○鑑定コラム
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病院の賃料の鑑定評価で頭を悩ました。
積算賃料・比準賃料で新規賃料を求め、スライド法・利回り法・差額配分法で継続賃料を求めて、賃料の不動産鑑定書を書き上げた。
病院の継続賃料の事例は周辺地域から入手出来なかったため行わなかった。
鑑定書を書き上げてから、求められた家賃は、病院経営の売上高に対して適正な家賃割合の中にあるのだろうかと気になった。
病院の家賃は売上高の何%であろうかと興味を持ち、分析してみた。
厚生労働省の中央社会保険医療協議会が、平成17年1月に発表した『平成15年6月医療経済実態調査(医療機関等調査)報告』というものがある。
その発表データで分析した。
その調査報告書は、632の病院による回答を統計処理したものである。
病院の運営経営形態は、国立・公立・医療法人・個人等である。
それら病院の運営経営形態を類型として3つに分ける。療養病床60%以上の病院、その他一般の病院そして精神病院の3つの類型である。
その類型のうち、療養病床60%以上の病院とその他一般の病院を併せて一般病院全体という。この一般病院全体の統計数値を採用して分析した。
回答のあった一般病院全体は528病院である。
その1病院当りの収支等の数値は下記のとおりである。
1.医業収入 310,834,109円
2.医業費用 319,545,430円
3.医業収支 △ 8,711,322円
である。
医業費用のうち、賃料に関係するものは次のものである。
4.建物減価償却費 7,553,744円
5.損害保険料 505,386円
どうも病院にとっては、賃料などゴミ程度の認識であるのか、賃料を形成する固定資産税、修繕費の数値は発表されていない。
数値が発表されていないということは、病院にとって固定資産税、修繕費は、調査する必要性の薄い項目であるということであろうか。
発表数値がないことから、やむを得ず私の今迄の鑑定評価の分析例より、下記のごとく推定する。
土地建物の固定資産税(含む都市計画税)は、減価償却費の0.8掛けとする。
7,553,744円×0.8≒6,040,000円
修繕費は、大半が賃借人の病院側が持つ場合が多いことから、売上高の0.5%の、
310,834,109円×0.005≒1,550,000円
とする。
以上をまとめると、賃料を形成する必要諸経費は、次の通りである。
イ、減価償却費 7,553,744円
ロ、公租公課 6,040,000円
ハ、修繕費 1,550,000円
ニ、管理費 病院が自分でやっているとして0円
ホ、損害保険料 505,386円
計 15,649,130円
≒ 15,600,000円
必要諸経費は15,600,000円である。
純賃料、即ち土地建物所有者の利益は、修繕費が賃借人の病院が大半負担することを考え、必要諸経費の60%とする。
15,600,000円×0.6=9,360,000円
≒ 9,400,000円
病院の賃料は、
純賃料 9,400,000円
必要諸経費 15,600,000円
計 25,000,000円
25,000,000円と求められた。
売上高に対する家賃割合は、売上高は310,834,109円であるから、
25,000,000円÷310,834,109円=0.0804≒0.08
8%である。
即ち病院の家賃割合は売上高の8%程度と分析された。
但し、これは売上高3億円程度の病院の家賃割合であり、全ての病院に当てはまるものではない。私の予測であり、予測ミスも考えられることから、結果の100%の信頼性があるのではないことを了承して頂きたい。
病院の売上高が10億円などと大きくなると、病院の家賃割合は逆に低減するのではなかろうかと思われる。
(2005年3月15日『新規家賃・収益家賃』のセミナー講義録の一部より)
売上高に対する家賃割合について、下記の鑑定コラムがあります。
鑑定コラム18)店舗売上高と家賃割合
鑑定コラム25)牛どん吉野家の家賃6%
鑑定コラム144)レンタルビデオ店の家賃は6%か
鑑定コラム273)百貨店の家賃割合は10.6%か
鑑定コラム27)インターネットショップの家賃割合
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