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205)「賃料をどの様にして求めるのか」のセミナー

 不動産鑑定評価の評価分野として、不動産の所有権価格の評価、その他権利価格の評価、賃料、その他の4つの評価分野がある。

 不動産の所有権価格の評価とは土地建物の価格評価であり、これが最も多く、かつ一般的である。

 所有権以外の権利価格の評価とは、借地権、借家権等の賃借権の価格評価である。囲じょう地通行権、空中権、公有水面利用権等の特殊なものも含まれるが、賃借権の価格評価が殆どである。

 賃料評価とは家賃・地代の評価である。賃借権を前提にして、当該不動産を賃借する場合の対価である賃料を評価するものである。

 土地建物の価格評価を行うことが多く、賃料評価をすることは少ない。
 不動産鑑定評価に20年携わっていても、一度も賃料評価を行ったことのない不動産鑑定士もかなりいる。

 世間一般の人から見れば、不動産鑑定士は不動産評価の専門家であるから、賃料評価も出来るであろう、その教育・訓練を受け、評価のスキルを持っているであろうと考えがちであろうが、とんでもない。

 はっきりとした数字は統計をとった訳で無く分からないが、私の感じでは不動産鑑定士のおよそ9割程度の人は、継続賃料の評価を行ったことは無いのでは無かろうかと思われる。

 不動産鑑定士の団体として社団法人日本不動産鑑定協会というものがある。その鑑定協会が、国土交通省の委託を受けて国家試験の三次試験の実務講習を行っている。必修研修であり、これを受けないと三次試験の受験資格がない。

 実務講習とは不動産鑑定の実務を教えるのである。その実務講習で使用する基本テキストの賃料の項目の内容の中で、借地上の貸ビルの賃料と所有権土地上の貸ビルの賃料は異なると書いてあり、それを講師が三次試験を受けようとする受講者に話し、教えているのである。それが実務であると話しているのである。
 借地上の貸ビルの賃料と所有権土地上の貸ビルの賃料は異なるであろうか。 同じ賃料であり、賃料には差は無い。

 この程度のことが分からず、三次試験の鑑定の実務講習の研修を不動産鑑定士の団体である鑑定協会が行っているのである。
 全く情けないやら、恥ずかしくなる。

 「田原は鑑定協会の三次試験の実務講習のテキストを書き換えさせたのだから、凄いことをやるよ」と一部の不動産鑑定士からからかわれたが、現在は私の指摘で、上に述べた様なことを教えてはいないであろう。

 しかし、少なくとも平成15年(2003年)の時点までは、その程度の知識が不動産鑑定士の中枢部の中ですら罷り通っていたことは事実であり、テキストを消し去ることは出来ない。恥ずべきことであり、謙虚に反省し賃料について勉強し直すべきであろう。
 間違っても強弁して誤りを正当化する主張などすべきでは無い。
 
 プログレスという会社が賃料評価のセミナーを行う。
 そのセミナーの講師を私がすることになってしまった。

 賃料セミナーは新規家賃、継続家賃、地代の3部作で、3回に分けて行う。
 新規家賃、継続家賃、地代をどの様にして求めるのか、それぞれ約4時間の時間をかけて講演することになった。

 2005年3月15日に新規家賃についてのセミナーを、お茶の水の中央大学駿河台記念会館で行うことになった。

 そのあと会場がどこかは聞いていないが、

    2005年5月19日に継続家賃
    2005年7月27日に地代
についてセミナーを行うスケジュールである。

 もしセミナー受講に関心がある方は、プログレスの木村氏に電話( 03-3341-6573)で聞かれたい。

 セミナーに参加される方は、私はそれほど立派な学識や知識を持っている訳では無いから、過度の期待を持ってセミナーに参加しないで欲しい。


追記(2005年3月10日)
 ある不動産鑑定士の方から、「セミナーは聞きたいが、セミナー料金が高すぎるのではないか」というクレームが私に入った。セミナー料金は私が決めるわけでは無いから、高いといわれても私としては 困ることである。

 しかし、
 「私のセミナーを聞けば裁判で勝てる鑑定書を書くことが出来る可能性が高くなりますよ。
 裁判で負ける鑑定書より勝てる鑑定書を書くことが出来たということになれば、セミナー料など安いものではないでしょうか」
と話した。

 クレームをつけてきた不動産鑑定士も、
 「それなら料金は高くない、裁判に勝つことが出来れば安い位だ」
と言って納得してくれた。

 セミナーを聞いて賃料裁判に勝てる鑑定書を書くことが出来るかどうかは私は保証出来ない。
 しかし、間違いの鑑定書を書かないヒントは得ることが出来よう。

 今迄随分と裁判で賃料の鑑定を行ってきた。裁判所の依頼のほか、民間の依頼も多くやってきた。

 相手側提出、或いは裁判所鑑定人不動産鑑定士の賃料鑑定に対して、間違った求め方を行っている鑑定書には、その求め方の間違いを意見書で鋭く指摘してきた。中には根本的に基礎から家賃の評価を勉強し直した方が良いとあまりのひどい鑑定書に対しては意見をつけたこともある。

 私の書いた鑑定書も随分と多くの弁護士に批判され、私もその批判に対し私が間違っておれば謙虚に受け入れ、しかし批判が間違っておれば、それに対して反論してきた。裁判はある意味では喧嘩である。私も血圧を上げながら、数多くそうした喧嘩をやって来た。

 私から厳しく間違いを指摘された不動産鑑定士は、鑑定協会の幹部の中にもいる。業界で著名な不動産鑑定士もいる。
 その人達にとっては、自分の間違いを棚に上げて、逆恨みのごとく田原はけしからん奴だ。ひどい奴だ、悪い奴だといい私を悪者扱いにする。

 間違いは間違いであろう。謙虚に反省し、鑑定に対して誠実であるべきと私は思うが。
 

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