の鑑定の実務講習の研修を不動産鑑定士の団体である鑑定協会が行っているのである。
全く情けないやら、恥ずかしくなる。
「田原は鑑定協会の三次試験の実務講習のテキストを書き換えさせたのだから、凄いことをやるよ」と一部の不動産鑑定士からからかわれたが、現在は私の指摘で、上に述べた様なことを教えてはいないであろう。
しかし、少なくとも平成15年(2003年)の時点までは、その程度の知識が不動産鑑定士の中枢部の中ですら罷り通っていたことは事実であり、テキストを消し去ることは出来ない。恥ずべきことであり、謙虚に反省し賃料について勉強し直すべきであろう。
間違っても強弁して誤りを正当化する主張などすべきでは無い。
プログレスという会社が賃料評価のセミナーを行う。
そのセミナーの講師を私がすることになってしまった。
賃料セミナーは新規家賃、継続家賃、地代の3部作で、3回に分けて行う。
新規家賃、継続家賃、地代をどの様にして求めるのか、それぞれ約4時間の時間をかけて講演することになった。
2005年3月15日に新規家賃についてのセミナーを、お茶の水の中央大学駿河台記念会館で行うことになった。
そのあと会場がどこかは聞いていないが、
2005年5月19日に継続家賃 2005年7月27日に地代についてセミナーを行うスケジュールである。